「いつも捨ててたわ…」キャベツの外葉や芯にある知られざるスゴイ栄養とは【管理栄養士が解説】
キャベツは炒め物や煮込み料理、千切りサラダなど、日々の食卓で大活躍する野菜です。やわらかな内側の葉に対して、外葉や芯は「硬くて栄養がないと思っていつも捨ててたわ…」という方も多いかもしれません。しかし実は、そのキャベツの外葉や芯には、体に役立つ栄養成分がたっぷり含まれています。この記事では、キャベツの外葉や芯に含まれる栄養について管理栄養士が解説します。
キャベツの外葉は「カルシウム」と「カロテン」が豊富
キャベツの外葉は汚れや傷みが気になり、捨ててしまう人も多いでしょう。しかし、外葉にはカルシウムやカロテンが豊富に含まれています。
キャベツの外葉に含まれるカルシウムの量は、内側の葉の10倍以上という研究報告があります。カルシウムは骨や歯を丈夫にする栄養素です。日本人に不足しがちとされているので、外葉も捨てることなく活用したいですね。
また、カロテンは植物に含まれる色素成分の一種です。キャベツでは色が薄い内側の葉よりも、緑色が濃い外葉にカロテンが多く含まれています。カロテンは体の酸化を防ぎ、老化や生活習慣病から体を守る抗酸化作用があることで知られています。
そのほか、血圧の調整や筋肉の収縮に関わるマグネシウム、肌のハリを保つビタミンCも、外葉に多いとされている栄養素です。
やや硬い外葉は、加熱して食べるとよいでしょう。とくにカロテンは油と一緒に摂ることで吸収率が高まるため、細切りにして油で炒めるのがおすすめです。
なお、キャベツの葉に付着している白い粉は、キャベツ自身が作り出した「ブルーム」と呼ばれるものです。ロウ物質でもあり、葉を水に浸けると油のように浮いてくる様子が見られます。体に害はない天然の物質なので、安心して食べてくださいね。
キャベツの芯は「カリウム」と「食物繊維」の隠れた宝庫
キャベツの芯は硬くて食べにくいイメージがありますが、カリウムや食物繊維が多く含まれる部分でもあります。
カリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。キャベツの芯のカリウム含有量は葉の約2〜3倍とされているため、塩分の摂りすぎが気になる方は芯まで食べてカリウムを摂取するとよいでしょう。
また、食物繊維は腸内環境の改善に役立つ成分です。キャベツには、水分を吸収して便のかさを増やし、便通を促す不溶性食物繊維が多く含まれています。芯の部位によっては、葉の約2倍もの食物繊維が含まれることがわかっています。
このようにキャベツの芯は栄養豊富なものの、「硬くておいしくない」と思っている人も少なくありません。しかし実は、キャベツの芯は葉よりも甘みが強いとされています。芯は糖質が多く、なかでも砂糖の主成分と同じスクロースは葉の約9倍も多く含まれているのです。
薄くスライスしたり千切りにしたりすると、キャベツの芯は食べやすくなります。加熱するとさらに甘みが増すので、炒め物や汁物などに活用して余すところなく食べてください。
【参考文献】
北村八祥、松田智子、原正之、矢野竹男「コメ、キャベツ、タマネギおよびニンジンにおける部位別のミネラル含量」
工藤美奈子、小泉昌子、山本遼、倉田幸治、千代田路子、有泉雅弘、峯木眞知子「未利用資源『キャベツの芯』の成分とそのギョウザたねへの活用」
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く






