「比べなくていい」と言われても比べてしまうあなたへ。アーユルヴェーダで知る”私の本質”
今年も後半に入り、ふと「私は何ができただろう」と立ち止まる瞬間はありませんか? SNSを開けば、誰かの充実した日々が目に入ります。新しいことに挑戦している人、丁寧に暮らしている人、いつも穏やかに笑っている人。「比べなくていい」と頭ではわかっているのに、気づけば自分と重ねて、少し心が沈んでしまうことがあるかもしれません。 過去の私も、まさにそうでした。今回は、そんな「比べてしまう自分」を責めるのではなく、やさしく見つめ直すためのヒントを、アーユルヴェーダの観点からお話しします。
比べてしまうときは、少し外側に意識が向いているのかも
「比べないようにしよう」と思うほど、かえって「比べてしまう自分はダメなのかも」と感じてしまうことはありませんか?アーユルヴェーダでは、心と身体は常に影響し合っていると考えます。忙しさや睡眠不足、季節の変化などで身体に余白がなくなると、心も落ち着きにくくなり、外から入ってくる情報に揺らされやすくなることがあります。特に秋は、アーユルヴェーダではヴァータが高まりやすい季節。風のように軽く、動きのあるヴァータが強くなると、思考もあちこちに飛びやすくなります。
そんなときにSNSを開けば、誰かの暮らしや生き方が次々と目に入ってきます。
「私ももっと頑張らなくちゃ」
「私は何もできていないかも」
もし、そんな気持ちが出てきたら、まずは自分を責めるのではなく、「今、少し外側に意識が向きすぎているのかもしれない」と気づいてあげる。それだけでも、自分に戻るきっかけになります。
そもそも、私たちはみんな違う
アーユルヴェーダには「プラクリティ」という考え方があります。生まれ持った心と身体の性質や傾向のことです。身体の大きさや肌質、消化の特徴、眠りの深さ、活動量だけでなく、考え方や行動の傾向にも、その人らしさが表れると考えます。
アーユルヴェーダでは、ヴァータ・ピッタ・カパという3つのドーシャという生命エネルギーの組み合わせによって、その人の性質を見ていきます。
たとえば、
・軽やかで行動が早く、好奇心が旺盛な人。
・集中力が高く、物事をテキパキ進めるのが得意な人。
・穏やかで落ち着いていて、じっくり取り組むことが得意な人。
どれが優れている、ということではありません。それぞれに得意なことがあり、それぞれに心地よいリズムがあります。なので、本来は人と同じになる必要はないのです。
「本質」と「今の状態」は同じではない
ここで、アーユルヴェーダの面白いところがあります。生まれ持った自分の性質と、今の自分の状態は、同じではありません。本来は穏やかでマイペースな人なのに、忙しい日々が続くと、落ち着かなくなったり、考えが止まらなくなったりすることがあります。普段は冷静な人でも、頑張りすぎて余裕がなくなると、イライラしたり、完璧を求めすぎたりすることもあります。つまり、「今の私はこうだから、私はこういう人間なんだ」と決めつけなくていいのです。
今の状態は、睡眠、食事、季節、環境、仕事、人間関係など、日々のさまざまな影響を受けて変化します。だからこそアーユルヴェーダでは、「今の自分はどうなっているか?」を観察しながら、自分本来のバランスへ戻っていくことを大切にします。
「比べない」より、「自分に戻る」
人と比べないことを目標にすると、比べてしまったときに「また比べちゃった」と自分を責めることになります。でも、誰かを見て心が動くこと自体は、悪いことではありません。
そんなときは、「私は、あの人の何に惹かれたんだろう?」と問いかけてみてください。
自由に働いていることが羨ましかったのかもしれない。
好きなことを楽しんでいる姿かもしれない。
家族との時間を大切にしていることかもしれない。
そこには、自分が本当は大切にしたいものが隠れていることがあります。「私もあの人みたいにならなくちゃ」ではなく、「私は本当は、どう生きたいんだろう?」と、自分に意識を戻してみる。それが、自分の本質を知る一歩になるのだと感じています。
「私の本質」に戻るための3つの習慣
最後に、自分の意識が外へ向かってしまっているときに、自分の本質に戻るための習慣をご紹介いたします。
1.温かいものを、ゆっくり味わう
温かいスープや炊きたてのごはんを、一口ずつゆっくり味わってみましょう。
ヴァータが高まりやすい秋は、冷たいものや刺激の多い情報を取り込み続けるよりも、温かく、落ち着いた時間を意識することが大切です。
食べることに意識を戻すだけでも、心は「今ここ」に帰ってきます。
2.情報から離れる「余白の時間」をつくる
朝起きてすぐと、夜眠る前の30分だけでも、スマートフォンをそっと置いてみる。誰かの情報が入ってこない時間をつくると、自分の感覚が少しずつ聞こえてくるようになります。
3.「できたこと」ではなく「心地よかったこと」を書く
一日の終わりに、「今日、心地よかったこと」をひとつ書いてみてください。朝の空気が気持ちよかった。淹れたお茶がおいしかった。子どもと笑った時間が嬉しかった、など、日常の些細なことで大丈夫です。小さな記録を重ねていくと、自分が何に喜びを感じ、何を大切にしたいのかが少しずつ見えてきます。
もし、比べてしまう自分がいたら、それは、あなたが一生懸命に生きてきた証でもあります。大切なのは、比べないことではなく、比べたあとに自分のところへ戻ってこられることです。秋は、意識があちこちに向かいやすい季節。外に向いていた意識を、そっと自分に戻してあげてくださいね。
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