体育の授業が嫌いだった人でも大丈夫!大人から始める「スロージョギング」継続のコツ
コミックエッセイストのまきりえこさん。元々デスクワークが多く運動不足気味だったり、更年期の不調で運動できない時期もありました。更年期の不調が落ち着き、運動を始めたものの、「筋肉量が90歳」と衝撃の事実が判明。ところが、とあるきっかけで「スロージョギング」に出会い、生活が大きく変わります。その経験を描いた作品が『お金もかからず体調万全!! ゆる走りスロージョギング』(はちみつコミックエッセイ)。インタビュー後編では、スロージョギングを続けるコツや、元気な高齢者との出会いについて伺いました。
スロージョギングを続けるコツ
——日々スロージョギングをするときのコースは同じにしているのでしょうか?
私は同じコースにしています。「いつもと同じペースなのに今日はきつい」など、日々の自分の体調を確かめるためにも、なるべく同じコースだといいかなと思って。
家の周りが面白い風景だったら、変えてもいいと思うのですが、うちの周りはあまりおもしろみがない住宅街なこともあって、基本的にはいつも同じコースにしています。
——スロージョギングを続けるためにどんな時間の工夫をしていますか。
会社勤めで本気でスロージョギングをしている方は、通勤時間を使わないともったいないと、たとえ着替えが必要でも通勤で走ると割り切っていると伺います。
私は家で仕事をしているので、朝と夕方と決めて走るようにしているんです。小学生の通学時間と重なると、小学生の中を走らなければいけなくなるので、その時間が近くなると慌てますね(笑)。
夕方はお腹が減ってきたら「そろそろ食事の用意しようかな」と思ったときに、「今走らないと、ご飯を食べたらもう走る気が起きない!」と、夕飯前に時間をとっています。
とはいえ、私は毎日はやっていないんです。無理をすると年齢的にどこか痛めるかなと思って。あまり思い詰めちゃうと、趣味は続かないので、ときにはあまりできない1週間があってもいいかなと思っているんですよ。
——今まで挫折しそうになったことはありますか?
本でも描いた2回目の大会のあとです。当日まであまり体調がよくなくて、1回目よりも全然思ったように走れなくて。それですごく落ち込んで「こんなに落ち込むんだったら、趣味として成立しないんじゃないか」と思っていたのですが、4、5日経つとモゾモゾしてくるんです。
「そんなに落ち込む必要ないんじゃないの?」「まあ次もあるしね」といった気持ちがだんだんと湧いてきましたし、実際に走るのは気持ちいいので「この気持ちよさ、手放しちゃっていいの?」と思って、再起動しました。
私はあまりガツガツせずに、本のタイトルにもあるとおり「ゆるく」生きてきたことが多いのですが、このときは仕事が絡んでもいたので、いつもよりは前のめりだったのだと思います。
「頑張り屋さんって、こういう心境になるんだ」と知ることができました。走れるおばあさんではいたいと思うのですが、「結果を出すぞ」と厳しくやるのではなく、楽しく続けていけたらと思います。
——体育の授業はつらい記憶があったことを描かれていらっしゃいましたが、今楽しくスロージョギングをやっていることと、どんな違いがあると思いますか?
運動苦手な人同士では、「学校の運動は、求められるものが多かったから、運動に苦手意識がある人がどんどん運動嫌いになっていく世界だったね」「大人になって運動したら、趣味で運動したら、こんなに楽しいんだ」と話します。
誰からも強制されずに趣味でスポーツをしてみたら、こんな楽しいもんなんだって思う人が多いことを感じます。スロージョギングは始めるハードルも低いので、走ることに苦手意識を持っている人ほどおすすめしたい気持ちはあります。私も始める前は、25mを走っただけで息が上がっていたくらいですから。
60歳からでも遅くなかった
——「今更始めても遅いんじゃないか」と思っている人も少なくないと思います。
本書でもご紹介したのですが、大会でも70代80代の方が意外と多かったです。今回、取材させていただいた、福岡大学病院・リハビリテーション部の松田拓朗先生からは、高齢者のウェルネスとしてスロージョギングの普及活動をしているものの、中には70代で走ることにハマり、80代でフルマラソンにチャレンジした方もいると伺いました。
女性は子育てが終わってからスポーツを再開する人も多いそうです。でも「元々運動してた人なんでしょ?」と思っていました。
ところが、最近周囲から「気づいたら親がスポーツを始めていた」という話を聞くことが続いていて、中には若い頃は運動をしていなかった人もいるんです。中高年期から始めてコツコツ続けていて「もう20年やっているのよ」と話す方も。
私の卓球仲間のおばあちゃんで、鋭いスマッシュを打つ人がいるのですが、始めたのは60歳を過ぎてからだそうです。誘われて始めて、20年近く続けていると聞かせてくれました。
「何か運動を始めたい」と思ったとき、スロージョギングは始めるハードルが低いんです。まずスロージョギングをやってみて、体力がついたら、やりたいと思っていたスポーツにチャレンジできる道もあるんじゃないかと思います。
——60歳になっても、まだまだ新しいことができる可能性はあるということですね。
毎朝山登りをしている友人から聞いたのですが、毎日山で会う人たちは70代が多くて、中には80代もいるそうなんです。60歳以降で、時間に余裕ができた人で、日々健康を維持することを目的としているような人たちは、想像以上に元気なのだと思います。
一方で、みんながみんな元気になれるわけでもなく、道が分かれるとも感じました。うちの父は「足を引きずって歩くのがみっともない」と言って、一切家から出なくなっていました。
かといって、一度調子が悪くなったらもう無理というわけでもなく、膝が悪かったものの、踏み台昇降とスロージョギングをしながら治療し、膝が治った後、ダンスを始めたという女性の話も伺いました。だから道はいくつもあるのだと思います。どこからでも健康な道に進む可能性はあるので、その選択肢の一つとして、私はスロージョギングに出会えてよかったです。
【プロフィール】
まき りえこ
アラ還のコミックエッセイスト。ブログ「ちくわの穴から星☆を見た」でアメブロ育児カテゴリー1位。著書に「小学生男子のトリセツ」(扶桑社)、「オトナ女子の謎不調、ホントに更年期?」(集英社)など。夫と猫と共に福岡市在住。
ブログ
https://tikuwanoanakarahosiwomita.blog.jp/
※「スロージョギング®」は一般社団法人日本スロージョギング協会の登録商標です。
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