糖質やアルコール代謝に必要な〈ビタミンB1〉不足したり過剰摂取するとどうなる?管理栄養士が解説
身体に必要な栄養素であるビタミン。 ビタミンには多くの種類があり、それぞれに異なる働きがあります。 この記事では、糖質やアルコールの代謝に必要なビタミンB1の働きや、豊富に含む食材などについて紹介していきます。
ビタミンB1ってどんな栄養素?
ビタミンB1は、別名チアミンとも呼ばれる、水溶性のビタミンです。
ビタミンB1は体内で主に糖質の代謝を助け、エネルギーの産生を支える役割を担っています。
他にも、アミノ酸やアルコールの代謝にも必要になるため、日頃から摂取量を意識してあげたい栄養素といえます。
特に、アルコールの多量摂取では、アルコールの代謝産物を分解するためにビタミンB1が使われ、消費量が増えるため注意が必要です。
ビタミンB1の不足や過剰摂取による影響とは
ビタミンB1には様々な代謝を助ける作用がありますが、摂取量が不足したり消費量が増加すると脚気やウェルニッケ脳症という病気の原因となる可能性があります。
脚気は心不全などの循環器症状や神経症状、ウェルニッケ脳症はせん妄や見当識障害などを引き起こすと言われています。
現代では、相当偏った食事を続けない限りビタミンB1の不足は起きないと言われています。
しかし、手術後に絶食が続いたり、アルコールの多飲により消費量が増加した場合などは不足する可能性があります。
一方、ビタミンB1は水溶性のビタミンであり、過剰に摂取した分は尿と一緒に排泄され、体内での貯蔵可能量も少ないため、過剰症の心配はありません。
ビタミンB1の摂取目標量とは?
ビタミンB1の摂取目標量は以下のようになっています。
ビタミンB1の必要量は、「ほとんどの人で体に必要な分が充足できる」とされる「推奨量」という数値が定められています。
そのため、以下の数値を満たすことができれば不足することはほぼありません。
| 年齢 | 男性の推奨量(mg/日) | 女性の推奨量(mg/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 1.4 | 1.1 |
| 30〜49歳 | 1.4 | 1.1 |
| 50〜64歳 | 1.3 | 1.1 |
| 65〜74歳 | 1.3 | 1.1 |
| 75歳以上 | 1.2 | 0.9 |
2019年の調査では、ビタミンB1の平均摂取量は男性1.03mg/日、女性は0.87mg/日との結果が出ています。
推奨量と比較するとやや少なめですが、一般的な食事をしていれば大きく不足することはないと言えます。
ビタミンB1を豊富に含む食材とは
ビタミンB1の働きや推奨量について紹介してきましたが、実際にビタミンB1を豊富に含む食材にはどのようなものがあるのでしょうか?
| 食品名 | 100gあたりのビタミンB1量(mg) |
|---|---|
| 豚ヒレ肉(生) | 1.32 |
| 豚ロース肉(生) | 0.9 |
| うなぎ(かば焼き) | 0.75 |
| たらこ(生) | 0.71 |
| 玄米(炊飯後) | 0.16 |
| 絹ごし豆腐 | 0.11 |
| さつまいも(生) | 0.11 |
| そば(ゆで) | 0.05 |
これらの食品を普段の生活に取り入れることで、ビタミンB1の推奨量を満たすことができます。
まとめ
糖質やアルコールの代謝で必要とされるビタミンB1。
バランスの良い食事をしていれば不足する危険性は低いですが、絶食やアルコールの多量摂取により不足する可能性もあります。
今回紹介した食材をうまく組み合わせながら、バランスの良い食事を意識し、不足に悩まなくて良い生活を続けていきましょう。
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