「私も母も自立できていなかった」ブルック・シールズが語った亡き母との関係、そして娘との関係
人間関係はどんなものでも難しいけれど、その中でも確執をはらみがちなのは親子関係。特に母娘は同性ゆえに親しくなることもあれば、激しく反発し合うことも。大御所女優ブルック・シールズが最近のインタビューで母との関係を振り返り、自分の娘とどう向き合っているかについて語った。
ブルックがデビューしたのは生後11か月頃。モデルで女優だった母のマネージメントの下、ベビーモデルとして活躍し始める。12歳頃に映画デビューしてからもずっとそばでサポートしていた。いわゆるステージママである。
彼女は高校を卒業すると家を離れて名門プリンストン大学に進学。仕事は控えつつも女優業と学業を両立していたそう。忙しい毎日を送る中ホームシックになってしまったというブルック。「母は本当に支えになってくれた。『あなたは諦めない。諦めたら自分を一生許せないでしょう』と言ってくれたことに感謝している。でもそのうちに私はだんだん、母は私がいないと自分が何者なのかわからないんだと気が付き始めた」。つまり母にとってはブルックが生きる意味、アイデンティティになっていたと分析する。「私は母を生かし続ける責任を負っていた。ある意味不健康な関係だと思う。私も母も自立していなかったから」。
「ブルック・シールズ」としてのアイデンティティを持ち続けたい
ブルックは2001年にプロデューサーで脚本家だった男性と結婚。現在18歳のローワンと16歳のグリーアという2人の娘がいる。2人もモデルとして活躍し始めているが、ブルックは母が自分に対してとっていたものとは違うスタンスで娘と接したいと語る。「娘たちには私が私として満たされていると知っていてほしい。娘たちは私を生かし続ける責任を負わなくていい」。「娘たちの母」ではなく「ブルック・シールズ」としてのアイデンティティを持っていたいと話す。
とはいえそれには努力が必要。母としてティーンの娘たちのことばかり考えてしまうことも多々あるそう。「ローワンは大学1年になった。彼女はいずれ結婚して自分の子どもを持つようになるでしょう。でも彼女が家にいないことに慣れることはないと思う」。グリーアもすでにカレッジに通っている。「彼女は自分の人生を生き、学校生活を楽しんでいる。花開き、成長しているの。姉妹で話したり、それぞれが友達とおしゃべりしたりしているのを見たり聞いたりすると『彼女たちは1人の人間なんだ』と思う」。そして複雑な心境をこう説明する。「娘たちを見ていると『私は私の仕事でベストを尽くした。だから彼女たちの邪魔はしない』と思える。娘たちにこのままずっとママと一緒に暮らしたいと思ってほしいと願っていても」。
身近な存在であるからこそ、母との関係を分析するのは難しい。痛みやつらさを感じてしまう場合もある。ブルックも母が亡くなって初めて冷静に考え、言葉にできるようになったという。母と娘のつながりの複雑さについて改めて思い知らされる。
AUTHOR
長坂陽子
ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。
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