知らずにたくさん食べていない?きのこを食べ過ぎてはいけない人の特徴とは|管理栄養士が解説
秋の味覚のひとつでもある「きのこ」。ヘルシーかつ食物繊維も豊富なので健康のために日常的に取り入れる方が多いのではないでしょうか。しかし、健康食材でもあるきのこを食べ過ぎてはいけない人もいるのです。今回はきのこの特徴を踏まえた上で注意が必要な人について解説していきます。
きのこの栄養と食物繊維
きのこにはしめじ、えのき、エリンギなど様々な種類がありますが、大体いずれも100gあたり30kcal前後しかなくとてもヘルシーです。また、食物繊維も豊富で特に不溶性の食物繊維を多く含んでいます。その他カリウム、ビタミンD、ナイアシンを多く含みます。
今回の本題に入る前に上記で述べた「不溶性の食物繊維」についてお話します。そもそも食物繊維は消化酵素の影響を受けないため、消化されにくい成分です。そして「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、それぞれ働きが異なります。
水溶性食物繊維は水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。便に水分を与えて柔らかくしたり、血糖値やコレステロール値の上昇を抑えたり、高血圧を予防したりする効果があります。
不溶性食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やし腸の蠕動運動を活性化します。また、有害物質も吸収してくれるため腸をきれいにする効果があります。
食べ過ぎてはいけない人
きのこの特徴を踏まえた上で、食べ過ぎ注意な場合があるので見ていきましょう。便秘の人
便秘の中でもけいれん性便秘という自律神経の乱れが原因で起こる便秘の場合、きのこに多く含まれる不溶性食物繊維が刺激となって便が硬くなり、かえって便秘を悪化させる恐れがあります。便秘には食物繊維が良いというイメージがありますが、不溶性に偏らず水溶性もバランスよく摂ることが大切です。下痢の人
きのこに多く含まれる不溶性食物繊維が腸を刺激して、腸の蠕動運動をさらに促進してしまいます。それにより、便は大腸で水分を十分吸収されないまま排泄されてしまいます。胃腸の病気がある人
胃・十二指腸潰瘍や潰瘍性大腸炎、クローン病といった胃腸の病気の場合や大腸がん手術後はきのこのような食物繊維の多い食事を摂ると消化が悪いため胃腸に負担がかかってしまいます。また粘膜に刺激を与えてしまうため控える必要があります。
腎臓の病気がある人
きのこにはカリウムが多く含まれています。腎臓の働きが悪くなると体内にあるカリウムの排泄がうまくいかず、体内にカリウムが蓄積して高カリウム血症を引き起こす可能性があります。カリウム制限がある場合には制限量を超えないように注意が必要です。
最後に
きのこはヘルシーで食物繊維やカリウムが豊富です。特に不溶性食物繊維を多く含むため有害物質を吸着し腸の蠕動運動を促進して外に排泄するので腸をきれいにしてくれます。しかし、胃腸症状や腎臓病がある方は症状悪化に繋がる恐れがあるので注意が必要です。上記4つに該当しなくても食べ過ぎると腹痛や下痢など体調に表れる場合もあるので気をつけましょう。
きのこは「1日何グラムまで」と決まりはありませんが、野菜・きのこ・海藻を1日350g摂るのが良いとされていますので、きのこは50~100g程度が良いでしょう。きのこばかりではなくいろんなものをバランスよく食べましょう。
【参考文献】
きのこ類/(しめじ類)/ぶなしめじ/生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
きのこ類/えのきたけ/生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
きのこ類/(ひらたけ類)/エリンギ/生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
新臨床栄養学 栄養ケアマネジメント 編:本田佳子
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