うつ、摂食障害、そして自傷行為…マイケル・ジャクソンの娘パリスが語った苦悩の日々

 うつ、摂食障害、そして自傷行為…マイケル・ジャクソンの娘パリスが語った苦悩の日々
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長坂陽子
長坂陽子
2022-02-15

アメリカエンタメ界で活躍する2世セレブたち。恵まれた環境で幸せいっぱい、苦労知らずで育ってきたはず。そう思われがちだけれど、小さい頃から注目を集め、華やかな生活を送ってきたからこその苦しみを彼女たちは秘めている。マイケル・ジャクソンの娘のパリス・ジャクソンの告白がそれを物語っている。

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2009年、11歳のときに父マイケル・ジャクソンと死別したパリス。その後祖母のキャサリンに引き取られたがひどいうつ状態に苦しむようになった。パリスは同年代の普通の子どもたちが周りにいなかったことが大きな理由だと分析している。「私はビバリーヒルズで育った。クレイジーなことばかりしている自分より年上の人たちと過ごしていたことがうつ状態になった理由だと思う」とあるインタビューで語っている。「私はものすごく急いで大人になろうとしていた」。

パリス・ジャクソン
2009年に亡くなった父マイケル・ジャクソンの追悼式で、父親の思い出を語るパリス。

うつ状態から摂食障害になったというパリス。「食べることに依存していた。ものすごく太ってしまったんだ」とFacebookで2020年に配信されたドキュメンタリー番組「Unfiltered: Paris Jackson and Gabriel Glenn」で告白、注目を集めた。「いとこから”デブ”と呼ばれて、もう食べるのはやめようと思った。その結果、自傷行為に走ってしまった」。

パリスは自分の体を切り、火で焼くようになったと生々しく語る。「そのせいで死ぬとは思っていなかった。いつもカミソリをうまく扱っていたし、どれだけ深く切るかをコントロールしていたから」。体を傷つけるとドーパミンが出たとも。「ドーパミンが脳内麻薬と呼ばれるのにはちゃんと理由があると思う。いい気分になるんだ。食べ物やセックス、薬物、音楽、運動……ドーパミンを出すものはたくさんある。自傷行為もその1つ。タトゥーもそう。私にとって自傷は心の痛みから気を逸らすためのもの、身体的な痛みに代わるものだった。痛みをコントロールすることが私には必要だった」。心の痛みを自分で操ることはできないけれど、自分で自分の身体に与える痛みであれば自由に支配できる。自分の感覚を自分で管理したい、そう思ったことから自傷行為をするようになったという。

自傷行為やうつ状態は「波になってやってきた」と話すパリス。うつ状態が「ひどいときには耐えられないくらいひどかった。でも何も感じないよりはマシだった。麻痺するより痛みの方がいい。少なくとも何かを感じることができるから」

パリス自身は語っていないが関係者によると彼女はその後リハビリ施設で治療。自傷行為や摂食障害の根底にある「心の健康を取り戻す」ためだったという。今のパリスはモデルやミュージシャンとして活動しつつ、ドキュメンタリーやインタビューを通してこれまでの経験を若者たちとシェアすることに取り組んでいる。「自分を愛することはものすごく大変」と語るパリス。メンタルヘルスとの闘いを経験してきた彼女だからこその言葉と言えそう。

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長坂陽子

長坂陽子

ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。



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