【鉄をとっているのに足りない人の共通点】鉄不足が続く意外な原因を管理栄養士が解説

【鉄をとっているのに足りない人の共通点】鉄不足が続く意外な原因を管理栄養士が解説
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鉄を摂ると貧血予防になるというイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。しかし、鉄を意識して摂っているのに、なぜか不足してしまうというケースもあります。実は、鉄不足は単に摂取量の問題だけではなく、吸収のされ方や体内での使われ方が大きく関係しています。今回は、日頃から鉄を摂っているのに足りない人にみられる共通点について解説します。

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鉄不足と貧血のしくみ

鉄は、体内で酸素の運搬や貯蔵にかかわる「機能鉄」と、肝臓などに蓄えられる「貯蔵鉄」に分けられます。代表的な貯蔵鉄であるフェリチンの血清中濃度は、鉄の栄養状態を反映する指標として用いられています。体内の鉄が不足すると、まず貯蔵鉄が利用され、さらに不足が進むと、機能鉄として酸素の運搬に関わっているヘモグロビンにも影響が及びます。貧血とは、血液中の成分である赤血球中の、ヘモグロビンが減少した状態を指します。鉄は赤血球の形成に欠かせない栄養素であり、貧血予防に重要な役割を担っています。 

鉄不足を招く3つの共通点

共通点①鉄の吸収率が低い

鉄は、一緒に摂る食品によって吸収率が変化しやすい栄養素です。食品に含まれる鉄には、たんぱく質と結合している「ヘム鉄」と、それ以外の「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は、肉などの動物性食品に多く含まれ、たんぱく質が結合しているため吸収率が高いのが特徴。一方、非ヘム鉄は野菜や穀類などの植物性の食品に多く含まれ、体に吸収されにくいです。しかし、非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ることで、吸収率が高まります。鉄不足を予防するためには、吸収率の高いヘム鉄を含む食品を積極的に取り入れ、非ヘム鉄はビタミンCと組み合わせるなどの工夫が大切です。

鉄
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共通点②鉄の損失が多い

女性は、出産や月経などにより体内の鉄を失う機会が多く、慢性的な鉄不足になりやすい傾向にあります。月経のある成人女性の鉄の推奨量は約10~10.5mgとされていますが、20歳以上の日本人女性の平均摂取量は7.7mgと不足傾向にあります。そのため、意識して鉄を補うことが重要です。吸収しやすいヘム鉄を積極的に取り入れ、非ヘム鉄はビタミンCと組み合わせるなどの工夫を心がけましょう。また、ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合してできています。そのため鉄だけではなく、たんぱく質も補う必要があります。

ヘム鉄
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共通点③吸収を妨げる習慣がある

以下の成分には、鉄の吸収を妨げる作用があることが知られています。

・コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるタンニン

・ほうれん草やにんじんに含まれるシュウ酸

・玄米に含まれるフィチン酸 

これらを鉄を多く含む食事と同時に摂ると、吸収が阻害される可能性があります。習慣的に続けている場合、知らないうちに吸収効率を下げていることもあります。鉄を多く含む食事と飲み物は時間をずらすなどの工夫をすると安心です。また、シュウ酸は茹でることで減少し、玄米は浸水することでフィチン酸をある程度減らすことができます。

まとめ

鉄不足対策で大切なのは、「たくさん摂る」ことよりも、きちんと吸収され、体の中でしっかり使われているかどうかです。食べ合わせや食事内容を少し見直すだけでも、吸収率は変わります。鉄分が不足して貧血になると、体が重い、息切れがする、顔色が悪い、疲れやすいなどの症状があらわれることがあります。特に女性は月経などにより鉄の需要が高く、不足しやすい傾向があります。「なんとなく不調」をそのままにせず、毎日の食事を味方にしながら体調の変化に目を向けてみましょう。気になる症状が続く場合は、医療機関に相談することも大切です。無理のない対策を、できることから続けていきましょう。

 

<参考文献>

・日本人の食事摂取基準(2025年版)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316469.pdf

・令和6年国民健康・栄養調査結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf

・健康長寿ネット

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-tetsu.html

・よくわかる栄養学(著者:小林実夏)

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