〈和歌山⇔神戸〉夫婦別々で二拠点生活で広がった世界とは? #暮らしの選択肢

〈和歌山⇔神戸〉夫婦別々で二拠点生活で広がった世界とは? #暮らしの選択肢
写真提供: Mami

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

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今回、お話を伺ったのは、神戸にあるひとり暮らしの団地と、夫と暮らす和歌山の自宅を行ったり来たりする二拠点生活を送っているMamiさんです。二拠点生活をはじめたきっかけは、16年間、和歌山のご自宅で続けた「くらしの道具店」の2店舗目をオープンするため。お店を閉店した今も、夫婦別々に二拠点生活を続けています。なぜでしょうか?Mamiさんの二拠点生活に迫ります。

〈プロフィール〉 Mami

1973年生。

元くらしの道具店店主の第二の人生、

子育てを終えた50歳からの新しい生活。

ひとり暮らしの古い団地と夫と暮らす自宅、二拠点を行ったり来たり。

You Tube: @na_zu_na

Instagram: @na_zu_na / @mami_nazuna

二拠点生活のきっかけは、雑貨店を開くため。

– 二拠点生活を始められた経緯について教えて下さい。

Mamiさん: 私は、和歌山の自宅の敷地内で16年ほど暮らしの道具を扱った雑貨店をしていたのですが、別の場所にお店を出そうと思ったのが、二拠点生活につながりました。長らく、別の場所で挑戦したい思っていたのですが、3人の子どもたちがいたこともあり、なかなか踏み切れずにいたんです。それでも、年を追うごとに2店舗目を開きたいという思いが強くなっていきました。末娘がまだ家にいた頃から、物件を探し始めるなど本格的に動き出したのですが、最初は和歌山市内で場所を探していました。それであれば、通いで切り盛りできると思ったので。ただ、なかなか良い物件を見つけることができず。そうしているうちに末娘が進学で家を出ることになり、県外で物件を探し始めることに。そして、神戸で良い物件を見つけたんです。それが今の住まいになるのですが、和歌山と神戸は距離があるため、日帰りでは難しい。そのため、最初から住居でお店を出すことを考え、その条件にも合ったんです。2024年12月に2店舗目を神戸にオープンし、そこから二拠点生活をはじめました。

– 和歌山と神戸を行ったりきたりしての2店舗運営は、かなりハードではなかったですか?

Mamiさん: そうですね。最初の半年間は、和歌山と神戸を行き来して、2店舗を運営していたのですが、それには限界がありました。ただ、神戸のお店をオープンした頃から、和歌山の方のお店はそろそろ卒業時かと思っていたんです。そのため、神戸のお店をオープンしてから半年後に、和歌山のお店は閉めました。心機一転、これからは神戸一本でと思った矢先に、ぎっくり腰になってしまったんです。それも強度のぎっくり腰で、お店を開けられないほど。当時はショックでしたが、今振り返ってみると、強制ストップがかかったことで、考える時間ができたことは不幸中の幸いだったのかもしれません。その時に感じたのが、物販に対する仕事はもう和歌山で終わっていたんじゃないかということでした。また、ぎっくり腰が治りかけた頃に、ウォーキングをはじめたんです。その時に見た景色がとても素敵で、それをシェアしたいと思い、試しにYou Tubeに上げてみました。すると、その動画が思いの外、大きな反響があり。それが励みになり、これからはYouTubeに力をいれていきたいと思ったんです。それで、神戸のお店は、オープンから1年で閉めることにしました。

 

– お店を閉めた後も、二拠点生活を続けようと思ったのはどうしてでしょうか?

Mamiさん: 和歌山に帰るという選択肢もあったのですが、やはり神戸が好きだからというのが大きいですね。神戸で暮らす前から、私には別の場所があるような気がずっとしていたんです。それで、神戸と和歌山を行き来するようになって、実際にこの場所で過ごすようになってその感覚は間違いではなかったと思いました。

– 神戸を選んだのは、どうしてでしょうか?

Mamiさん: 神戸は、昔から大好きな場所だったんです。便利な街ですが、海や山など自然もあり、落ち着いた雰囲気にとても魅力を感じています。また、老後のことも考えて、神戸のような都会で、動きやすい環境の方が良いのではないかと思ったんです。

– では最初から、お店の経営だけではなく、老後のことを視野に入れての物件探しだったんですね。

Mamiさん: はい。和歌山の中でも、私の自宅は中心からは離れた場所で、電車も1時間に1本という環境。どこに行くにも車が必要になります。一方で、年を重ねてくると、運転も難しくなってくることにも不安があったんです。また、今は子どもたちは和歌山を出ていきましたが、和歌山ですとアクセスが悪く、なかなか里帰りも難しいようなんです。年を重ねて、子どもたちが帰ってこないのは寂しいじゃないですか。神戸であれば、そういった心配もありません。今も時間がある時は、神戸に遊びに来てれますし、子どもたちが和歌山に帰るにしても、神戸で一休みしてから帰るなど、ワンクッション置く場所として使うなどしているので、子供たちにとってもメリットがあると感じています。

– 老後の生活をリアルに考えた時に、便利な場所の方がより良いと思ったわけですね。

Mamiさん: はい。ただ、ただ便利で雰囲気が好きだからといって、自分が本当に長くここに住めるのかどうかということに不安がなかったわけではありません。そのため、神戸で住み始める前に、何度も足を運ぶようにしました。晴れの日ばかりではなく、雨の日もわざと選ぶようにして。けれど、どんな日に訪れても、「心地よい」と感じたんです。

夫婦別々に暮らすということ

– 今どれぐらいの頻度で行き来されてるんですか?

Mamiさん: 今は、1週間ごとに行き来しています。それはお店をしていた頃から変わりません。

– 1週間ごとですと、スケジュール的にはハードな方ではないかと思うのですが、体力的にきついと感じられることなどはありませんか?

Mamiさん: 不思議なのですが、逆に元気になっていると感じてます。移動することで、気持ちも切り替わるということも大きいかもしれません。また、神戸で色々な場所に気軽に足を運べるようになったのも私にとってはエネルギーになっているような気がします。和歌山は色々な場所に移動しにくい土地でもあるんですよ。どこに行くにもまずは大阪に出ないといけなくて。大阪まで行くのも、よっこらしょという感じだったのが、神戸では身軽に動けるので、それが体力的な消費を払拭していると思います。

– 環境を変えることで、体力が回復しているということですね!神戸と和歌山での過ごし方の違いはありますか?

Mamiさん: 今はどちらでも、合間にYouTubeのコンテンツ作りをしつつ、家事や散歩をしたり、ヨガをしたりと暮らしを楽しんでいるので、特にこれといった大きな違いはないのですが...。一つだけ違うといったら、和歌山では家政婦ですね(笑)今は和歌山と神戸を一週間ごとに行き来しているので、和歌山に戻ったらずっと家事をしています。和歌山と神戸の二拠点生活をしているのは私だけで、夫は和歌山にずっといるので。

– 1週間家を空けると、和歌山のご自宅の方の家事は、だいぶ溜まっていますか?

Mamiさん: それが、そうでもないんです。私が神戸で暮らすようになってから1年半経過しましたが、私がいない間は夫はだいぶ自分のことは自分でするようになりました。洗濯をしたり、料理もしているようですね。ただ、もちろん会社で働きながらなので、できないことも多いじゃないですか。また、私が家に帰ると、基本的にはあまり動いてくれません(笑)ただ、私も好きなことをやっていて甘えさせてもらってるので、感謝の気持ちも込めて、家政婦をしています(笑)

 

– Mamiさんが一週間家を空けている間は、自分のことは自分でされているというのは良いですよね。もし同じ状況になったとしたら、1週間掃除、洗濯もしない、食事は外食で済ませることを洗濯する方も決して珍しくないとは思います。

Mamiさん:  もちろん毎日ではなく、できる時にやるという感じのようですが。私が神戸で暮らすようになってから、だいぶ成長したと思います(笑)

– 旦那さんの成長も見るのも楽しみですね(笑)そもそも、最初に旦那さんに二拠点生活のことを伝えた時には、反応はありましたか?

Mamiさん: 最初はあくまでも、お店をするというのが一番の目的だったのもあり、夫は快く応援してくれました。「君がやりたいことは、やればいい」と。和歌山でお店をしていた頃から、別の場所でお店を開きたいということを常々言っていたので。

一方で、最終的に決断を下すのは私だったので、私なりに覚悟する必要はありました。もしかしたら、私が神戸に行くことで、夫婦の歯車が狂い出すかもしれないということも考えましたし。それを覚悟した上で、決断しました。何度も神戸に足を運ぶ度、「ここで挑戦したい」という気持ちが強まっていったので。

– 旦那さんも一緒に、和歌山と神戸を行き来するという選択肢はなかったのでしょうか。

Mamiさん: 夫は、和歌山で長くしている仕事もありますし、定年まで勤めたいという気持ちもあるので、二人で行き来をするという選択肢は最初からありませんでした。ただ、時々一緒に来ることもありますし、また定年退職後は変わってくるかもしれませんね。

 

– Mamiさんが和歌山にいない時の家事を含めて、夫婦別々に暮らすには、パートナーの理解や協力が必要になってくると思うのですが、旦那さんからそれらを得るために工夫されたことやコツはありますか?

Mamiさん: いい意味で、諦めることが必要だと思っています。先程もお話した通り、私もそれなりに覚悟した上で、自分の人生を大事にしたいと思い二拠点生活をはじめました。一方で、彼には、彼の人生があるわけで。子どもたちも自立しましたし、夫婦2人だけの生活に戻った時、それぞれのやりたいことやどのように生きていきたいかというビジョンを尊重した結果なので、特に工夫したことやコツがあったわけではないと思います。

もちろん最初は不安もありましたが、いい方向に転んで良かったです。今は、この距離感がちょうどいいです。私たち夫婦は、結婚生活が30年にもなりますし、彼は仕事の日もお昼ごはんを家に帰って食べれる距離にある職場に勤めているので、それまで本当に顔を合わす時間も多かったんです。だから、一緒にいる時間が長い分、私が家のことをやるのが当たり前だという価値観が、私の中にも彼の中にもありました。今こうして離れることで、そうした生活が当たり前ではなかったということがお互いに分かったような気がします。夫からも、「ありがとう」という言葉が増えたと思います。

– 素敵ですね。では、お互い離れ離れになって、久々に再会した時に、喧嘩になったりということはありませんか?Mamiさんが、期待するほど掃除ができていなかったりとか。

Mamiさん: それは全くないですね。お互いにとても気分よく過ごしていると思います。一緒に長くいると気になることも増えてくると思うのですが、今はイライラしだしたら離れるというようなルーティンになっているので(笑)

– ある意味、逃げ場所ができた感じですかね。

Mamiさん: そうかもしれません。距離の離れたところに暮らす場所ができているのは、心のゆとりにもなってると思います。

– もしかしたら、30年近く一緒にいたことで、信頼関係もしっかりできているということもあるでしょうね。

Mamiさん: それは、あると思います。これまで色々大変なこともありましたが、それを乗り越えて今に繋がってるんだと思います。

 

>> 後編へ続く

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