目に見えない「心の疲労」を手放す、視覚を使った練習法【 ヨガと睡眠 ♯6】

 目に見えない「心の疲労」を手放す、視覚を使った練習法【 ヨガと睡眠 ♯6】
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井上敦子
井上敦子
2019-06-12
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安眠に必要な心のケア

心配事があったり、悲しい気持ちを抱えていたり、心の平穏がない状態で眠りについた次の日の朝、休んだのにも関わらず気持ちがスッキリしないことがありませんか?睡眠は身体と脳の休息時間なので、残念ながら心を癒す力はそれほど高くはありません。心と身体は互いに影響し合う関係にあるので、身体の疲労が抜ければ心の波も穏やかになることはあります。でも、過度の心の緊張を解放するためには睡眠だけでは不十分です。それどころか、その心の緊張が安眠の妨げになってしまうこともあります。質の良い睡眠を得るためにも、積極的に心の緊張を解放し、心のケアをしていきましょう。

では、心の緊張を解放するためには、どのような手段があるのでしょうか?ヨガニードラでは、心の緊張を解放するために、『ヴィジュアリゼーション』という手法を使います。ヴィジュアリゼーションは、日本語に訳すと視覚化です。イメージする力を使い、それを視覚化する(脳内に映像化する)ことで、身体や心に変化を起こしていくのです。例えば、すっぱいレモンを想像してみます。そして、そのレモンを食べている自分を映像で思い浮かべてみます。すると、唾液が出たり、すっぱい味覚が口内に広がったりしませんか?これは、私たちの意識が作り出す視覚化された世界が、身体や感覚に影響を及ぼすという一例です。同じように、リラックスするイメージを視覚化したり、心が穏やかになるイメージを視覚化したりすることによって、心のケアをしていくのがヨガニードラのヴィジュアリゼーションのテクニックです。

気軽にヴィジュアリゼーションを試してみよう!

とはいえ、まだまだ日本では、ヨガニードラのクラスが少ないのが現状です。ヴィジュアリゼーションの練習を試したくても、物理的にヨガニードラのクラスが受講出来ない場合もあるのでしょう。そこでオススメなのが、『リラックスのイメージを視覚化する』ヴィジュアリゼーションの練習を日常の中で試してみることです。本格的なヨガニードラの練習は別の機会にするとして、まずは一人で気軽に練習してみましょう。

練習は、落ち着く環境で行います。座っていても、横になっていても構いません。目を閉じてチダカーシャという額の裏側にある部分に意識を向け、そこに大きな黒いスクリーンがあると想像してみます。映画のスクリーンのような空間を、額の裏側にイメージするのです。そして、その黒いスクリーンに、自分が最もリラックスできると思う風景をイメージしてみます。朝日を拝んだり、草原を散歩したり、海を泳いでみたり。自分がそのスクリーンのなかでとても心地よく穏やかに、リラックスしていく姿をイメージしてみましょう。緊張や強い感情が湧いてきたら、それらも柔らかくなっていくのをイメージします。出来るだけ鮮明に、リアルに映像をスクリーンに映し出すことがポイントです。

私たちの意識は、とても強い力を持っています。置かれた環境を変えることが出来なくても、他人のことは変えられなくても、自分の内側だけは意識によって変化させることが出来ます。ヨガは、自分の内側の世界に向かっての働きかけです。自分の意識やその意識が持つ力を信じて、心を平穏へと導きましょう。そのために、イメージの力を借りましょう。自分の心がどうしたらケアできるのか?自分自身がどんなケアを必要としているのか?自分を掘下げ大切に慈しんでいく過程こそが、ヨガの練習といえるのではないでしょうか。ヨガニードラの練習が必要だと感じた方は、ぜひスタジオレッスンに参加されて下さい。でも、スタジオでないと練習が出来ないと決めつけず、安眠のためにもまずは気軽にヴィジュアリゼーションを試しながら心のケアをしていきましょう。

井上敦子
15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。Instagram:@yoga_atsuko.inoue 

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