体をねじると痛みがあるのはなぜ?|ヨガ解剖学

 仙腸関節について理解しよう ヨガ解剖学
RICK CUMMINGS

体をねじると腰のあたりに痛みを感じるという人は、仙腸関節に原因かあるかもしれない。体を無理なく固定して、次のツイストに移る術を習得しよう。

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骨盤と連動させて仙骨を動かす意識を身に着けよう

背骨の底部にあり、骨盤の仙骨と腸骨とをつないでいる仙腸関節やその周辺の痛みを訴える声が、ヨギの間でますます大きくなっている。仙腸関節痛は特に女性によくみられ、患者の80%が女性となっている。月経、妊娠、授乳を司るホルモンのために、女性の靭帯は男性よりも緩く、伸び過ぎる傾向があることも一因である。

仙腸関節について理解しよう
図解:骨盤周辺の関節

また、構造的な違いも影響を及ぼしている。男性は通常、仙骨の3カ所が骨盤に接合しているのに対して、女性は2カ所だけが骨盤と接合している(または2カ所だけが動く)ことが多い。さらに、女性は関節部分に接している面積も男性より狭いため、関節の安定性が損なわれる。仙腸関節自体も、女性の方が男性よりカーブが浅いために、骨と骨の表面接触が不十分になる。最終的に、女性の仙腸関節は入れ子のボウルのようにしっかりかみ合わず、股関節が広がりがちになる。
以上のふたつの要因が歩行の生体力学に悪影響を及ぼして、前進する際に股関節が互い違いになり、骨盤全体と仙腸関節にねじりの力が引き起こされる。これは正常な働きであり、誰にも生まれつき関節部にわずかな滑りがみられるのだが、女性の場合、骨盤のねじり力が大きくなり、仙骨の靭帯に圧力を加える可能性がある。
もちろん、男性にも仙腸関節痛はある。その多くが、遺伝的に緩い靭帯や、けがやヨガによる伸ばし過ぎによって引き起こされている。性別に関係なく、仙腸関節痛が起きれば、ヨガのプラクティスや日常生活に深刻な影響を及ぼしかねない。
立っている時、胴体、頭部、上肢の重みは、仙腸関節を通じて体の両側に移動して大骨盤に伝わり、骨盤から両脚、足元、床へと伝わっていく。このため、仙腸関節は立位にとってきわめて重要である。この関節は、重さを単にぶら下げるのではなく骨で支えることを可能にするが、靭帯のような軟組織を傷つける可能性もある(靭帯は整合性を必要とする組織である。骨と骨とを結合する組織である靭帯は、伸ばし過ぎて圧力がかかると、必要とされる安定性を確保するために周囲の組織がいつも以上に働かなくてはならず、周囲の組織を損傷する危険がある)。
ヨガマットの上では、ねじりのポーズが仙腸関節痛を引き起こす最大の原因となっている。これは、特に座位のポーズについては、ねじっている間も骨盤を押さえつけておくように教えられることが多いためである。ねじっている間、骨盤を床に「しっかり固定」して坐骨を水平に保つように指導されることもある。ところが、骨盤をしっかり固定すると、骨盤を仙骨に結び付けている靭帯を伸ばし過ぎる恐れがあり、やがては仙腸関節の領域全体に慢性痛や消耗性の痛みを引き起こすことになる。
マリーチャーサナⅢのような座位のねじりのポーズを例に考えてみよう。骨盤が坐骨のところで床に固定されていると、ねじりは背骨だけから生れることになる。つまり、仙骨が背骨のねじれていない部分とともにねじりに引き込まれるのに対して、骨盤は押さえつけられ、反対の方向へ動くことになる。ここで、ねじりを生み出すために腕が脚の外側に対してこの働きをすれば、仙腸関節の周囲の軟組織に余分なねじりと力が加わり、この作用に拍車がかかって仙骨の靭帯を伸ばし過ぎる可能性が何倍にもなる。
このようなやり方で繰り返し練習すれば、骨盤と仙骨を結びつけようとする靭帯は伸び、やがては痛みが生じる結果となる。実際、仙腸関節障害と仙腸関節痛であることが明らかになるのは、骨盤と仙骨を結ぶ関節表面が揃っていて仙腸関節が中立的で安定した位置にあることが確認できない場合である。
どのポーズにも固定が必要であることに異論はないが、ねじりのポーズでは、固定させるのは骨盤ではなく、床にグラウンディングしている方の腿と足である。仙腸関節について覚えておくべき最も重要なことは、この関節が安定性の関節であって可動性の関節ではないということである。
まず骨盤をねじり、次に背骨をねじることができれば、仙腸関節ははるかに元気になる。仙腸関節を保護する鍵は、トリコーナーサナやパリヴルッタトリコーナーサナなどの立位のポーズや、マリーチャーサナⅠのような前屈のポーズ、マリーチャーサナⅢのような座位とねじりのポーズにある。つまり、常に骨盤と仙骨を一緒に動かすことである。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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Text by JUDITH HANSON LASATER
Photos by Rick Cummings
Model by Melissa Fry
Styling by Emily Choi
Hair&make-up by Beth Walker
Translated by Setsuko Mori



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