「生野菜は体を冷やす」は本当?管理栄養士が解説する意外な真実と食べ方のコツ

「生野菜は体を冷やす」は本当?管理栄養士が解説する意外な真実と食べ方のコツ
藤倉詩織
藤倉詩織
2025-07-06

暑い季節になると、「サラダがおいしい季節だな」と感じる一方で、「生野菜は体を冷やすから、あまり食べないほうがいい」といった声を耳にすることもあります。実際に世間では「生野菜=体を冷やす」というイメージも強いようです。今回は、そんな「生野菜は体を冷やす」という話の真相と、冷えが気になる方の生野菜の上手な取り入れ方について管理栄養士が解説します。

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「生野菜は体を冷やす」って本当?

サラダの定番といえば、きゅうりやレタス、トマトなどの生野菜。さらに、なすやズッキーニなど夏に旬を迎える野菜も、体を冷やす食材とされることから、「生野菜=体を冷やす」もしくは「夏野菜=体を冷やす」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。

「体を冷やす食材」についてはさまざまな考え方がありますが、たとえば有名なのは東洋医学の「薬膳」の考え方。薬膳では、食材の性質について「五性」という分類があり、「涼性」や「寒性」にあたる食材は、体の熱を冷ますとされています。きゅうりやレタス、トマトなどはいずれも涼性から寒性にあたるため、「体を冷やす食材」と見なされてきました。

一方で、栄養学的な視点では「生野菜=体を冷やす」と断言できる明確な根拠は、まだありません。生野菜が体を冷やす理由として「水分が多い」「カリウムが多い」といった特徴がよく挙げられます。しかし、それが体を冷やす決定的な要因とまでは言いきれないのが現状です。

生野菜で体が冷える気がするのはなぜ?

生野菜は、冷蔵庫で冷やしてそのまま食べることが多いですよね。そのため、食べた直後に「ひんやりする」「なんとなく体が冷えた気がする」と感じるのは自然なことです。一時的に口の中や内臓が冷やされることで、体全体が冷えたような感覚になる場合もあります。

ただし、これはあくまで一時的な体感の話であり、生野菜そのものが長時間かけて体の深部体温を下げるというわけではなさそうです。

冷えが気になる人のための生野菜の上手な取り入れ方

サラダ
photo by Adobe Stock

とはいえ、「体が冷えやすい」と感じる方にとっては、生野菜の取り入れ方を工夫することで、より快適に楽しめるようになります。

1つ目は、温かい料理と組み合わせること。たとえば、冷たいサラダを食べるときは、献立にスープや味噌汁などの温かい料理を組み合わせるだけでも、体感としての冷えがやわらぐことがあります。

2つ目は、体を温める食材をプラスすること。とくにおすすめなのが、加熱したしょうがです。しょうがに含まれる「ショウガオール」という成分は、加熱や乾燥によって増える特徴があり、体を温めるはたらきが期待されています。

一方で、しょうがは胃への刺激も強い食材であるため、1日の目安は10グラムほどといわれています。生野菜による冷えが気になる方は、摂りすぎには気をつけながら、いつもの食事にしょうがを使った炒め物やスープなどをプラスしてみましょう。

野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維といった栄養素が豊富に含まれています。また野菜を積極的に摂ることは、健康維持や生活習慣病予防のためにも欠かせません。厚生労働省も「1日350gの野菜を目安に」と推奨しており、生野菜もうまく活用したいところです。

まとめ

「生野菜=体を冷やす」というイメージだけで避けてしまうのはもったいないかもしれません。冷えが気になる方も、自分の体調や感じ方に合わせて、今回ご紹介したような方法で生野菜を上手に取り入れてみてくださいね。

 

【参考文献】

・クラシエ株式会社「薬膳食材図鑑

・農林水産省「生姜は体を温める効果があるそうだが、どのような成分が働いているのですか。

・厚生労働省「野菜1日350gで健康増進

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