【納豆】食べ過ぎると起こる不調とは?注意が必要な体質は?管理栄養士が解説
納豆は、大豆を発酵させた日本の伝統的な発酵食品で、健康食として人気があります。タンパク質や食物繊維、ビタミンKなど栄養が豊富で、朝食や夕食に取り入れる方も多いでしょう。しかし、健康に良いからといって食べ過ぎると、体質によっては不調を引き起こすことがあります。今回は、納豆を食べ過ぎた場合に起こりやすい体調の変化や、注意したい体質について管理栄養士が解説します。
納豆の主な栄養素と働き
納豆には、体に嬉しい栄養がバランスよく含まれています。
タンパク質:筋肉や臓器、皮膚・髪などを作る材料になり、代謝をサポートします。
食物繊維:腸内環境を整え、便通改善に役立ちます。
ビタミンK:骨の健康を維持する働きがあり、カルシウムの骨への定着を助けます。
ナットウキナーゼ:納豆菌が作り出す酵素で、血液をサラサラにする働きがあるとされ、血栓予防に期待されます。
イソフラボン:大豆由来の成分で、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用があり、更年期対策や骨粗鬆症の予防との関連が注目されています。
健康や美容に良い効果が多く、毎日の食事に取り入れやすい食材ですが、食べ過ぎには注意が必要です。
納豆を食べ過ぎると起こる不調
1. 消化器トラブル(腹痛や下痢)
納豆には発酵過程で作られる酵素や食物繊維が豊富に含まれています。適量なら腸内環境を整える効果がありますが、大量に食べると消化が追いつかず、腹痛や下痢、ガスがたまることがあります。
2. 血液凝固や薬との相互作用
納豆には血液をサラサラにするナットウキナーゼが含まれます。通常は健康効果ですが、抗凝固薬を服用している人が大量に食べると、薬の作用が強まりすぎる可能性があります。服薬中の方は医師や薬剤師に相談が必要です。また、納豆はビタミンKの含有量が非常に高く、血液凝固に関与します。普段は問題ありませんが、血液凝固に影響を与える薬を服用している方は薬の作用が弱まり血栓リスクが高まる可能性がありますので服薬中の方は注意が必要です。
3. 腎機能への負担
大豆はカリウムやリンも含んでいます。腎機能が低下している方は、摂取量が多いと体内でのミネラル排泄が不十分になり、カリウムやリンが蓄積する恐れがあります。医師の指導がある場合は制限を守ることが大切です。
注意したい体質の人
・消化器が弱い人・下痢しやすい体質の人
・抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用中の人
・腎機能に不安のある人(腎臓病などで食事制限がある場合)
納豆の適量目安
納豆1パック(約50g)が一般的な目安とされます。食べ過ぎると消化不良や血液への影響が出やすくなるため、1日1パック程度を目安に、朝食や夕食の一品として取り入れるのがおすすめです。
まとめ
納豆は、ほかの大豆製品や発酵食品と組み合わせる際も、1パックを目安に全体の量を調整するのが望ましいでしょう。食べるタイミングとしては、朝食や昼食など消化器の働きが活発な時間帯に取り入れるのがおすすめです。また、薬を服用している場合には、必ず医師や薬剤師に相談してから摂取するようにしましょう。
参考文献
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版」糸引き納豆
文部科学省「食品成分データベース」
厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
記事監修/亘美玲
管理栄養士。病院栄養士を7年経験後、食品会社で約15年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。2児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信をしている。
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