世界的なヨガ指導者に聞く|太陽礼拝の苦手ポイントを克服する6つのアドバイス

世界的なヨガ指導者に聞く|太陽礼拝の苦手ポイントを克服する6つのアドバイス
Michael Winokur

プランクポーズをキープするのがつらい、あるいはチャトランガが苦手、ジャンプイン・ジャンプバックがうまくいかないetc.「太陽礼拝」で苦手なパートがきっとあるはずだ。その部分をほんの少し調整すれば、優雅で心地よい太陽礼拝の流れを楽しめるようになる。世界中で、アライメントを重視したヴィンヤサヨガのワークショップやティーチャートレーニングを行っているヨガ指導者ジェイソン・グランデルに話を聞いた。

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気持ちの良い太陽礼拝を行うために、苦手な部分に目を向けよう

気持ちのいい太陽礼拝は、最高だ。流れるようにリズミカルに連なるポーズは全身を目覚めさせ、集中力を高め、呼吸を活性化してくれる。しかし、このシークエンス(伝統的にはスーリヤ・ナマスカーラと呼ばれる)を活気づけている連続した力強い動作は、個々のポーズに的を絞って改善する機会を与えにくくもしている。
誰でもだいたい1、2カ所は、苦手なパートがあるだろう。例えば、ランジで前にステップする時に必ずつま先をぶつけるとか、プランクポーズにジャンプバックで入る時に腰に痛みを感じるとか。そういうパートにさしかかった時に、呼吸が乱れたり、早くなったりしないだろうか。あるいは、まわりの人がたてている深い呼吸音の出し方がわからずに戸惑っていないだろうか。これらのちょっとしたトラブル・スポットは、ただ厄介なだけでは済まされない。太陽礼拝がもたらす恩恵のすべてを享受できなくなるのだ。ならば、問題に向き合って、改善し、体に合ったやり方を学ぼう。この練習に時間をかければ、呼吸は深まり、体も強くなり、この必要不可欠なポーズ群のシークエンスを余すところなく味わえるようになるだろう。ここでは、太陽礼拝で不意に現れる、よくありがちな問題をいくつかみていく。段階を踏んで確認していくので、ポーズを見直しながら、自分の体に合ったポーズ間のつなぎの動きを見つけられるだろう。ほんの少し立ち止まって注意を向ければ、次のヴィンヤサヨガのクラスではより楽に安定しながら、スムーズに安全にフローを楽しめるはずだ。

太陽礼拝を動画でチェックしよう

太陽礼拝の一連のフローは、動画でチェックしよう。

https://www.yogajournal.com/videos/salute-the-sun?jwsource=cl

苦手1.体を半分起こせない

これはウッターナーサナ( 立位前屈) から体を起こして、アルダウッターナーサナ( 半分の立位前屈) に入るまでの小さな動きだ。小さいがゆえに、ほとんど背骨を起こさずにやり過ごしていないだろうか。だがこのポーズをいい加減にやってしまうと、呼吸がおざなりになり、首を緊張させる可能性がある。さらに、背骨をまっすぐに伸ばすことができるという、ここで得られる一番の恩恵を逃してしまうのだ。

調整方法

アルダウッターナーサナを十分に行うには、胸を十分に高く前に引き上げて、背骨を伸ばす長い筋肉、傍脊柱筋を引き締めるのがカギとなる。つまり、肩を腰と同じぐらいの高さまで(もしくは腰より少し高く)引き上げるのだ。ハムストリングが非常に柔軟であれば、指先を床につけたまま背骨を前に伸ばせるかもしれないが、大抵の人は、手をすねに置き直す必要があるだろう。

HOW TO

アルダウッターナーサナ
(photo by Michael Winokur)

ウッターナーサナから、両手をすねの真ん中(難しければ、すねの上部)におく。手で軽くすねを押しながら、肩が腰と同じ高さになるまでゆっくりと上体を上げていく。太腿の上部を後ろに引き、背骨を前に長く伸ばして胸を広げる。傍脊柱筋が引き締まっているのを感じながら、息を吸いきってから、ウッターナーサナに入る。

苦手2.プランクポーズで手首や腰が痛い、ホールドがつらい

プランクポーズを不安定な状態で行うと、手首や腰に多大な負荷がかかってしまう。そのような場合は、アラインメントを少し調整すれば、しっかりとコアを使うことができ、肩甲骨が安定するので、全身を均等に働かせながらプランクポーズを行うことができる。そして、プランクポーズが安定すると、その効果は絶大になる。さらに気持ちよく、軽く、そして力強さを感じられるだろう。

調整方法

通常プランクポーズでは、両腕の位置は肩が手首の真上にくるように、と教えられる。もちろん、これは一つの正しいやり方だ。だが、両手を肩よりも少し前に出すと、肩甲骨の外側の筋肉を楽に使えるようになり、耳から肩を遠ざけやすくなるので、首を緊張させずに長く伸ばせるのだ。さらにコアの筋肉もより強く使えるだろう。

HOW TO

プランク
(photo by Michael Winokur)

まずは手首の真上に肩が来るように、プランクポーズに入る。両足を5 ~ 10㎝後ろに引いて、両手の位置が肩より少し前に出るようにする。手の指の付け根でしっかりと床を押しながら、肩甲骨を広げ、両肩を耳から遠ざける。この動きによって、腕と上背部が活性化するだろう。コアを目覚めさせるために、肋骨の前部と胸骨の下部を床から遠ざけるようにして、少し体の中に引き込む。この微細な動きが腹筋上部に火をつける。同時に尾骨を少し下げて、ヒップポイントを太腿上部から遠ざけるようにする。

苦手3.片足を両手の間に踏みこめない

アド・ムカ・シュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)からランジや戦士のポーズⅠに移る時に、片足を両手の間まで一気に出すのに苦労していないだろうか。十分に足を前まで出せないまま次のポーズに入ってしまうと、膝を曲げすぎてしまうし、股関節屈筋を十分に伸ばせなくなる。さらにウッターナーサナに戻る時に、後ろの足も前に出しにくくなってしまうだろう。ほんの少し調整すれば、正しい足幅を見つけることができ、膝への負担をなくし、背部の股関節屈筋も伸ばせるようになる。

調整方法

ダウンドッグから両手の間に一気に片足を踏み出せない場合、一度両膝を床についてみよう。

ランジ
(photo by Michael Winokur)

面倒だと思うかもしれないが、この動作によって、前に踏み出す足の正しいポジションを得られる。練習を重ねれば、呼吸を妨げたり、後れを取らずに両膝をつけるようになる。

HOW TO

ダウンドッグでゆっくりと深く息を吸う。その後、息を吐きながら、両膝を床について、四つんばいになる。息を吐ききりながら、体を左側に少し傾けて、右手で右足首をつかみ、手を使って一気に足を前に出す。

ランジ
(photo by Michael Winokur)

右手の指先を右足の横について、息を吸いながら後ろの膝を伸ばし、ランジ、もしくは戦士のポーズⅠに入る。

苦手4.前にジャンプするときに力んでしまう

ダウンドッグから前にジャンプして両手の間の完璧な位置に着地し、そのまま前屈に入る――これが美しい流れだ。だが、これは必ずしも必要ではない。大抵の人は両手の位置まで一気にジャンプできない(立位か座位の前屈で簡単に胸を脚につけられる人は可能だ)。体の可動域を超えて前にジャンプしようとすれば、上背部や首に余分な負担がかかってしまうだろう。

調整方法

ダウンドッグからスムーズに両手の間にジャンプできるなら、ここで止まる必要はない! だが、手前に着地してしまう人も、何かが間違っているとか、手の間まで一気に跳べるほうが効果があると思わなくていい。着地できる位置は、ハムストリングの柔軟性次第だからだ。ハムストリングがそれほど柔軟でない人は、手の間までジャンプできなくてもいい、と自分に言い聞かせてみよう。さもないと、肩や首に多大な負担がかかってしまう。

HOW TO

ジャンプイン
(photo by Michael Winokur)

両膝を曲げて、前に移動する準備として、視線を前に移す。着地したい位置を集中して見つめよう。息をほぼ吐ききるあたりで、前にジャンプする。息を吸っている間や吐き始めでジャンプをすると、体の中央部が息でふくらんでいるため、前に跳ぶのがさらに難しくなる。自分の体ができる範囲で前にジャンプすればいいのだ。ここに着地しなくてはいけない、という意識は捨てよう。

苦手5.ジャンプバックがうまくできない

「ジャンプバック」といえば、ウッターナーサナからチャトランガダンダーサナ(四肢で支える杖のポーズ)に移る動きのことだ。だがそれを文字通りに解釈して行うと、問題が起こる。全体重をかけて思いっきり後ろに跳んでしまうと、おそらく両手が前に出すぎた状態でチャトランガに入ることになるだろう。上半身があるべきポジションにないと、肩に負荷がかかり、腰を圧縮してしまう。

調整方法

アラインメントの整ったチャトランガを行える位置に着地するには、胸を前に出す動きによって、後ろに跳ぶ脚の力とのバランスを図る必要がある。これには腹筋の強さだけでなく、体への意識の高さが要求されるが、練習を続ければ身につくだろう。ジャンプバックができるようになると、さらなる力強さは必要となっても、ポーズ間でより軽く、スムーズに、優雅に動けるようになるだろう。

HOW TO

ジャンプバック
(photo by Michael Winokur)

ウッターナーサナから両膝を曲げて、手のひらを床につけ、体をやや前に傾ける。前方を見つめ、前の床に意識を集中させる。両肘をさらに深く曲げ、ジャンプバックすると同時に、胸を前に突き出す。胸を前に突き出しながら後ろに跳んだ時、腹筋を引き締め、両腕を曲げて両肘を肋骨の脇に寄せるようにする。ジャンプする時は腹筋を引き締めやすくするために、必ず息を吐くようにしよう。数回繰り返すとコツがわかってくるので、何回かやってみよう。

苦手6.チャトランガダンダーサナをホールドできない

チャトランガのアラインメントはとても複雑なため、ヨガでは最も難しいポーズの一つとされている。体に十分な強さがないと、適切なアラインメントでポーズを行うのは難しいため、肩、手首、腰を痛めやすい。逆説的にいうと、正確にチャトランガができるだけの体の強さを持っていないと、ポーズ自体から生み出される力強さが得られにくくなってしまう。

調整方法

チャトランガを調整するには数多くの方法がある。一つは、フローを行いながら強さを培うために、両膝を床につけ、シャラバーサナ(バッタのポーズ)(写真上)か、ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)(写真下)を行うことだ。

チャトランガ
バッタのポーズ(photo by Michael Winokur)
チャトランガ
コブラのポーズ(photo by Michael Winokur)

少しの間、これらのポーズを代わりに練習すれば、チャトランガのアラインメントが身につくだろう。バッタのポーズで手の平を床に向けることで、腕と上背部の外回旋筋が鍛えられる。また、コブラのポーズでは、肩、腕、胸の回旋腱板を鍛えることができる。これらのポーズはきついけれども、取り組みやすいので、非常に役に立つ。まわりの人がチャトランガをやっていようとも、これらのポーズのうちの一つを行えばいい。2つのポーズを交互に繰り返せば、バランスよく鍛えることができる。

HOW TO

①チャトランガの代わりにバッタのポーズを行うため、うつぶせになる。両腕を後ろに伸ばし、手のひらを床に向ける。足の甲から恥骨までを軽く床に押しつける(このバージョンでは足をずっと床につけている)。頭、胸、肩、腕を床からできるだけ浮かせる。両肩を耳から遠ざけるようにし、上背部と腕が強く使われているのを感じよう。息を吐きながら全身を床に下ろし、太陽礼拝を続ける。

②コブラのポーズを行うために、両手のひらを床につけ、指先の位置が胸の真ん中あたりにくるように調整する。手のひら全体を床に押しつけながら、肘を中央に寄せて、胸を引き上げる。適度に背骨を伸ばし、両肘は曲げたまま、体側に引き寄せる。肩甲骨を背中で引き締めて寄せる。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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text by JASON CRANDELL
photos by Michael Winokur
model by Philip Liu
translation by Sachiko Matsunami

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チャトランガ
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