「Meanningful Beauty」ファウンダー、シンディ・クロフォードの揺るがぬ美の秘密
シンディ・クロフォード、といえばかつてのスーパーモデルブームの火付け役であり、新世代スーパーモデル“カイア・カーバー”の母親でもある。そんな彼女は現在モデル業の他に、ビューティブランド「Meaningful Beauty」のCEOとしてもマルチに活躍中だ。そんな彼女が語る、モデルとファッション業界の今昔物語とは。
「コレクションでウォーキングをすること、そしてカメラの前に立つことがモデルの主な仕事で、それは今も昔も変わりないと思います。今自分の子供達(カイア・ガーバーとプレスリー)が、かつて私が一緒に仕事をしたフォトグラファーと一緒に仕事をしているところをみると、本当に感慨深いものがありますね。この業界で現役で活躍している顔ぶれも昔とあまり変わりないように思えますが、ただ一つ昔と決定的に違うのは、SNSを含めた“デジタル”の存在でしょう」。
そう米メディアデジタル版に語ったのは、かつてスーパーモデルブームを巻き起こし、世界を一世風靡したあのシンディ・クロフォードだ。彼女が全盛期を迎えていた80〜90年代は、ナオミ・キャンベル、クラウディア・シファー、クリスティ・ターリントン、リンダ・エヴァンジェリスタら錚々たるモデルたちがトレンドをリードした時代だった。雑誌で彼女たちの私物が紹介されればたちまちソールドアウト、その美容法は多くの女性たちが取り入れ、数多のアーティストたちにインスピレーションを与え、行くところ行くところパパラッチとファンが押し寄せるなど、ハリウッドスターを凌駕するその人気ぶりは、今でも語り継がれている。
「でも、あの頃は私服を気にする必要はなかったですね。コレクション会場まで行くための私服のコーディネートをしてくれるスタイリストもいなかったので、本当にただショーで歩くためだけに行くだけだった。でも今は違いますね。SNSがあるから、私服も完璧にしなければならない。でも、そんなかつての私のモデル時代を知っている娘のカイアは、私の影響もあってあまり私服を気にしないようですね。これが私の“ベストストリートスタイル”、みたいに私服を毎日完璧にスタイリングすることにあまり関心がないようですから。今の若いモデルたちはそんなプレッシャーがあってとても大変だと思います」。
と、今と昔のモデルを巡る大きな違いについてこう語るシンディ。しかし、今のモデルたちが私服を完璧にキメなければならない本当の理由をこう続ける。
「クライアントたちが彼女たちのSNSをチェックしているから、というのが本当のところでしょうね。クライアントはそれをベースに色々決定するものですから。だから、ただカメラの前でポーズを決める以外にもやらなければならないことが多い今のモデルたちは本当に大変です」。
一方で、現在シンディはビューティブランド「Meaningful Beauty」のファウンダーとしての顔も持つ。そんな中感じるのは、ファッション業界同様、ビューティ業界にも起きているかつてない大きな変化だ。
「ビューティ業界での最大の変化は、“ダイバーシティ”が推進されていること。それが日を追うごとに広がって行くんです。SNSのおかげで、今は一億総モデル社会となりました。そこには、様々な美しさが溢れています。背の高い人、低い人、スリムな人、ふくよかな人、ナチュラルメイク、きっちりメイク、本当に人の数だけ美しさも様々。「この人が一番キレイ」と言った決め打ちの美しさはもうありません。私は、本当に素晴らしいことだと思います」。
そう語る一方で、彼女が全盛を迎えたかつての方が、ダイバーシティのあり方を体現していたかもしれない、とも。
「私と、リンダ、ナオミ、タチアナ、クラウディアの世代は、全員似ても似つかなかったし、誰一人同じに見えるモデルはいませんでした。ブロンド、ブルーアイの画一化されたわかりやすいモデルがずらりと並ぶことはなく、誰も私たちを“クローン”呼ばわりすることもありませんでした。もちろん、私たち全員が並ぶととても壮観だと言われましたが、“似ている”とは誰からも言われませんでした。でもようやく今のランウェイにもこのような変化の波が押し寄せています。そんな中で唯一無二の自分だけの美しさを披露している若いモデルたちをみると、本当に心が踊ります」。
プライベートでは、誰よりも早く起き、海辺の自宅のジャクジーに入ってから1日をスタートするというシンディ。その後1時間の朝のワークアウトを済ませたら、そのまま仕事を開始するのが日々のルーティンだという。そんな彼女が全盛期と変わらぬ美しさを保つための秘訣を、こう語っている。
「やはり好きなことをすることが一番ですね。もちろん、私だって好きなことばかりをしているわけではありません。特にパワーポイントで仕事をするのは苦手ですし、会議でじっと座っているのも嫌です(笑)。その代わり、撮影が大好きですから、この時間だけは本当に癒されます。1日、1週間、1ヶ月単位で“やらなければならないこと”のリストを作ってモチベーションをあげることも欠かせません。やり終えた時リストにチェックを入れると、不思議とやり終えた充実感も感じられますから(笑)」。
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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