「ステロイド=怖い薬」って本当?正しく知れば味方になる理由|医師が解説

「ステロイド=怖い薬」って本当?正しく知れば味方になる理由|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-09-10

「ステロイド」という薬の名前を聞くと、「副作用が強くて怖い薬」「できるだけ使いたくない」という印象かもしれません。「ステロイド=怖い」というイメージがなぜ広まったのか、そして実際のところどのように付き合えばいいのかを、医師の視点から解説します。

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「ステロイド=怖い薬」って本当?正しく知れば味方になる理由

病院でステロイドを処方されると、「えっ、ステロイドですか!? 本当に大丈夫なんですか?」と不安そうな表情をされる患者さんも少なくありません。

中には「飲んだら一生やめられなくなるんでしょ?」と心配して、処方された薬を自己判断でやめてしまう方もいます。

確かに、ステロイドには注意すべき副作用があるのは事実です。

でも、だからといって「怖い薬」だと決めつけるのは早計です。

実はステロイドは、正しく使えば命を救うほど頼もしい薬なのです。

ステロイドはもともと体の中にもある

そもそも「ステロイド」というのは、体がもともと作り出しているホルモンの一種です。

たとえば「副腎皮質ホルモン」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これは体がストレスに対応したり、炎症を抑えたりするために分泌しているホルモンです。

薬として使われるステロイドは、このホルモンを人工的に作ったもの。

つまり、体にとってまったく未知の物質というわけではなく、もともと体が使っている仕組みを助ける薬なのです。

どうして「怖い薬」というイメージが広まったのか

それでも、なぜここまでネガティブなイメージが広まってしまったのでしょうか。

一番の理由は、副作用の強さです。

ステロイドには炎症を強力に抑える作用がありますが、それだけパワーがある分、長期間や大量に使うと副作用が出やすくなります。

代表的な副作用には、下記があります。

  • 体重増加(むくみや食欲増進)
  • 骨粗しょう症
  • 感染症にかかりやすくなる
  • 血糖値が上がる
  • 皮膚が薄くなる
ステロイド
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これらの副作用がニュースで大きく取り上げられると、「ステロイドは怖い」というイメージだけが独り歩きしてしまうわけです。

ただし、ここで大事なのは「副作用=必ず起こるわけではない」という点です。

量や期間、使い方を工夫することで、リスクをぐっと下げることができます。

命を救うこともあるステロイド

一方で、ステロイドがなければ治療が難しい病気もたくさんあります。

たとえば、ぜんそくの重症発作や膠原病(こうげんびょう)、重度のアレルギー反応などは、ステロイドなしでは命に関わることもあります。

医療現場では、「副作用が心配だから…」と躊躇してステロイドを使わなかった結果、病状が悪化してしまうケースもあります。

つまり、正しく使えば命を救う薬でもあるということです。

怖がって遠ざけるのではなく、「味方につける」という意識が大切です。

ステロイドのリスクとメリット

ここでは、ステロイドの「良い面」と「注意すべき面」をもう少し具体的に見ていきましょう。

ステロイドのメリット

炎症を素早く抑えられる
急な発作や重症の症状にも効果が期待できるため、命を救う場面でも使われます。

・幅広い病気に対応できる
ぜんそく、リウマチ、膠原病、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎など、多くの疾患で使われています。

・飲み薬、吸入薬、塗り薬など使い分けが可能
症状や部位に合わせて使えます。例えば、ぜんそくでは吸入薬、湿疹では塗り薬といった具合です。

ステロイドのリスク

・副作用が出る可能性がある
これはよく知られていますが、量と期間に大きく左右されます。特に内服(飲み薬)の場合は注意が必要です。

・急にやめると体に負担がかかることも
長期間使っていた場合は、いきなり中止すると体がびっくりしてしまいます。必ず医師の指示に従って減らしていきましょう。

・感染症に注意が必要
免疫の働きが抑えられるため、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなることもあります。

上手に付き合うためのポイント

医師の指示を必ず守る
自己判断で量を増減しないことが鉄則です。

 副作用チェックを忘れずに
定期的な血液検査や骨密度測定などで、副作用の有無を確認しましょう。

・生活習慣でリスクを減らす
バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠が副作用対策になります。

まとめ

ステロイドは「怖い薬」ではなく、正しく使えばとても頼りになる薬です。

副作用があるのは事実ですが、それはどんな薬にも言えること。

問題は使い方と管理の仕方です。

もし医師からステロイドを処方されたら、まずはしっかりと説明を聞きましょう。

不安な点があれば遠慮せずに質問してください。

怖がるあまり治療を避けてしまうことは、かえって病気を悪化させる原因になります。

「怖いから使わない」ではなく、「正しく理解して味方につける」。

それが、ステロイドと上手に付き合うための第一歩です。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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