【自転車に乗ることで認知症のリスクが低下する!?】研究結果が示唆

【自転車に乗ることで認知症のリスクが低下する!?】研究結果が示唆
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2025-07-13

自転車に乗ることは心臓の健康状態の改善、ストレスの軽減、体重減少に役立つことが、これまでの研究においても示されている。そして、今回の研究では新たに、認知症発症リスクとの関連性が示された。

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自転車に乗ることが、認知症の発症リスクが低下させる可能性があることが、中国の華中科技大学とオーストラリアのシドニー大学の研究者による新たな分析で明らかになった。

移動手段と認知症リスク

この研究では、イギリスにおける、認知症の兆候を示していない約48万人分の参加者のデータを分析した。データには主な移動手段、人口統計学的特性、生活習慣、健康状態などに関する情報が含まれており、平均年齢は57歳だった。交通手段は、「アクティブでない手段(自動車と公共交通機関)」「徒歩」「徒歩とアクティブでない手段の組み合わせ」「主な移動手段として自転車を利用、もしくは自転車と他の手段と組み合わせて利用」の4つのグループに分類された。

結果、アクティブでない手段の利用者と比較して、自転車利用者はあらゆる原因による認知症のリスクが19%、アルツハイマー病のリスクが22%低かった。また、若年性認知症(65歳未満で診断)のリスクは40%、遅発性認知症65歳以降で診断のリスクは17%低かった

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自転車と認知機能

研究者らは、自転車に乗ることは、高い酸素運動の強度や、認知的課題(空間認識能力、ルートの判断、注意力の維持等)が伴うことで、認知症リスクの低下に大きく貢献している可能性を述べている。過去の研究では、空間認識能力と脳の体積との関連性が示されており、今回の研究においても、自転車に乗る習慣のある人は、海馬の体積がより大きいことが明らかになった。海馬は記憶の形成の中心的な役割を果たし、認知症において最初に損傷を受ける領域の一つであるため、海馬の構造の維持は認知機能の低下を遅らせる可能性があると、この研究の筆頭著者、華中科技大学准教授リャンカイ・チェン博士は述べている。

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この研究では自転車に乗ることと認知症発症リスクの関連性は示せても、直接的な因果関係は示すことはできない。年齢や教育レベルなど、潜在的に影響を与える要因は考慮されたが、追跡されていない要因が数多く存在するためだ。しかし、この研究で示された強い関連性は、これまでの研究(運動と認知症発症リスクの関連性を示す研究など)と通じるものである。認知症は世界中で高齢化に伴い増加する問題であり、そのリスクを軽減する方法は緊急に必要とされる中、自転車は多くの人にとって簡単で手頃な選択肢となる可能性がある。

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日常に活かすには

脳の健康は、自転車や徒歩といったアクティブな移動手段だけで叶えられるものではなく、また、すべての地域が自転車や徒歩で移動しやすい環境ではないため、身の回りの環境に合わせて行うということも必要となる。しかし、移動手段の意識的な選択と、栄養豊富な食事、質の良い睡眠、社会的つながりの維持等の健康的な生活習慣を組み合わせることが、より健康な未来への取り組みとなるだろう。

例えば、短い車の移動を自転車や徒歩に置き換えることは、二酸化炭素の排出量を減らすことで環境に貢献するだけでなく、脳の健康を守るための積極的な一歩にもなる。他にも、自転車で通勤する、公園で散歩する、近所の店まで歩く、駐車場でもあえて少し遠いところに車を停めて歩行時間を延ばしてみるなど小さな積み重ねを継続的に行うことで、長期的には、認知機能の健康だけでなく、全般的な健康にも役立つ可能性がある。

出典

https://www.sciencealert.com/cycling-linked-to-lower-risk-of-dementia-study-of-half-a-million-finds

https://www.eatingwell.com/cycling-lower-dementia-risk-study-11757686

https://www.medicalnewstoday.com/articles/brain-health-may-benefit-more-cycling-walking-dementia-alzheimers-study

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