調理するのは、実は損?管理栄養士が教える〈栄養価を最大限引き出す〉6つのアイデア

 調理するのは、実は損?管理栄養士が教える〈栄養価を最大限引き出す〉6つのアイデア
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中村友也
中村友也
2025-02-04

食品に含まれる栄養素は、調理によって減ってしまうことをご存じですか?特に水溶性ビタミンや熱に弱い栄養素は、加熱調理によって大きく損失してしまうことがあります。 この記事では、管理栄養士の視点から栄養素を失わずに調理する方法についてご紹介します。

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なぜ栄養素が失われる?

食品に含まれる栄養素は、調理中にさまざまな要因で減少します。

代表的な例としては、以下のものがあります。

水溶性ビタミンやミネラルの流出

ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンや、カリウムなどのミネラルは水に溶けやすく、煮たり茹でたりすることで煮汁に溶け出してしまいます。

また、水で洗ったり浸けておくだけでも流出するため、こういった栄養素を含む食品は可能な限り水に触れさせない事が重要です。

特に、長時間煮込んだり水にさらす場合には損失が大きくなります。

脂溶性ビタミンの流出

ビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンは、油に溶けやすい性質を持っているため、揚げたり炒めたりして油に触れることで流出すると言われています。

熱や光などによる損失

栄養素の中には、熱や光に弱く、加熱や明るい場所での保管などにより損失するものがあります。

また、加熱が進むと食品の形が崩れ、水や油に触れやすくなるために流出量が増えることもあります。

栄養素の損失を抑えるためのポイント

栄養素は調理によってどうしても損失してしまいますが、調理の仕方を見直すことで、栄養素の損失を最小限に抑えることができます。

また、加熱時間や温度によっても損失具合が異なるため、それらを意識した調理方法を選択するのがおすすめです。

実際に、具体的な方法を紹介します。

1)「蒸し」を活用する

煮たり茹でたりして調理する食品は、代わりに蒸して調理するのがおすすめです。

水溶性ビタミンは、水に触れている時間を増やすほど流出量が増えていきます。

「蒸し」も水に触れる調理方法ですが、「茹で」や「煮る」と比較すると水分への接触が少ないため、流出量を抑えることができます。

せいろ 蒸し
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2)煮汁を活用する

煮たり茹でたりして水溶性ビタミンが溶け出しても、煮汁ごと摂取すれば無駄なく栄養素を摂取できます。

例えば、葉物野菜を茹でた汁でスープを作ったり、野菜の煮汁にそのまま味付けをして煮物にしたりすることで、栄養素を不足なく摂取できます。

3)電子レンジを活用する

電子レンジは、食品中の水分を振動させ熱を発生させることで加熱するため、水や油に触れずに加熱でき、栄養素の流出を抑えられます。

また、他の加熱方法に比べて短時間で加熱が可能なため、熱に弱い栄養素の損失を防ぐことができます。

4)切り方を工夫する

栄養素の損失を防ぐためには、食材の切り方を工夫しましょう。

食材を細かく切ると断面が増え、水や油に触れる面積が広くなるため、栄養素の流出が多くなります。

そのため、食材は大きめに切って調理するのがおすすめです。

ただし、大きすぎるとその分加熱時間も長くなります。

食材によっては、細かく切って加熱時間を短くする方が栄養素の流出を減らすことができます。

5)生で食べる

栄養素を失わないためには、そもそも加熱を殆ど行わずに、生で食べるのも一つの方法です。

例えば、野菜はサラダとして、果物は生やスムージーなどにして食べるなどの方法があります。

可能な限り加熱を行わずに調理することで、食材に含まれている栄養素を失うことなく摂取できます。

6)皮ごと食べる

野菜や果物などは、普段食べている部分だけでなく皮などにも豊富に栄養素を含んでいます。

そのため、皮ごと食べることで栄養素を不足なく摂取できます。

皮ごと食べられる食材には、じゃがいもやにんじん、なす、かぼちゃなどがあります。

まとめ

食材に含まれる栄養素は加熱によって失われてしまいますが、調理方法や食べ方次第で無駄なく摂取することができます。

今回紹介した方法を取り入れることで、食事から最大限栄養素を摂取してあげてください。

参考文献:医薬基盤・健康・栄養研究所


 
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