医師が語る、「口コミだけで治療法を選ぶ」のが危険な理由
最近は、何か調べたいことがあれば、スマホを開いて検索するのが当たり前になりました。病気や治療法についても例外ではありません。ただ、ここで注意したいのが「口コミはあくまで一つの情報でしかない」という点です。医師が解説します。
「口コミだけで治療法を選ぶ」のが危険な理由
ネット上には体験談があふれていて、「この薬が効いた!」「この治療法で痛みがなくなった!」といった口コミを目にすると、「自分も試してみたい」と思うのは自然なことだと思います。
口コミは便利な情報源ですが、過信してしまうと危険です。
ここでは、その理由をいくつか挙げてみます。
体質や症状は人それぞれ
たとえば、同じ「頭痛持ち」でも、その原因はまったく違うことがあります。
肩こりが原因の人もいれば、脳の血管に関わる病気が隠れている人もいます。
口コミを見て「この薬が効いたらしい!」と試してみても、自分の頭痛にはまったく合わないかもしれません。
中には、合わない薬を飲んで症状が悪化してしまうケースもあります。
つまり、誰かの成功体験が、自分の成功体験になるとは限らないということです。
情報が古かったり不正確なことがある
ネット上の口コミには、何年も前に書かれたものが混ざっています。
医学は日々進歩しており、数年前の常識が今では非常識になっていることも珍しくありません。
古い情報を信じてしまい、すでに推奨されていない治療法を試してしまうと、思わぬトラブルにつながることがあります。
さらに、誤解や勘違いから生まれた情報が広がってしまうこともあり、必ずしも正しいとは限りません。
宣伝目的の口コミもある
中には、純粋な体験談ではなく「広告」や「ステルスマーケティング」が紛れていることも。
実際には効果がないのに、あたかも奇跡的に治ったかのように書かれているケースも見受けられます。
その結果、高額なサプリメントや治療器具を購入してしまい、効果がなかった…という苦い経験をした人も少なくありません。
大事な病気を見逃してしまう
最も怖いのは、口コミを信じて自己判断で治療してしまうことで、本来受けるべき検査や治療が遅れてしまうことです。
たとえば、胃の不調を「単なる胃もたれ」と思い込み、口コミで見た整腸剤を使い続けていたら、実は胃がんだったというケースもゼロではありません。
病気の進行を見逃すと、命に関わることすらあります。
適切な治療法の選択方法とは
では、どうすれば自分に合った治療法を見つけられるのでしょうか?
ここでは、口コミとうまく付き合いながら、より安全に治療法を選ぶためのポイントをご紹介します。
POINT① 口コミは「参考程度」に
口コミ自体を否定する必要はありません。
実際、実際に経験した人の話はリアルで役に立つ部分もあります。
ただし、口コミはあくまで「参考資料」程度にとどめることが大切です。
「この方法で治った」という一つの体験談を、そのまま自分に当てはめてはいけません。
たくさんの口コミを見て「こういう傾向があるんだな」と大まかに把握するくらいがちょうど良いでしょう。
POINT② 症状が続くなら、自己判断せず医療機関へ
数日経っても症状が改善しない場合や、逆に悪化している場合は、早めに病院を受診しましょう。
特に、発熱や強い痛み、体重減少などがある場合は、自己判断せず専門医に相談することが大切です。
ネット情報よりも、医師による診察と検査が何よりも確実です。
POINT③ 複数の意見を聞いてみる
治療法を決める際は、医師のセカンドオピニオンを受けるのも一つの手です。
一人の医師の意見だけでなく、複数の専門家から話を聞くことで、より納得して治療を選ぶことができます。
最近はオンラインでの医療相談も増えているので、活用してみるのもおすすめです。
POINT④ 公的な情報源を活用する
厚生労働省や日本医師会など、公的機関が発信している情報は、信頼性が高く最新のものが多いです。
ネット検索をするときは、個人ブログや掲示板だけでなく、こうした公式サイトも参考にすると安心です。
まとめ
口コミは手軽でリアルな情報源ですが、そこには「正確さ」という保証はありません。
誰かにとって効果があった治療法が、自分にとっても安全で効果的だとは限らないのです。
大切なのは、口コミをうまく活用しつつ、最終的な判断は医療機関や信頼できる情報に基づいて行うこと。
口コミはあくまで“ヒント”であり、治療法を決める決定打ではないと意識しておきましょう。
自分の体を守るために、「ネット情報よりもまずは医師に相談する」。
この基本を忘れないことが、安心して治療を受けるための第一歩になります。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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