「もう遅いかも」と感じていませんか?40代キャリアの迷いや不安との向き合い方|心理師が解説
今の仕事への違和感、先が見えない不安、あるいは別の生き方への憧れ。現在のキャリアに迷いや不安がありませんか?今回は40代のキャリアチェンジに対する心の悩みについてです。
大きく変えるのではなく「斜めに展開する」視点を
世間では「転職は40代前半まで」といった声も聞かれますが、そうした“上限”を気にしすぎて、自分の可能性を狭めてしまうのは、もったいないことです。40代のキャリア変更で重要なのは、これまでの経験や強みを“展開”させるという考え方です。まったく違う職種にチャレンジする方法もありますが、今までのキャリアでどのようなスキルを獲得し、どのような経験を積み上げてきたのかを整理し、そこから繋がる職種を探してみましょう。40代までに培ってきたものは、履歴書では伝えきれなくても、実際の仕事の中で発揮される“信頼の土台”になります。
キャリアの不安の根っこには「自己評価」がある
転職への不安には、「採用されるかどうか」以上に、「今の自分に何ができるのかわからない」「もう誰にも必要とされていないのでは」という想いが関係しているかもしれません。これは“能力の問題”というより、“自己評価”の問題です。長く同じ職場にいると、いつのまにか自分のスキルや強みが見えにくくなり、他の選択肢を考えようとするだけで、不安や無力感が押し寄せてくることがあります。そんなときこそ、「これまでやってきたことを、言語化して整理する」時間が必要です。職務経歴書を作るだけでなく、自分が何を大切にして働いてきたか、どんな場面で周囲に信頼されたかを振り返ることが、自分を認める第一歩となります。
不安に飲まれそうなときは、セルフ・コンパッションの視点を
キャリアの選択において何よりも大切なのは、「どんな未来を選ぶか」ではなく、「自分とどんなふうに向き合いながら選ぶか」です。不安はあって当然です。何かを変えようとする時には、「うまくいかなかったら」「もう誰にも必要とされないかも」といった声が頭の中に浮かびやすくなります。それらを無理にかき消すのではなく、「不安があるのは当然」「私はいま、不安や怖さを感じているんだな」と、優しく認めてあげる視点が、セルフ・コンパッションです。
ACTの価値ワークから探る
キャリア選択に迷ったとき、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という心理療法で重視される「価値(values)」という視点が有効です。
たとえば、自分に問いかけてみてください:
・私が大切にしたい生き方ってどんなもの?
・この先の人生で、どんな人でありたい?
・仕事において、私が譲れないものは?
このような“価値に対する問い”は、不安に巻き込まれるのではなく、自分の選択を支える羅針盤になります。たとえば、「自由な働き方をしたい」「人と丁寧に関わりたい」「地域や社会に貢献したい」など、あなたが大切にしているものが見えてくると、そこから道を逆算することができます。
未来は「正解」を探すものではなく、「育てていくもの」
40代は、心身の変化や環境の変化が重なりやすい時期です。その中でキャリアに対する迷いや不安も生じやすくなります。だからこそ、「このままでいいのか?」と立ち止まることは、ごく自然な反応といえます。選ぶべき道に“正解”はありません。大切なのは、自分にとって大切な価値に基づいて、「育てていく未来」を選び取ることです。
「もう遅い」と思ってしまうのは、それだけ未来を真剣に考えている証です。キャリアの転機に必要なのは、完璧な履歴書でも特別な才能でもなく、自分の内側にある“本当に大切にしたいもの”と、丁寧に向き合うことです。たとえ不安があっても、揺れながらでも、今ここから始めていきましょう。
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