新見医師が「病院の口コミを気にすべきでない」と考える理由|「自分に合った病院」どう探せばいい?

 新見医師が「病院の口コミを気にすべきでない」と考える理由|「自分に合った病院」どう探せばいい?
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病院を探すとき、さまざまな情報があり困ったことはありませんか。口コミを見て「高評価と低評価が混在している」「医師の治療を良いと言ったり悪いと言ったり」など、一体何を指標に病院選びをすればよいのでしょうか。今回は、自分にとって良い病院の選び方について外科医・免疫学者・漢方医である新見正則医師に話をうかがいました。

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病院の口コミは飲食店の口コミと何が違う?

「噂や口コミで病院を選ばないほうがいいと私は思います。たとえば、足に怪我をしたとして、同じ怪我の同じ治療をいくつもの病院でしてもらえば違いを比較できるかもしれませんが、普通はそんなことしませんよね。1人が1件しか行っていないのにコメントしているサイトはあまり信憑性がないでしょう。

飲食店の口コミサイトの評価がなぜそこそこ合っているかと言えば、1人が複数のお店へ行けるからなんです。こっちのほうが美味しいとか、比べられますから。だけどもし、ラーメン屋さんを1件しか知らなかったら、よほど不味くなけりゃ『これがラーメンの味なんだ』って思うでしょう。

そういう点で、飲食店の口コミと病院の口コミには違いがあります。同じ条件で複数回、というのがキーワードです。病気にもさまざまありますから、もしうつ病でずっと困っている人があちこちの心療内科へ行って『ここがいい』と言っているなら、同じ人が複数件を同じ条件で比較しているので、それは参考にしてもよいかもしれませんね。

物事を過剰に比べるとトラブルになりやすくなります。口コミや噂が広まるとその部分しか評価されなくなりますので、そのような情報に惑わされず、患者さんにはぜひ『自分に合った良い病院』を選んでほしいと思います」

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病院の口コミは、飲食店の口コミとは違うことを理解しよう。

自分にとっての「良い病院」はどうやって探したらいい?

「病院を探す際は、症例数を参考にしてみてください。少し前まで、症例数というのは多少盛って報告する病院もありました。しかし、現在は一般社団法人National Clinical Database(NCD)がカウントしているので嘘がつけなくなりました。症例数は『この病院では、この病気の患者さんをこれだけ治療しました』という意味。症例数の数だけデータを持っているということです。

だからといって、症例数を過剰に意識する必要はなく、あまりに少ないところは除外する程度でよいと思います。ほかには『自宅からの近さ』も大切です。症例数が平均以上で自宅から行きやすい病院を選ぶとよいでしょう。

あとは、どれだけ情報を集めて治療しても、やはり『運』もある。一生懸命色んなことをしても悪い結果になる人もいるし、何もしなくても長生きする人もいます。こうやって『運による』なんてメディアでは非常に言いづらいんだけど、でも私は『今日は良いことをしたな。運が良くなるといいな』って気持ちは大事なんじゃないかって思うんです。ですからそういう意味もこめて、患者さんには『自分が気持ちいいと思う些細なことを積み重ねましょう』と言い続けています」

参考サイト:一般社団法人National Clinical Database.

教えてくれたのは…新見正則先生

新見正則
新見正則先生

オックスフォード大学医学博士。「外科医x免疫学者x漢方医」というレアな医師として活躍中。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。院長を務める新見正則医院では、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアを基本処方にして漢方薬を加えて、各種のがん疾患や難病・難症に対応。著書『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』(新興医学出版社)はAmazonでベストセラーに。

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取材・文/松村翠

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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