精神科医・過敏性研究の第一人者が推薦!季節の変わり目に乱れる心を整える「自分への声かけ」実践法
季節の変わり目になると、なんとなく気分が沈んだり、理由もなく不安になったり——。 そんな「季節ブルー」を感じる人が、近年ますます増えています。 過敏性研究の第一人者である精神科医・長沼睦雄先生の著書『その、しんどさは「季節ブルー」』(日本文芸社)では、心が揺らぎやすい時期にこそ「自分にかける言葉」を意識することの大切さを説いています。 今回はその中から、長沼先生がすすめる“心の平安を取り戻すための言葉”をご紹介。 落ち込みや不安を感じたとき、自分自身に向かって唱えるだけで心がふっと軽くなる——そんなシンプルで奥深いセルフケアの方法です。
私たちの心や体は日々使う言葉に大きく影響されます。ネガティブな言葉は心を重くし、ポジティブな言葉は心を軽やかにします。これを言葉に宿る力、言霊(ことだま)の力によるものと考えることもあります。言霊の力を活用したのが、自分に肯定的な「魔法の言葉」を唱える方法です。ここではハワイの伝統的な問題解決法を基にした「SITH ホ・オポノポノ」を紹介します。
SITHとは「Self I-Dentity through Ho'oponopono」の略号で、故モーナ・ナラマク・シメオナ氏がネイティブハワイアンの伝統的な問題解決方法「ホ・オポノポノ」を、現代社会で活用できるようアレンジしたもの。問題の原因は自分自身の内にある記憶であると捉え、その記憶をクリーニング(浄化)することで問題が解決するという考え方です。
実践してみよう
ホ・オポノポノの4つの言葉「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」は、潜在意識のマイナス感情をクリーニングし、問題を解決するための言葉として、それぞれに深い意味が込められています。
「ありがとう」………問題として現れてくれたこと、それに気づかせてくれたこと、クリーニングの機会を与えてくれたことなど、あらゆる物事に対する感謝の気持ちを表します。
「ごめんなさい」……自分の内側にある問題を引き起こしている潜在意識の記憶に対して、「このような現実をつくり出してしまってごめんなさい」と責任をとるための言葉です。
「許してください」…自分の潜在意識にある誤った記憶に対して許しを請う言葉。問題をつくり出した記憶を解放し、自分自身を解放するためのお願いです。
「愛しています」……問題の原因となっている潜在意識の記憶に対して無条件の愛を送る行為です。愛は、あらゆるものを癒やし本来あるべき姿に戻す力を持っている言葉です。
これらは、嫌なことがあったときに、「すぐに」「自分自身に向かって」唱えると、マイナス感情が消える魔法の魔法です。言葉(音)そのものよりも、言葉が生まれる前の思い(言霊)に浄化の力があるので、「ありがとう」や「愛しています」だけでも、あるいは、これらの思いを込めた「あ」だけでも魔法の力が生まれます。肯定的な言葉が自己暗示として働き、脳の思考パターンや感情に良い影響を与えることは心理学的にも指摘されています。
前述の4つの言葉も心を浄化し、より良い状態へと導く強力なアファメーション(肯定的な自己宣言)と言えます。がんばりすぎて疲れてしまったなら、自分に「ありがとう(いつもがんばってくれて)」「愛しています(そのままで大丈夫)」と唱えてみましょう。「私のせいかも」と思い込んだら、「ごめんなさい(自分を責めてしまって)」「許してください」と唱え、罪悪感から解放されるきっかけを与えましょう。魔法の言葉を自分に唱えることは、自分自身への最高の贈り物です。どんな状況でも自分の中に平和と調和を取り戻す力があることを思い出させてくれる、シンプルで奥深いセルフケアなのです。
教えてくれたのは…長沼 睦雄(ながぬま むつお)先生
十勝むつみのクリニック院長・精神科医。昭和31年生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了。その後、障害児医療分野に転向し、道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と成人の診療を行う。平成28年に帯広にて十勝むつみのクリニックを開院(10年目)。病因を見つけ診断を確定し、急性期の症状を対症療法的に治療する西洋医学に疑問を感じ、HSP・神経発達症・発達性トラウマ障害・アダルトチルドレン・慢性疲労症候群などの慢性機能性疾患に対し、脳と心と体と食と魂を結び付けて根本治療を目指す中国医学を学びながら治療に取り組んでいる。『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』『繊細で敏感でも、自分らしくラクに生きていける本』(共に永岡書店)、『子どもの敏感さに困ったら読む本』『10代のための疲れた心がラクになる本』(共に誠文堂新光社)など著書多数。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く







