朝、安静にしているのに「心拍数が高い」…体からのSOS?普段より脈が速いときに注意したいこと|医師が解説

朝、安静にしているのに「心拍数が高い」…体からのSOS?普段より脈が速いときに注意したいこと|医師が解説
Adobe Stock
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-09-29

朝の心拍数が少し高いだけなら、必ずしも心配する必要はありません。しかし、「最近ずっと高い」「以前より明らかに速くなった」という変化には、体調の変化が隠れていることがあります。医師が解説します。

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

朝の心拍数は、自分の体調を知る手がかり

朝起きて、まだ何もしていないのに「今日は脈が速いな」と感じたことはありませんか?

スマートウォッチなどを見て、「いつもは60~70回くらいなのに、今日は85回、90回ある」と気づく人もいるでしょう。

成人の安静時心拍数は一般に60~100回/分程度が目安です。そのため、90回だからすぐ病気というわけではありません。
年齢、睡眠、精神的な緊張、体温、カフェイン、薬などによっても心拍数は変動します。

一方で、自分の普段の値と比べて明らかに高い状態が何日も続く場合には、体の中で何かが起きている可能性があります。

「100回以上」なら一つの目安になります

安静にしているときの心拍数が100回/分を超える状態は、医学的には「頻脈」と呼ばれます。日本循環器学会でも、おおよそ100回/分以上を頻脈としています。

ただし、100回を超えたら必ず病気という意味ではありません。

例えば、朝急いで起き上がった直後、コーヒーを飲んだ後、寝不足だった日、緊張しているときなどは、一時的に心拍数が上がることがあります。

重要なのは「一度だけ100回だった」という数字よりも、安静にしているのに高い状態が繰り返されているかです。

脱水や発熱でも脈は速くなる

朝の心拍数が普段より高いとき、まず考えたいのが体の水分不足です。

寝ている間にも汗や呼吸によって水分は失われます。

特に夏場や、前日にお酒を飲んだ日、下痢や発汗があった場合には、体内の水分が不足して心拍数が上がることがあります。

また、風邪や感染症などで発熱しているときにも、体は酸素や血液をより多く必要とするため、脈が速くなることがあります。

「朝からなんとなく脈が速い」という変化が、実は風邪や感染症の始まりだったということもあります。

「鉄分不足」でも脈が速くなることがあります

先ほどの記事でも取り上げた鉄欠乏性貧血も、心拍数が高くなる原因の一つです。

貧血になると、血液が運べる酸素の量が減少します。

すると体は、心臓をより速く動かして血液を送り出すことで、全身に酸素を届けようとします。

そのため、貧血がある人では、動悸や息切れ、疲れやすさとともに心拍数が高くなることがあります。安静時の頻脈の原因として、貧血や感染症、甲状腺ホルモンの過剰などが知られています。

「最近、脈が速い」「疲れやすい」「階段で息切れする」という組み合わせがある場合には、血液検査を受けてみる価値があります。

甲状腺の病気が隠れていることも

もう一つ注意したいのが、甲状腺機能亢進症です。

甲状腺ホルモンが過剰になると、体の代謝が活発になり、安静にしていても動悸や脈の速さを感じることがあります。

甲状腺
photo/Adobe Stock

「以前より汗をかくようになった」「暑がりになった」「体重が減ってきた」「手が細かく震える」「イライラしやすくなった」といった変化が一緒にあれば、甲状腺の状態を調べることがあります。

心拍数だけでなく「リズム」も確認しましょう

実は、心拍数の数字だけではなく、脈が規則正しいかどうかも重要です。

例えば「トン、トン、トン」と一定の間隔で速くなっている場合と、「トン、トン……トトン、トン」と不規則になっている場合では、考える病気が異なります。

頻脈
image/Adobe Stock

心房細動などの不整脈では、脈が不規則になったり、動悸や息切れを感じたりすることがあります。日本循環器学会も、動悸、息切れ、めまい、胸苦しさなどが不整脈の症状になると説明しています。

スマートウォッチで「心拍数が高い」と気づいたら、可能であれば実際に手首で脈を触れて、速さだけでなく規則性も確認してみるとよいでしょう。

朝の「いつもとの違い」を記録してみる

一番おすすめしたいのは、自分の普段の心拍数を知っておくことです。

例えば、毎朝起きてトイレに行った後、座って数分間安静にしてから心拍数を測ります。

「普段は62~68回なのに、今日は82回ある」というように、自分自身の基準値を持っていると、体調の変化に気づきやすくなります。

ただし、スマートウォッチなどの数値はあくまで参考です。異常な数値が続く場合には、医療機関で実際の脈拍や心電図などを確認してもらうことが大切です。

こんな「脈の速さ」には注意してください

特に注意したいのは、次のようなケースです。

  • 安静にしているのに100回/分以上が繰り返される
  • 普段より20~30回以上高い状態が続く
  • 脈が速いだけでなく、不規則になっている
  • 動悸、息切れ、胸の痛みがある
  • めまいやふらつき、失神がある
  • 発熱など明らかな原因がないのに脈が速い
  • 最近、体重減少や手の震え、発汗が増えている
  • 疲れやすさや顔色の悪さも出てきた

このような場合には、一度内科や循環器内科などで相談することをおすすめします。

「脈が速い=心臓の病気」とは限りません

ここは誤解してほしくないところです。

心拍数が高いからといって、必ずしも心臓そのものに異常があるわけではありません。

脱水、発熱、貧血、甲状腺の異常、睡眠不足、ストレス、カフェイン、薬など、心拍数を上げる原因は数多くあります。

つまり、頻脈そのものを無理に下げるというより、なぜ脈が速くなっているのかを考えることが重要です。

「いつもと違う」は、体からの小さなメッセージかもしれません

朝の心拍数が少し高いだけなら、必ずしも心配する必要はありません。
しかし、「最近ずっと高い」「以前より明らかに速くなった」という変化には、体調の変化が隠れていることがあります。

特に、安静時でも100回/分を超える状態が続く場合や、胸痛、息苦しさ、めまい、失神などを伴う場合には、放置しないことが大切です。

毎日の血圧を測る人は多いと思いますが、これからは時々、「今の心拍数は、自分にとっていつも通りか」にも目を向けてみてください。

血圧と同じように、心拍数も毎日の体調を知るための大切な手がかりになります。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

甲状腺
頻脈