HSPの人が職場で自分を消耗させすぎない3つの処世術

HSPの人が職場で自分を消耗させすぎない3つの処世術
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「HSPだとわかった。でも、仕事は相変わらずしんどい」そんなあなたへ。HSP専門のキャリアコンサルタントが「自分が消耗しにくい環境」を知り、働き方を組み立て直していく方法をお伝えします。『繊細な自分のままで賢く生きる』(フォレスト出版)より内容を一部抜粋して紹介します。

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HSPとは:アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した「Highly Sensitive Person」(感受性が非常に高い人)という心理概念をもとにした言葉です。刺激や変化を深く受け取り、気持ちも深く動きやすいため、よく考えて行動を選ぼうとする生まれ持った気質のことです。HSPは病気や、性格の欠陥ではなく、神経系の特徴の一つとされています。人口の約30パーセントにみられるとされ、特別な少数派というより、人間の自然な気質のバリエーションの一つです。

この3つがあると、すごくラクになれる

ここからは、HSPが職場で自分を消耗させすぎないための、具体的な処世術を取り入れていきましょう。

HSPの反応をなくす必要はありません。
大切なのは、飲み込まれすぎないこと。
ここからは、今日から職場で使える、工夫をお伝えします。

  • 間をおく
  • 主語は誰?
  • 思いを伝えていい

この3つです。

間をおく

便利なのが、マイルールを持っておくことです。相手への返事は〝あとでもいい〟、などすぐ答えを出さなくてもいいことにしておきましょう。

とはいえ、相手に何も言わずにいるのは失礼ですから、あらかじめ短いフレーズを用意しておくと、かなり楽になります。

「スケジュールを見てからでもいいですか?」

こうした言葉を持っておくだけで、その場の空気に飲み込まれにくくなります。
反射的に飲み込まれないためには、神経を落ち着かせる時間を自分に許すことと同時に、時間が必要であることを相手にも伝える必要があります。

場合によっては、フレーズをいう余裕さえ持てないこともあるでしょう。
そんな時は、手元のメモやPCに一度視線を落とすふりをしてください。メモやPCを見るのは決して失礼ではありません。視覚から入る刺激を少し減らし、自分の感覚へ戻る時間を作りましょう。

冷静になったら、自分なりの判断を出せるはずです。

間をおいて、反射的に相手の波に呑まれないようにするのは、神経のキャパオーバーから自分を守りながら、深い洞察力を活かしていくための、大切な工夫なのです。

「その場ですぐ答えなきゃ」という焦りが減るだけでも、仕事中の疲れ方はかなり軽やかになります。

以前より冷静に考えられたり、自分の判断に納得感を持てるようになったり、「仕事に振り回されている感覚」から解放される方もいます。

主語は誰?

「主語は誰?」というのは、今、自分が感じていることや考えは、本当に自分のものなのかを確認すること、です。

主語
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私はセッションで、主語を意識してもらうことがよくあります。

たとえば、「環境を変えたくて、転職した方がいいのかなと思っています」という悩みを、詳しく聞いていくと、「ベンチャー企業のイケイケな雰囲気が、自分にはつらい」という内容だったりします。

ここで大切なのは、悩んでいることを具体的に、明らかにしていくことです。このお悩みであればどんな状態を、イケイケだと捉えているのかをもっと話していただきます。

すると、「みんな忙しそうで……」という話が出てきます。

こういう時、私は、「みんなが忙しいというのは、みんなからそう言われたのでしょうか?」と伺います。すると、ほぼ間違いなく、「いえ、はっきりそう言われたわけではないんですが、相談しづらくて」と答えが返ってきます。

次に、私は、「相談しづらいから相談していない」のは、誰でしょうか? とお伺いします。すると、「私ですねえ」と返ってきます。

つまり、「みんなが忙しそうに見える」という感覚と、「だから自分は相談してはいけない」という判断が、頭の中で自然につながってしまっているのです。本当は相談したかったのだけに……。

もちろん、この方の感じていること自体が間違いとは限りません。実際に、みんなが忙しそうな空気を出していることもあるでしょう。ただ、忙しそうだとあなたが感じることと、あなたが相手に話しかけてはいけないかどうか、は別の話です。

日本語は、主語をはっきり言わなくても会話が成立しやすい言語です。そのため、誰の感情なのか、誰の考えなのか、誰の問題なのかが曖昧なまま話が進みやすいところがあります。同じようなことが、悩みを考えている自分の頭の中でも起きるのです。

そこで、あえて「主語」をつけながら整理していくと、「あれ? 私は何を悩んでるんだっけ」と立ち止まりやすくなります。

HSPの人は、相手の空気や感情を自然に深く受け取るため、いつの間にか「相手が感じていること」と「自分が感じていること」が混ざりやすい傾向があります。そこで何が起きるかというと、相手の空気を深く受け取るぶん、気づいたら「相手の問題」まで、自分が背負い始めていることがあります。

どこまでが自分が責任を負うべきか、線引きをした方が仕事を進めやすくなります。

だからこそ、「これは誰の感情なんだろう」「誰の課題なんだろう」と、一度切り分けてみると、落ちついて対応できるはずです。

HSPの人は、人の気持ちに深く寄り添える力を持っています。その力を消耗ではなく、本来の優しさや洞察力として活かしていくためにも、「主語は誰?」という視点は、とても大切な処世術なのです。

自分の感覚を伝えていい

HSPの人に必要なのは、空気に合わせ続けることではありません。自分の感覚も、ちゃんと職場に持ち込みましょう。
空気を読むことに慣れすぎて、自分がどう感じているかを見失ってしまうことがあります。

そんな時は、「実際に起きていること」と、「自分が感じたこと」、そして「これから起きそうだと思ったこと」を分けて整理してみてください。

たとえば、上司に少し強めの口調でアドバイスを受けた時、頭の中では、大量の情報処理が起きます。HSPの人は、「感じたこと」や「想像したこと」まで、現実のように受け取ってしまいやすいのです。でも、情報を分けて見てみると、「まだ起きていないこと」まで抱え込んでいたことに気づける場合があります。

たとえば、会議中に話がどんどん進み、「今ここで結論を出さなきゃ」と焦ってしまうことがあるかもしれません。そんな時、「少し整理してからお返事してもいいですか?」と、自分の状態をそのまま伝えていいのです。あるいは、仕事量が限界に近い時に、「今の状態だと少しオーバーペースかもしれません」と共有してみる。

こうした言葉は、わがままではありません。

むしろ、自分の状態を把握し、周囲と調整しながら働こうとしている、健全なコミュニケーションです。

自分の感覚を少しずつ言葉にできるようになると、「空気に合わせるしかない働き方」から抜け出しやすくなります。

最初は勇気がいるかもしれません。
ですが、少しずつ伝えていくことで、周囲とのすれ違いや誤解は減っていきます。周囲も、あなたが思っている以上に、「あなたとどう関われば働きやすいのか」を知りたがっている場合があります。

感受性を抑え込むのではなく、自分の感覚も大切にしながら働けるようになること。

それが、HSPにとっての〝頑張りすぎない処世術〟なのです。

書影
『繊細な自分のままで賢く生きる』(フォレスト出版)

この本の著者…みさきじゅり

HSP専門キャリアコンサルタント・国家資格キャリアコンサルタント。自身もHSS型HSP。日本におけるHSPキャリア支援の先駆者の一人として、2018年より専門的な支援に従事。営業・人事など日系/外資での実務経験を持ち、約30年にわたり心理学・自己理解・キャリア形成を学び続けてきた。これまで延べ数千人のキャリア・転職・人間関係の相談に携わり、「人×環境×神経特性」の相性を重視した支援を行う。自著4冊・累計約3万部。ダイヤモンド・オンラインへの寄稿は今も読み継がれ、新聞・雑誌などメディア取材実績も多数。現在は転職エージェントのキャリアアドバイザーとしても活動している。

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