乳がんの備えは入院給付だけじゃダメ!?保険選びのポイントとリアルな治療費の話【体験談】

『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)より
『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)より

女性で最も罹患数が多い乳がん。40代から50代の閉経前後の女性に多いと言われています。がんという病気の存在は知っていても、治療のプロセスやかかるお金、仕事との両立については知らない人も少なくないと思います。『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)ではそんな疑問を解消してくれます。作者のうだひろえさん、担当編集で乳がん罹患経験のある宮崎さんに保険の選び方で大切にしたことや、不安が解消していった過程についてお伺いしました。※本ページにはプロモーションが含まれています。

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抗がん剤治療の副作用と仕事との両立について

——抗がん剤治療をしながらの仕事はどんな部分が大変でしたか。

宮崎さん(以下、宮崎):副作用で体力が徐々に削り取られていく感覚がありましたね。幸い弊社はコロナ前からリモートワークを取り入れていたので、自然に対応してもらえました。原稿を紙でチェックする作業もあったのですが「バイク便を出すから大丈夫」と、編集部でフォローしてもらっていたので、その点は非常に助かりました。

ただ、世の中にはリモートワークが難しいお仕事もありますし、もし私があの副作用が出ている状態で、立ちっぱなしの仕事だったら……と想像したら、仕事を続けるのは厳しかったかもしれません。

——本書監修のファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは、乳がんの治療をしながら計画的に仕事も続けていたと描かれていました。

うだひろえさん(以下、うだ):3週間に1回の抗がん剤は1週間寝込んでも、2週間は仕事ができるとか、週に1回の抗がん剤なら、金土日で寝込んでも大丈夫なように木曜日に受けるとか、計画を立てていたそうです。

宮崎:「この薬ならこの期間は体調が厳しいと思います」という説明を受けるのですが、その期間に熱を出してしまうと、体調が悪い期間が長引いてしまうんです。私は比較的体調が穏やかになるであろうタイミングを狙って、出かける計画をしていた日に肺炎で入院してしまったので、なかなか思い通りにもいかないとも感じました。

うだ:宮崎さんは最初から抗がん剤治療だったとのことで、治療がどう進んで、生活とどう両立していくかもわからない状態でスタートしたこともあって、余計に難しかったのだろうと感じました。

宮崎:治療の初期は私は結構ネガティブでしたね。だんだんと髪が抜けて、見た目も具合が悪そうに見えて、人に会ったらがんだとわかって「死んじゃうのかな」と思われるような気もして、あまり人と話さないようにしていた時期もありました。最初にステージも言われなくて、自分はどのくらいなのだろうと思いながら治療を続けていて、勝手に死んじゃうのではないかという気持ちになってしまうこともありました。

——うださんは、宮崎さんの経験談を聞いて、印象に残っていることはありますか。

うだ:一番衝撃的だったのが、告知を受けてすぐに抗がん剤治療からスタートしたということです。病気そのものも、治療のことも、お金のことも、生活との両立もよくわからない状態で、不安でどうしたらいいのだろうという宮崎さんの大変さを強く感じました。

だからこそ、この本を通じて、突然乳がんに直面したときに、少しでも楽になれるような情報を届けたいと思いました。

『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)より
『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)より

がん保険選びのポイント

——本書では、がん保険の選び方を丁寧に描かれていますが、うださんは保険の見直しでどんな視点を大切にされましたか?

うだ:深田さんからは、まずはすでに入っている健康保険でどこまで対応できるか知っておく大切さを教えていただきました。

私の場合はフリーランスなので、仕事ができなくなって収入がなくなるのではという不安と、治療にいくらくらいかかるかという不安の、二本柱がありました。仕事ができなくなることの収入減は、保険に入って何かしら備えておくしかないと思いました。貯金が山のようにあればいいのですが、あいにくそういうわけでもないので。

保険を選ぶ際に、不安が強かったらとにかく厚く厚くしようとしていたと思うのですが、お医者さんとファイナンシャルプランナーの先生にお話を伺ったことで、治療とお金の見通しができました。

その状況で、自分には何が必要なのか見えたことが一番大きかったです。そこに至るまでを描いたので、読者さんにも「自分にとって何が必要か」という視点で読んでいただける内容にできたと思っています。

——本書では「入院で1日○円」といった保障だけでは不十分だったというお話もありました。

うだ:深田さんも、入院での治療が短期化し、通院での治療が長期化しているとおっしゃっていました。だから「入院1日○円」という保険では、不十分なのだと思いました。

宮崎:私は入院給付のある保険にしか入っていなかったので、通院給付が1日5000円でもあったら助かったのにと思いました。放射線治療で毎日通院することになって、あっという間に恐ろしいほどお金がかかりました。

がん診断給付金は、50万円でも100万円でもあると安心です。ウィッグや体調不調で電車に乗れなかったときのタクシー代、食事を作るのが難しいときのデリバリー代など、色々なことに使えますし、休職して傷病手当金をもらえても、通常のお給料よりは減ってしまうので。

専門家の話を聞いて変化した認識

——お医者さん・ファイナンシャルプランナーにお話を伺って、不安に変化はありましたか。

うだ:まず、吉田敦先生(お医者さん)にお話を伺ったとき、淡々と病気の説明をなさっていて、全然不安じゃない病気のような感じのお話の仕方だったので「まるで乳がんは怖くない病気みたいですね」と言ってしまったほどでした。

「適切な治療をすればほぼ治りますので」とおっしゃっていて、そういう情報をきちんと知るだけで、こんなに不安はなくなるのだと実感できたことが大きかったです。

残っている不安の一つ一つについても、病気や治療、お金の考え方についてお話を伺って、順番に不安が消えていって、最終的には不安が晴れたという感覚がありました。

不安を解消する方法として、知識を得ることではなく保険だけを選んでいたら、よく理解しないままたくさん保険をかけていたと思うんです。でも自分の不安を解消するためには、この部分を手厚くする必要があるとわかったうえで、保険を考えることができました。

——これまでもお金に関する作品を描かれていますが、今までと共通して大切だと思ったこと、新しく知ったことはありますか。

うだ:保険そのものについては描いたことがあったので、医療保険には入っていたのですが、ここまでがん保険について具体的に考えたのは初めてですし、違いも知りました。

お金の不安に関して共通して重要なことは、やはり知識を得ることです。正しい知識を得ることで、無駄な不安はなくなって、自分は具体的にどうすればいいのかがわかります。

私は結局、医療保険をやめるか、がん保険だけにするかということを夫にも相談しながら検討したのですが、医療保険はすごく高いものに入っているわけでもないので、そのままにして、プラスでコストを抑えて「これくらいはあったら安心」という額の補償のあるがん保険に入ることにしました。

『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)
『乳がんにまつわるお金の話』(KADOKAWA)

【プロフィール】
うだひろえ

2009年 携帯コミック「ラスチル 昭和さいごのコドモ」が文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に入選。コミックエッセイ「誰も教えてくれないお金の話」が20万部のヒットに。

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