冷たいものばかり食べていない?夏バテ予防に効く食べ物を管理栄養士が解説
日常生活の中で“暑さ”を感じる時期に、「寝つきが悪い」、「なんとなく疲れやすい」、「食欲がない」と感じることはありませんか。これらは、身体から出される『夏バテのサイン』かもしれません。 暑さで食欲が低下すると、麺類やアイスクリーム、清涼飲料など、冷たくて喉を通りやすい食品に偏りがちです。
夏バテの原因
夏の高温多湿の環境では、発汗により水分やミネラルが失われやすく、脱水や電解質のバランスの乱れを引き起こします。さらに、暑さと冷房の利用による冷えを繰り返すことで自律神経が乱れて、血流や消化機能が低下します。
こうした変化は食欲の低下や栄養不足を招き、倦怠感や集中力の低下など夏バテの悪化に繋がります。
夏バテ予防に積極的に摂りたい栄養素3選
身体に必要な5つの栄養素(五大栄養素)は、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルです。暑い時期に食べやすい食品は炭水化物に偏りやすく、他の栄養素は不足しがちです。
そのため、全ての栄養素をバランスよく摂ることが大切ですが、今回は特に意識したい3つの栄養素を解説します。
たんぱく質
たんぱく質は、血や骨、筋肉の他、体の機能を調整するホルモンや酵素の材料になります。夏は代謝が上がるため普段より消耗しやすく、不足すると内臓のはたらきが衰えて疲労や夏バテに繋がります。
たんぱく質は肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに多く含まれます 。必ず毎食1品は食べるようにしましょう。
腎臓の機能が低下している場合は、摂取量に注意してください。
調理の負担を軽減するために、そのまま食べられる豆腐や納豆などの大豆製品、レトルト食品や缶詰を常備しておくと便利です。
ビタミンB群(特にビタミンB1)
ビタミンB群に分類される8種のビタミンは、互いに助け合いながらはたらきます。
そのなかでも特にビタミンB1は暑い夏に積極的に摂りたい栄養素です。糖質をエネルギーに変換する役割を担い、疲労回復に寄与します。特に発汗により体外に排出されやすいため、日々の摂取が重要です。不足すると食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れます。
豚肉、うなぎ、大豆製品、枝豆、玄米などに多く含まれます。
ビタミンC
ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須です。暑さや紫外線によるストレスで消費しやすく、不足すると疲れやすくなったり風邪をひきやすくなります。
野菜、くだもの、じゃがいも、緑茶などに多く含まれます。
ビタミンB1・ビタミンC効率的に摂るためには?
ビタミンB1、ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、調理の過程で大きく損失してしまいます。吸収率を高めるために以下のポイントを意識しましょう。
吸収率を高める食材と一緒に食べる
ビタミンB1は、玉ねぎやねぎに含まれる硫化アリル、にんにくに含まれるアリシンと一緒に食べることにより吸収率がアップします。
調理方法の選択
ビタミンB1・ビタミンCは、加熱時間が長い・茹でるなどの調理により大きく損失します。そのため、蒸す・短時間で炒めるなどの調理法が望ましいです。
じゃがいものビタミンCは熱に強いですが、加熱方法により約20~60%損失します。
まとめ
夏バテは「エネルギー代謝・摂取量の不足」、「疲労の蓄積」、「ストレスの増大」などが重なって起こります。たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンCなど不足しやすい栄養素の摂取を意識し、調理方法にも工夫を加えることで、食事から効率的に夏バテを緩和していきましょう。
【参考】
・ 日本人の食事摂取基準2025
・ 八訂食品成分表
・ 環境省熱中症予防情報サイト 熱中症の予防方法と対処方法
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