ヨガのルーツは5つの伝統文化だった?ヨガポーズの起源と背景

 ヨガのルーツは5つの伝統文化だった?ヨガポーズの起源と背景
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5つのインド伝統

ヨガのルーツ

ヨガという語が最初に登場したのは、紀元前1000年頃にリシ(聖仙)たちが古代サンスクリット語で編纂したヴェーダ聖典だった。ヴェーダにはアサナに関する記載はほとんどないが、インド北西部の古代都市モヘンジョダロやハラッパーの遺跡では、バドラーサナのような座位ポーズが描かれた出土品が見つかっている。本来ヨガとは牛や馬と荷台を結びつける「くびき」や「装具」を意味していた。基本的に有神論者であるヒンドゥー教徒たちにとって、ヨガは神と結びつくためのくびきなのだ。

また彼らが信じるブラフマン(梵)と呼ばれる究極の真理は、様々な形をとっている。「真理は一つ。聖者たちはそれを様々な名前で呼ぶ」とリグヴェーダでも記されているように、ヒンドゥー教は多神教ではないが、多元的な信仰が共存している。つまり神に至る道は一つではないのだ。そして古代ヨガではマントラと献身を主に練習していた。マントラは豊作や受胎、保護を神に祈る術の一つとして用いられていた。

ヨギーのサドゥグル・ジャギ・ヴァスデヴによると、ヨガの最初の教えはシヴァから「七人の聖者」に伝えられた。この聖者たちが7つの大陸にヨガを広め、それが様々な形態に発展したと信じられている。シヴァにはいくつもの別名があり、例えば最初のヨギを意味する「アディヨギ」や、動物に囲まれる姿をしたパシュパティ「獣の神」と呼ばれていた。

インドにはスワミラーマラーマクリシュナなど、動物に愛されるグル(師)が多い。ヒマラヤ研究所(Himarayan Institute)を設立したスワミラーマは、かつてナルマダー川で彼に惹かれて集まったワニに囲まれて瞑想していたという。またインドで最も慕われているグルの一人、ラーマクリシュナの足元にも、よくライオンやシカが座っていた。パシュパティの姿をしたシヴァは、私たちがヨガを通じて動物としての己の性質を熟知し、神と一体化できることを象徴している。

ヨガ101:アサナの起源と背景
ハラッパー遺跡で出土したパシュパティの印章

およそ2000年前にパタンジャリが編纂した古典ヨガの経典「ヨーガスートラ」にはアシュタンガヨガの八支則の概略が記されている。ヤマ、ニヤマ(道徳的規範)、アサナ(ポーズ)、プラーナヤーマ(生命エネルギーのコントロール)、プラティヤハーラ(制感)、ダーラナ(集中)、ディヤーナ(瞑想)、そしてサマディ(合一、統合)だ。これらは段階というよりも、一つのものが8つに分かれたイメージで、同時に実践すべきとされている。

面白いことに、アシュタンガヨガと仏教の八正道には類似点が多い。国際的なヨガティーチャー、プラディープ・テオティアは、ブッダを史上最も名高いヨギと呼ぶ。ヨガと同様に、仏教でも瞑想と道徳規範に重きがおかれ、美徳を培いマインドを鍛錬することにより私たちはイシュワラ(自在神)と一体化し、カイヴァリヤまたは魂の完全な解放(仏教ではニルヴァーナと呼ばれる)に至るとされている。パタンジャリは偉大な聖者であったが、西洋で親しまれているアサナ練習の創始者ではなかった。経典でもアサナについては一切触れていない。となると、アサナの起源を探るには他のインド伝統を見る必要がある。

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by Zeny Bagatsing-Ogrisseg
Translated by Sachiko Matsunami



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