「なんとなく不調」を感じている人が8割!だるさや疲れを取るためにできることは?漢方医が解説


天気が崩れたり、寒暖差が激しいと「調子悪いな」と感じる人は多いのではないでしょうか。ツムラの調査によれば、実際20~60代の8割の人が「なんとなく不調」を感じており、その理由に「気候の変化」を挙げる人も6割以上。漢方医学に詳しい漢方専門医に、対処法を教えてもらいました。
「体調不良は気象のせい」感じる人が増えている
「なんとなく不調」とは、自覚しながらもついがまんしがちな症状や、調子が悪いももの病名の診断がつかない症状の総称。
調査は2020~2024年までの5年間行っていますが、2024年の最新の調査では、5年前と比べて「なんとなく不調」を感じる人が11.2%増え、その割合は8割にも上ります。
特に多い不調TOP3は「疲れ・だるさ」「目の疲れ」「頭痛」。そこから「肩こり」「眠りの悪さ」「腰痛」と続きますが、20代、30代の女性では不調の1位は「頭痛」で、40代でも2位。自分に当てはまるな、と感じた人も多いのではないでしょうか。
そして、不調の原因については「やる気や元気が出ない」「睡眠不足」「寒暖差が激しい」が上位に挙がっています。特に寒暖差を理由に挙げる人が去年より2.9ポイント増えており、気圧を上げる人も2.0ポイント上昇。近年の激しい気候が体調に影響していると感じる人が多いようです。

不調をがまんし過ぎると病気を見逃すことも
とはいえ、意外なことに「心身の「なんとなく不調」を経験した人のうちに何らかの対処をする」と答えた人は約6割程度。約4割の人は「特になにもしない」と回答し、「どうしようもなくなるまで様子見をする」という人が多いことが分かりました。
「病院を受診する」という人は約2割、「市販薬を服用する」という人も約2割いましたが、病院を受診する人のうち6割は受診のタイミングを「不調の程度が重くなりそうだと感じたら」と回答。「なんとなく不調」は、通り過ぎるのを待つか、かなりがまんしてしまうという人が多いようです。
漢方診療を行う齋藤晶先生は「医師に相談することで、例えば慢性上咽頭炎のような治療で改善できる症状もありますし、睡眠時無呼吸症候群など放置してはいけない病気が発見されることもあります」と言います。
「なんとなく不調」の陰に別の病気が隠れているかもしれないことも考えると、がまんしすぎないで受診する、というのは大切かもしれません。
漢方医学で考える「なんとなく不調」
ツムラの調査では、今年も8割の人が「なんとなく不調を感じそう」と答え、7割の人が気象の影響を心配していると答えています。
「漢方医学では、気温や湿度など気候の変化によって心身も変化すると考えます。ゲリラ豪雨や秋まで続く猛暑など、例年と異なる気象の大きな変動があると心身が追いつかなくなり、不調につながります」(齋藤先生)
こうした気象による不調に対して、自分でできることはあるのでしょうか?
「十分な睡眠、適度な運動、規則正しい生活は対策の基本。そして梅雨や低気圧が接近する前は、胃腸の機能が低下しないように冷たい飲食物の摂り過ぎは避けたり、運動で汗をかくといった季節や気候にあわせた対策が大事です。
漢方医学では、西洋医学が比較的苦手とする体力を補う、体を温める、気圧の変化への対応などの治療が可能です。例えば、低気圧が接近すると、本来は水をため込まないような体の部位に水がたまったような状態になり、頭痛、体が重い、むくみ、めまい、胃がポチャポチャするといった症状が出ることがあります。これを漢方医学では『水毒』と言いますが、漢方薬を服用することで症状が改善することがあります」(齋藤先生)
もし自分自身が気象の変化による症状が特になくても、そういう人が多いということを知っておくことも大切だそう。
「気象で体調が悪くなる人にとっては、理解してもらえることでイライラや不安感の軽減につながります」(齋藤先生)
気象庁の発表によれば、今年の夏も猛暑が予想され、梅雨から夏の大雨にも注意が必要だそう。「なんとなく不調」は放置せず、しっかり対策をとって元気で乗り切りたいですね。
教えてくれたのは…齋藤晶先生
慶應義塾大学医学部を卒業後、JCHO埼玉メディカルセンター耳鼻咽喉科などで勤務。現在は埼玉医科大学東洋医学科で漢方診療、和光耳鼻咽喉科などで耳鼻咽喉科診療を行う。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。
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