血圧を上げるだけじゃない?ナトリウムが身体に必要不可欠なミネラルである理由とは|管理栄養士が解説
ナトリウムは、過剰摂取により高血圧やむくみ、循環器疾患などの原因となることから、制限するべき栄養素というイメージが強いです。 しかし、ナトリウムは体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持するため、生命活動に不可欠な栄養素でもあります。 この記事では、そんな体内の水分・ミネラルバランス調節に重要な役割を果たしているナトリウムの体内での働きや、過剰摂取した際のリスク、多く含有されている食材などについて解説していきます。
ナトリウムってどんな栄養素?
ナトリウムは、ミネラル(無機質)の一種として知られている栄養素です。
体内では主に細胞の外側に存在し、細胞内外のミネラルのバランスを保っています。そのため、ナトリウムは体内の水分を保持したり、循環血液量を調整して血圧を調節したりする役割を持っています。また、ナトリウムは酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関与している、体に必要不可欠な栄養素です。さらに、ナトリウムは胆汁、膵液、腸液などの消化液の材料でもあります。これらの消化液は食物の消化・吸収に重要な役割を果たしているため、ナトリウムは消化機能の維持にも深く関わっています。
ちなみに、ナトリウムは体内で食塩(塩化ナトリウム)、重炭酸塩、リン酸塩など、他の成分と化合した状態で存在しており、そのうち約50%は細胞外液中に、40%は意外にも骨格に存在します。
ナトリウムの不足や過剰摂取による影響とは
ナトリウムは、調味料などに多量に含まれている上、塩味を感じないような食品にも含まれているため、基本的に不足することはありません。しかし、多量の発汗や激しい下痢などにより水分が損失されると、ナトリウムも同時に欠乏する可能性があります。ナトリウムが欠乏すると、疲労感や血液濃縮、食欲不振などを引き起こします。
一方で、現代は様々な食品からナトリウムを摂取することができるため、不足よりも過剰摂取の方が大きなリスクとなっています。ナトリウムの過剰摂取は、高血圧や循環器疾患などのリスクになるとされているため、様々な疾患のガイドラインで1日の塩分摂取量の上限が提唱されています。
日本人は、普段の食生活で味噌や醤油、漬物など、塩分含有量の多い調味料や食品を使用することからも、世界的に見ても塩分摂取量が多い国であると言われています。そのため、生活習慣病のリスク低減のため、日常で塩分の過剰摂取を避けるための工夫が必要とされています。
ナトリウムの摂取目標量とは?
ナトリウムは、過剰摂取により高血圧などの生活習慣病のリスクになる可能性があります。
そのため、ナトリウムは「〇〇g以上の摂取を目指しましょう」という目標量ではなく、「〇〇g未満の摂取を心がけましょう」という目標量に準拠することが多いです。具体的には、18歳以上の女性は食塩摂取量で6.5g/日未満、男性は7.5g/日未満が目標量となっています。また、高血圧や腎臓病などがある方は、日本高血圧学会高血圧治療ガイドラインなどの中で、6.0g/日未満を目指すことが推奨されています。
2019年の調査では、ナトリウムの平均摂取量は男女平均で9.7g/日となっており、目標量をオーバーしていることがわかります。日常生活ではほとんどの場合でナトリウムが不足することはありませんので、過剰摂取に注意しましょう。
ナトリウムを豊富に含む食材とは
ナトリウムは様々な食品に含まれているため、食塩摂取量を削減するためには、どんな食品に豊富に含まれているのかを把握し、それらの摂取量を調整する必要があります。
実際に、我々が普段口にする食品にはどの程度の塩分が含まれているのでしょうか?
| 食品名 | 100gあたりの食塩相当量(g) |
|---|---|
| 梅干し | 18.2 |
| うすくちしょうゆ | 16.0 |
| こいくちしょうゆ | 14.5 |
| 米みそ(出汁入り) | 11.9 |
| たくあん漬け | 3.3 |
| かまぼこ(蒸し) | 2.5 |
| ロースハム | 2.3 |
| ばらベーコン | 2.0 |
| ウインナーソーセージ | 1.9 |
これらの食品には豊富に塩分が含まれている上、一度に多量摂取することも難しくありません。
そのため、塩分を多く含む食品は、摂取頻度を下げたり、一回の摂取量を減らすことで塩分摂取量を低減する工夫をしてみましょう。
まとめ
身体に必要な栄養素でありながら、過剰摂取による生活習慣病のリスクも考えなければいけないナトリウム。発汗や嘔吐など、水分の損失時には不足する可能性がありますが、基本的には過剰摂取を避けるべき栄養素です。
今回紹介した食品の摂取量や摂取頻度などを考えながら、健康的な食生活を送ってみてください。
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