ごめんねと言われたら使いたい、共感する言葉【パリで見つけた生きやすさのヒント】

ごめんねと言われたら使いたい、共感する言葉【パリで見つけた生きやすさのヒント】
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MIKI
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2025-10-26

極度の人見知りだった私の人生を180度ひっくり返してくれたのが、20代後半からのパリ暮らしでした。東京でPR会社を起業して全国で仕事をする「今」につながる出会いの数々。本連載「パリで見つけた生きやすさのヒント」では、パリでたくさんの人や出来事から教わった、気持ちが少し楽になる生きやすさのヒントをご紹介します。

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ガタンッと大きな音を立てて電車が止まり、聞き取りにくいフランス語の短いアナウンスが流れました。何らかのトラブルで立ち往生してしまったようです。「どうしよう、約束の時間に遅れちゃう……」。こんな日に限ってスマホも不調。メッセージも上手く送れません。半泣きで窓の外を眺めていたら、しばらくしてようやく電車が動き出しました。

その日は、フランス人の友人セリーヌの郊外の自宅に初めて招かれた特別な日。花とチョコレート、日本からのお土産も持って、準備万端なはずだったのに、すっかり出鼻をくじかれてしまいました。30分も遅刻して、なんて謝ったらいいんだろう、余裕をもって出たつもりだったのにこんなことになるなんて! と、暗い気持ちで最寄り駅に到着しました。そこからはとにかく急いで彼女の家へ。

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「すごく遅れちゃった。電車が止まっちゃったから。もっと早く出ればよかったのに。本当にごめんね!」眉間にしわを寄せ、お詫びの言葉を繰り返す私に、セリーヌは穏やかな口調でこう言いました。「Ça arrive(サ・アリーブ / それはよくあることだよ)」。そして、「気にしないで、電車が止まるのはパリの日常よ」と笑いながら付け加えてくれたのです。

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年上の友人との大事な約束。「せめて連絡は欲しかったな」「気にしないでいいけど、ランチは冷めちゃったね」といった反応を想像していた私は、「そういうこと、あるよね」という共感に近い相槌がナチュラルに返ってきたことにとても驚きました。その後は何事もなかったようにワインをあけて食事会がスタート。同席した近隣の家の人たちも「あるある。大変だったね」と笑顔です。皆のおおらかさに大いに救われて、落ち込んだ気持ちを引きずることなく楽しい時間を過ごすことができました。

誰かに謝られると「気にしないで」「大丈夫」と反射的な言葉で返してしまいがちですが、そこで一呼吸置いて、「あるよね!」の感覚を持てたら素敵だなと思います。サ・アリーブ。心の中にとっておきたい、ゆとりの言葉です。

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