閉経後の女性は要注意?コーヒー1日3杯以上と鉄不足の関係|管理栄養士が解説
朝の目覚めの1杯や、食後のコーヒーを楽しむ方も多いのではないでしょうか。実は、コーヒーに含まれるポリフェノールには、鉄の吸収を妨げる作用があります。ただし、コーヒーを飲むと必ず貧血になるわけではありません。今回は、コーヒーと鉄の吸収の関係や、特に注意したいケースについて、管理栄養士が解説します。
コーヒーのあの成分が鉄分の吸収を妨げる
コーヒーには、苦味や渋みに関係する、タンニンやクロロゲン酸などのポリフェノールが含まれています。これらの成分は鉄と結びつくことで、特に植物性食品などに含まれる「非ヘム鉄」の吸収を妨げることがあります。
研究では、コーヒーを食事と一緒に摂ることで、鉄の吸収量が低下することが報告されています。
ただし、食事に含まれる鉄には、肉や魚などに含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品などに含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は非ヘム鉄と比べて、食事中の成分による影響を受けにくいとされています。
食後のコーヒーはダメなの?
「鉄分の吸収が阻害される」とあると、食後のコーヒーは飲んではいけないのかと思われるかもしれません。
日本人を対象とした緑茶とコーヒーの摂取量と体内の鉄貯蔵量との関連性について調べた研究があります。
この研究で、男性と閉経前の女性では、コーヒーの摂取による貯蔵鉄量への有意な影響は見られませんでしたが、閉経後の女性で、コーヒーを3杯以上飲む人では、ほとんど飲まない人と比べて鉄欠乏との関連がみられました。
コーヒーによって鉄の吸収が妨げられても、それがそのまま全員の鉄欠乏や貧血につながるわけではありません。
人間の体は複雑で、栄養の吸収はさまざまな要因を受けます。鉄の吸収が阻害される=貧血とは一概には言えないようです。年齢や性別、鉄の摂取量、体内の鉄の貯蔵量などによっても影響は異なります。
注意した方がよい人
コーヒーによる貯蔵鉄への影響は限定的であるという研究結果から、鉄分不足がない人は過度に控える必要はないと考えられます。
しかし鉄分不足のリスクがある人は、注意が必要な場合があると考えられます。
鉄欠乏性貧血の治療中
鉄欠乏性貧血の治療中で鉄剤を服用している場合は、コーヒーなどの飲み物との飲み合わせについて、医師や薬剤師に確認しましょう。
月経過多
月経の出血量が多いと鉄欠乏性貧血のリスクが高くなります。血液の成分の一つである赤血球は鉄分が材料です。
そのため出血量が増えると鉄分の損失も大きくなります。
献血を行う習慣がある人
頻繁に献血をする人は、血液を失うことで鉄の必要量が増え、鉄不足につながることがあります。
献血を行う習慣がある人は、コーヒーを飲むタイミングや、鉄を含む食品の摂取状況などを見直してみてもよいでしょう。
自身の体の状態や生活習慣を見極めることが大切
体への栄養の吸収はさまざまな要因の影響を受けます。コーヒーと鉄分吸収の関係も一見すると、「吸収が阻害される=飲んではダメ」と考えてしまいますが、自身の体の状態によって、影響の大きさは異なります。食事は健康な体を維持するために必要であると同時に、心の健康にも大きく関係しています。体の健康のためにあれもこれも制限してしまうと心が疲れてしまうかもしれません。
食事から十分に鉄をとることを意識しつつ、必要に応じてコーヒーを飲むタイミングを見直すことで、鉄不足に配慮しながらコーヒーを楽しむことができます。
参考文献
Association between green tea and coffee consumption and body iron storage in Japanese men and women: a cross-sectional study from the J-MICC Study Saga
Iron absorption and phenolic compounds: importance of different phenolic structures
厚生労働省 eJIM「鉄」
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