【ファイナンシャルプランナーが伝授】熟年離婚を考えたときに知っておきたい年金制度
長年一緒に暮らしてきたけれど、別々の道を歩いていきたい……。「熟年離婚」を考えたとき、心配なのが暮らしていけるのかということ。女性は男性に比べて年金が少なくなる傾向にあります。知っておきたい年金制度について、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんによる解説です。※本記事は『ファイナンシャルプランナーのお金の知識「暮らしでトクする部分だけ」まとめました』(KADOKAWA)より編集・抜粋しました。
女性は年金が少なくなりがち
老後の年金を受給している女性の年金月額は約10万円。男性の16万円と比べると少なくなっています。これは現役中の賃金や厚生年金への加入期間が男性に比べて短いことが要因です。年金は現役時代の働き方によって大きく異なるため、専業主婦や扶養期間が長いと、老後の年金は少なくなります。
老後も夫婦で暮らせば二人分の年金で生活できますが、現在、同居期間が20年を超えてから離婚する「熟年離婚」が全体の2割以上を占めています。
出産や子育てなどで会社を辞めたり、短い時間で働かざるを得なかったりするケースもありますが、とくに老後の単身女性の貧困は社会的な問題となっています。まずは女性自身が自分の年金に関心を持ち、自分の年金を増やしていく対策が必要です。
ただし、年金の保険料は婚姻期間中に夫婦で協力して払ったものと考えられているため、離婚時にはその記録を分け合う「年金分割」制度があります。
年金は「分割」できる
年金分割は、結婚期間中に夫婦が納めた厚生年金の記録を離婚時に分け合う制度です。年金分割には「3号分割」と「合意分割」の2つがあります。
妻が夫の扶養に入っている(第3号被保険者)期間に夫が払った厚生年金は、半分は妻の協力によるものと考えられ、その期間の記録を妻の年金の記録に付け替えることができます。これを「3号分割」といいます。
夫婦ともに厚生年金に加入していた場合は、それぞれが話し合い、2分の1を上限として年金の記録を付け替えることができます。夫婦ともにフリーランスで厚生年金に加入していない場合は、年金の分割はありません。年金分割は「夫から妻へ」ではなく、「年金が多いほうから少ないほうへ」の分割という点に注意しましょう。
年金を分割してもらえても、実際には思った以上に少なく感じるはず。離婚を検討するときは老後のライフプランをよく考え、離婚で老後破綻することのないようにしっかりと計画を立てましょう。
【プロフィール】
塚越 菜々子
株式会社KANATTA代表。保険を売らないファイナンシャルプランナー(CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士)。1984年神奈川県生まれ。税理士事務所に15年間勤務し、500件を超える企業や個人の財務に携わる。2017年に独立後、2800人の家計や資産運用のサポートを行う。
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