【トマト】「生」vs「加熱」どちらが最大限にトマトの良さを享受できる?管理栄養士が解説
トマトは生でも加熱しても栄養価が高くおいしく食べられる万能野菜。それぞれの食べ方のメリットはありますが、実際のところ、どちらがいいのでしょうか。管理栄養士が解説します。
生のトマトの5つのメリット
①加熱に弱い栄養素や酵素を効率よく摂ることができる
熱に弱いビタミンCを効率よく摂ることができるのは生トマトの最大の利点の一つでもあるといえます。また、トマトに含まれている酵素は加熱することにより失活してしまう(多くの酵素は60~80℃で失活していまうといわれています)ため、ぜひとも生のままで摂りたいもの。酵素には、たんぱく質や脂質などの消化の働きを助けるものもあります。
②水分が豊富で、素材本来のフレッシュな食感や風味を楽しめる
生のトマトは約90%が水分。トマトが旬を迎える暑い時期の水分補給にも最適で、フレッシュな酸味を利用して、料理をさわやかに仕上げたいときにぴったりです。生のトマト特有のサクッとした食感も楽しむことができます。
③カロリーが非常に低くダイエットにおすすめ
生トマトのカロリーは非常に低く、そのまま食べたりサラダにしたりとダイエット中の食材としても強い味方になります。皮のまま食べることで食物繊維が摂取できるとともに、噛み応えがあるため満腹感を感じやすいという利点も。
④手軽に食べることができる
洗って切るだけで調理が完了するため、時短にもなるところがうれしいですね。
⑤彩りがうつくしい
トマトのつややかで鮮やかな赤色は料理の色彩を豊かにし、食卓を彩ってくれます。
加熱トマトの5つのメリット
①リコピンの吸収率がアップ
リコピンは加熱することで身体に吸収されやすくなります。その割合は実に2~3倍ともいわれています。
②うまみ成分が増す
加熱によりグルタミン酸などのうま味成分が強くなるとともに、酸味が飛んで自然な甘みが引き立つため、料理の深みが増します。
③保存性が高まり、料理のバリエーションが広がる
加熱調理することで保存性が高まります。スープ、ソース、グラタンやカレーなど様々な料理に利用でき、バリエーションが広がります。
④腸への負担が減る
加熱することで食物繊維がやわらかくなり、消化しやすくなります。また、温かい料理に利用することで、体を温めて冷えを防ぐことができます。
⑤βカロテンの吸収が促進されやすい
βカロテンは加熱することで体内に摂り込まれやすくなります。油を使う料理では、さらに吸収率がアップします。
生のトマトVS加熱トマト
目的によって食べ方を変えるのがおすすめです。
・ビタミンC補給→生トマト(サラダ、冷静スープ、添え野菜、トッピングなど)
・リコピン強化→加熱トマト(トマトソース、煮込み料理、グリル、炒めものなど油と一緒に食べる)
・ミネラル保持→加熱トマトの中でも焼き料理やグリル調理で一部のミネラルの流出を抑えることができる
それぞれにメリットがたくさんあるため、どちらかに偏らずいろいろな食べ方をすることが最大限にトマトの良さを享受できることがわかりました。季節や状況によって食べ分けるといいですね。
参照:
・「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「やさい(幻冬舎)」
・野菜の栄養素まるごと便利帳 X-Knowledge
ライター/大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト・腸内ケアフードアドバイザー。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
Instagram:@tsukiko_shoku_mind
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