世の中に変化を起こしたいならまずは自分を変化させる｜タイの農家が語る"真のオーガニックライフ"

オーガニックライフの本質

——オーガニックライフとは何でしょうか？

オーガニックライフは、”自己探求”の旅だと思っています。

例えば、化学薬品を含むシャンプーで毎日髪の毛を洗っていて、1日でも髪の毛を洗わなかったら、何かしらの不快感が生まれると思うんです。頭皮がオイリーになったり、痒くなったり、ニオイが気になったり…けれど、わたしたちは、オーガニックライフを追求して「自由になれた」と感じています。そして、ありのままの自分を受け入れることができるようになりました。

自己受容は、自然体でいるための重要なステップです。結果がどうであれ、自分の決断に全責任を持つようになったとき、自分の髪や頭皮の性質、洗浄方法、シャンプーの性質、天候、あるいはホルモンのレベルなどに特有のものであることを理解して意識するようになります。

失敗するたびに、自分自身について何かを深く学びます。 それぞれの製品や成分が私に何を感じさせるかを意識し、さまざまな製品で比較する必要があるのではないでしょうか。たとえうまくいかなくても、失敗を理由に再挑戦を止めることはありません。それを学習経験として受け入れ、次に進みます。

オーガニックライフに慣れるまで時間がかかると感じたら、それを受け入れて様子を見る余裕を持ってみましょう。自分のお手入れでうまくいっているものを見極め、そうでないものを調整していけばいいんです。

自分の不完全な部分やすべてを受け入れる、全体的な存在として自分自身を見ることになります。 脆弱性を受け入れ、あらゆる次元で自分を理解し、前に進んでいくことで、自分自身や自分の体と新しい関係を築き始めることができるのではないでしょうか。

——わたしたち人間が自然環境の一部として地球が持続可能な星となるためにはどうすれば良いと思いますか？

世界をより良い場所したいのであれば、まずは自分から変える必要があると思っています。

NGOに勤務していた時には、大きな仕事で学ぶことややりがいもありましたが、いつも他者を変えることの難しさに葛藤を抱いていました。「世界をもっと良くしたい」と思っても、時にそれは可能かもしれません。けれど、無理やり変えても意味はないですし、大抵の場合は大きな変化は難しい。

だから、わたしたちは16年前にわたしたちが生きていくために最低限必要なものを自分たちの手で、オーガニックに作っていくという小さな変化を世の中にもたらすことにしたんです。

大きな社会の中で小さな変化も起こせないよりも、小さな社会の中で小さな変化を起こることに価値があると信じています。

ライターの取材後記

わたしたちは、あまりにも多くのものを背負いすぎているのかもしれません。あまりにも多い情報、あまりにも多いオーガニック製品、あまりにも多い感情や役割。どれも間違っているわけでもなければ、どれもが正しいわけでもないのかもしれません。それでも人は自然の一部だということは、まぎれもない真実。「わたしにできることは何なのだろうか」ということを、今一度見直して行く必要があると感じました。

取材協力

『Happy Earth』は、バンコクから車で4時間の田舎町ウタイターニにある小さなオーガニック農園。こちらの農園では、オーガニックでケミカルフリーなライフスタイルを送り、昔ながらの農地の知恵を取り戻し、伝統的な方法でボディケア製品を作ることに取り組んでいます。

農園で収穫されたもの（時には友人の農園で収穫されたものも）を使って、フルーツまるごと頭からつま先までのお風呂、ライスパウダーフェイシャルマスク、ムング豆パウダーソープなどを作っています。製品はすべて100％ナチュラル。人工的な化学物質は一切使用していません。

みなさんが母なる地球に近づくことができればと願いをこめて、製品作りに取り組んでいます。