『良いストレス』と『悪いストレス』がある？ストレスと上手に付き合うためのシンプルヨガと呼吸法

ストレスという概念

ストレスという言葉はもともと工学用語で『外部からの力』を意味しました。それをハンス・セリエ（1907-1982）が生理学に置き換え「外部からの刺激や負荷」と定義し、そこに起こる心身の反応を「ストレス反応」と名づけました。不安やイライラ、あるいは肩こりや動悸といった身体反応、さらに行動にも影響を及ぼすのがストレスです。

セリエはさらに、ストレスには良いストレス（ユーストレス）と悪いストレス（ディストレス）があるとも述べています。適度なストレスは成長を促す一方、過剰なストレスは心身に負担を与えます。

良いストレスと悪いストレス

「ユーストレス」とは、新しいスキルを学ぶときや目標に向かう過程でのプレッシャーなど、挑戦的な状況で感じる良いストレスです。ある意味では成長のチャンスですが無理は禁物。由来がどのようなものであれ、強すぎるストレスは悪いストレス＝ディストレスになります。

「ディストレス」は、過剰なストレスや長期間続くストレスのこと。仕事での慢性的な疲労や人間関係のトラブルがその一例です。慢性的な疲労感や不眠、不安感などを引き起こします。

ユーストレスをうまく活用するヒント

ユーストレスを感じているとき、気づかないうちに心が興奮状態になっています。まず落ち着きを取り戻し、大きな目標を小さなステップに分けて取り組むのがおすすめです。達成感を重ねることで安心感ややる気が湧いてきます。

さらに呼吸法やヨガポーズを、落ち着きたい時のルーティーンとして取り入れてみましょう。

ユーストレスをうまく活用する「木のポーズ」

バランスポーズは目の前のことに集中する力を養い、気分をリフレッシュさせます。

1. 片足で立ち、軸足の内もも（すねの内側でも）に、もう片方の足の裏をつける
2. 両手を胸の前で合わせて5呼吸キープ
3. 反対側も同様に

ユーストレスをうまく活用する「片鼻呼吸」

片鼻ずつ交互に呼吸し、バランスを取り戻します

1. 右手の親指で右鼻腔を軽く閉じ、左鼻腔から息を吸う
2. 薬指で左鼻腔を閉じ、親指を離して右鼻腔から息を吐き出す
3. 吐ききったら、そのままの鼻腔から息を吸い込む
4. 親指で鼻腔を閉じ、薬指を離して左の鼻腔から息を吐き出す
5. 2~５の手順を３往復ほど行う

ディストレスを和らげるヒント

自分で制御が難しいことに由来するストレスや強すぎるストレスは、少しでも軽くすることが大事です。根本原因にアプローチするモチベーション維持のためにも、リラクゼーション法を取り入れてみましょう。

ディストレスを和らげる呼吸法（ブラーマリー）

深いリラックスに導く「蜂の羽音」という意味の呼吸法です

1. 座り方を整え、深呼吸をする
2. 呼吸が落ち着いてきたら口を閉じたまま「ン～～～」と低く長いハミングをしながら息を吐く
3. ハミングの音による振動が頭蓋に響く様子を観察し、吐ききったら息を吸って吐く息とともにハミングする

＊慣れてきたら手で耳や目を塞いで行ってみましょう。ハミングの揺らぎが増し、よりリラックス効果を高めます

ディストレスを和らげる「椅子で行うキャット＆カウ」

深い呼吸とともに背骨を動かすことで自律神経を整えます

1. 椅子に座り、背中を伸ばしたら頭の後ろで手を組む
2. 息を吸いながら背中を逸らせ、吐きながら丸める動作を繰り返す

ストレスは常に敵ではなく、時に味方になり得るものです。重要なのはストレスを自覚し、上手にコントロールすること。ヨガや呼吸法はストレス管理の強い味方になってくれるはずです。