さつまいもの芽やひげ根って食べても大丈夫?毒性はないの?管理栄養士が解説

さつまいもの芽やひげ根って食べても大丈夫?毒性はないの?管理栄養士が解説
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岩渕知英
岩渕知英
2025-10-16

秋から冬にかけて出番が増えるさつまいも。甘くて栄養豊富ですが、保存しているうちに芽が出たり、表面にひげのような根が伸びてくることがあります。 「これって食べても平気?」と不安に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。 今回は、管理栄養士の視点から、さつまいもの芽やひげ根の安全性と、食べる際の注意点について解説します。

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「芋の芽=危険」と思われがちな理由

「芋の芽」と聞くと、まず思い浮かぶのはじゃがいもです。
じゃがいもはナス科の植物で、芽や緑色になった皮に天然毒のソラニンやチャコニンが含まれます。これらを摂りすぎると吐き気や頭痛、腹痛などを起こすため、芽や緑化部分を厚くむくことが必要です。

芋類の中には食用に適さない種類もあるため、「芋=毒がある」というイメージが強く、さつまいもの芽やひげ根も危険だと誤解されやすいのです。

さつまいも ひげ根
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芽やひげ根に毒はない

さつまいもはヒルガオ科の植物で、じゃがいもとはまったく異なる種類です。
これまでの研究では、さつまいもの芽やひげ根に有害成分は確認されていません。
芽は新しい茎になる部分、ひげ根は養分を吸収するための根の跡で、いずれも生理的な変化です。

そのため、食感や見た目が気になる場合に取り除く程度で十分です。重要なのは、芽や根ではなく、芋そのものの状態です。

注意すべきは「傷んださつまいも」

保存環境が悪く、カビや腐敗が進むと「イポメアマロン」という苦味や刺激の原因となる成分が生成されることがあります。
このような芋は、芽やひげ根の有無にかかわらず食べないようにしましょう。

以下のような状態は要注意です。

・表面が黒や茶色に変色している
・カビが生えている
・ぬめりや異臭がある

一方、内部に変色やぬめりがなく、適度な硬さや弾力があるものは問題なく食べられます。

栄養価(可食部100gあたり・皮つき・生)

さつまいも(塊根・皮つき・生・可食部100gあたり)の栄養価は以下の通りです。

エネルギー:127 kcal

たんぱく質:0.9 g

脂質:0.5 g

炭水化物:33.1 g

食物繊維:2.8 g

食物繊維は腸内環境を整え、ビタミンCはエネルギー代謝を助けるなど、健康にうれしい栄養が豊富です。

ビタミンCは加熱に弱い栄養素ですが、さつまいもではでんぷんに守られているため、加熱しても壊れにくい特徴があります。

まとめ

さつまいもの芽やひげ根には、じゃがいものような自然毒は含まれていません。
安全に食べるために大切なのは、芽や根ではなく芋の状態を見極めること。
黒ずみやカビ、異臭がある場合は食べずに処分し、内部がしっかりしたものを選びましょう。

正しい見分け方を知れば、芽やひげ根が出ても安心して、旬のさつまいもを楽しむことができます。

 

参考文献:

厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:じゃがいも」
自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ジャガイモ|厚生労働省

食品安全委員会「食品中の自然毒に関する情報」
かび毒・自然毒等 | 食品安全委員会 - 食の安全、を科学する

文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』

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