80年代ファッション界のミューズ、イザベラ・ロッセリーニ(70歳)年齢差別についての告白
女優イングリッド・バーグマンと映画監督ロベルト・ロッセリーニの娘として生まれたイザベラ・ロッセリーニ。ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせ、その後、女優として国際的に知られるようになった。80年代には、ファッション界のミューズ、トップモデルとして華々しく活躍し、ランコムのミューズを長年務めていたことでも知られる。近年では、ランコムのミューズに返り咲き、70歳を迎えた現在も、男女平等を訴え、女性として大きな影響力を持ち続ける彼女の最新インタビューの一部を紹介しよう。
「広告とは夢を扱うものだから、女性は若くあるべき」という理由で、43歳で解雇される
1982年、イザベラ・ロッセリーニはランコムと専属契約を結び、世界で最も稼いだモデルとなりった。14年間にわたり、世界中で同ブランドの香水、口紅、スキンケアのプロモーションを務めた。しかし、1995年、43歳の誕生日を迎える直前、彼女は解雇されたのである。契約終了後、ファンや顧客からクレームが入ったという。
当時、「広告とは夢を扱うものであり、女性の夢は年をとることではなく、若くあることだと説明されました。一部の女性にとっては夢かもしれませんが、女性にとっての最大の夢は、美しさと威厳とエレガンスさを持って、年を重ねることだと思います」と現在70歳の彼女は語っている。
20年の時を経て、再びランコムのミューズに
そして、ランコムは再び2016年、イザベラに声をかける。女性の新CEO、フランソワーズ・レーマンが指揮をとることになったのだ。「彼らは、『あなたを手放さなければよかった』と言いました。まさか20年後にこの日が来るとは!」と述べた。
それ以来、彼女は同ブランドと仕事を続けており、最近ではフレグランス「La Vie Est Belle(ラヴィエベル)」の新キャンペーンにも出演している。フランス語で「人生は美しい」と訳されるこの商品名は、イザベラにとって、若く見せようとするよりも、長年生きてきたことで洗練された今の自分がいる、というメッセージと捉えているのかもしれない。
「人は誰でも年をとります。自然の一部ですよ。私は整形をしたことがありません。もしやれば、一時的には勝てるかもしれないけど、長期的には負けることになるわね」と彼女は淡々と語った。美容注射については「「哲学的に、有機農場を営み、有機食材を食べながら、ボトックス注射をするのは納得できませんね。このふたつが共存できるのか、私にはわかりません。それをやっている友人がいるので、共存していることはわかるのですが、矛盾を感じるのです」と、現在、ニューヨーク州ロングアイランドの11ヘクタールもの広大な農場で、鶏、犬、ミツバチ、羊を飼っている彼女は述べた。
とはいえ、これまで一度も手術に興味を持たなかったわけではないと言う。「首元はいつもちょっと気になるけど、我慢しています。手術よりも小さなスカーフを巻く方が好きなんです」と語る。
化粧品は自らが楽しむためにある
イザベラは、化粧品会社で女性リーダーが増えたこともあり、美容業界のエイジズムは近年、ずっと良くなった、と考えている。「おそらく、男性は私たちが香水や化粧品を使って誘惑することしか理解できないのでしょう。でも、私たち女性は男性を誘惑するためだけでなく、楽しいから使っているのです」。そう語るイザベラは、農場で動物の世話をしているときでも、(「私の制服」と自ら呼ぶ)赤い口紅をつけている。
有名な両親の跡を継いで、数々の人気映画作品に出演した後、現在はレッドカーペットでハリウッドセレブと肩を並べるよりも、自然豊かな場所に暮らし、納屋のゆかいな仲間たちの世話に時間を費やしているようだ。
出典:
Isabella Rossellini talks about ageism in an exclusive interview
Isabella Rossellini, 70, on aging ‘with beauty’ and saying no to Botox
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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