「りんご」「梨」「ぶどう」老化防止に◎なのはどれ?悩み別に選ぶ秋の果物の“食べ分け法”
実りの秋は、旬の果物が最もおいしくなる季節です。スーパーにも、りんご・梨・ぶどうといった秋の代表的な果物が並び始めます。どれもみずみずしく、自然な甘みが増すこの季節ならではの味わいが魅力ですが、実はそれぞれ含まれる栄養素には違いがあります。今回は、秋に旬を迎える果物の栄養の特徴を管理栄養士がわかりやすく解説します。
りんご:腸を整え、疲労回復をサポート
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」といわれるほど、りんごは健康維持に役立つ果物です。りんごには水溶性食物繊維のペクチンが多く含まれています。ペクチンは腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整え、便通を促す働きがあります。また、腸壁を刺激して老廃物の排出を助けるため、便秘気味の方にもおすすめです。さらにペクチンには、糖やコレステロールの吸収を抑える作用もあり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。りんごを食前に食べると、食後の血糖コントロールにも役立ちます。加えて、カリウムも豊富に含まれています。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、むくみや高血圧の予防に効果的です。塩分を摂りすぎた日や外食の多い方にもうれしい栄養素です。りんごの酸味のもとであるりんご酸やクエン酸などの有機酸には、エネルギー代謝を助ける働きがあり、疲労回復を促進します。運動や仕事の疲労回復のお供にもおすすめです。
梨:みずみずしさと整腸効果、さらに消化を助ける働きも
梨はそのみずみずしい食感とさっぱりとした甘さが特徴ですが、実は整腸作用が高い果物でもあります。梨に含まれるソルビトールという糖質は吸水性があり、腸内の水分量を増やして便をやわらかくする働きがあります。また、梨特有のシャリシャリとした食感は、「石細胞」と呼ばれる細胞によるものです。この石細胞が腸のぜん動運動を刺激し、スムーズな排便を促します。さらに、梨にはプロテアーゼというたんぱく質分解酵素が含まれています。肉を梨のすりおろしに漬け込むと、酵素の働きにより柔らかくなります。韓国料理の焼き肉の下味に梨が使われるのも、消化を助けてくれる効果があるからです。梨は水分が約90%以上と高く、体にこもった熱を下げたり、喉の渇きを潤す作用もあります。乾燥しやすい秋の季節や、風邪のひき始めにもぴったりな果物です。
ぶどう:ポリフェノールが豊富、エネルギー補給にも最適
秋に旬を迎えるぶどうは、見た目にも美しく、栄養価の高い果物です。ぶどうの紫色の皮には、アントシアニンというポリフェノールが多く含まれています。アントシアニンは抗酸化作用が高く、目の疲れを軽減したり、動脈硬化や老化の予防にも役立つといわれています。また、ぶどうに含まれるポリフェノールは皮に多く存在するため、皮ごと食べられる品種を選ぶと効率的に摂取できます。ぶどうのもう一つの特徴は、エネルギー源としての即効性です。果糖やブドウ糖などの単糖類を多く含むため、体内で素早く吸収され、脳や筋肉のエネルギー補給に使われます。特にブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源でもあるため、頭を使う作業や勉強の合間、疲れを感じた時に摂るのがおすすめです。さらに、赤ワインで知られるように、ぶどう由来のポリフェノールは血管をしなやかに保ち、血流改善にもつながります。日常的に果物からポリフェノールを摂りたい方には、ぶどうは理想的な食材です。
まとめ:果物ごとの特徴を知って、おいしく健康に
りんご・梨・ぶどうはいずれも秋に旬を迎える果物ですが、それぞれ栄養が異なります。
りんご:腸内環境を整え、疲労回復にも◎
梨:水分補給と整腸、消化をサポート
ぶどう:抗酸化作用とエネルギー補給に優れる
どの果物も1日100~150g(小さめのりんご半分、梨1/3個、ぶどう1房の1/4程度)を目安に、食後や間食として取り入れるのがおすすめです。旬の果物は栄養価が高く、鮮度や味も抜群です。季節の恵みを上手に取り入れて、秋の食卓をおいしく、そして健康的に彩りましょう。
【参考文献】
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