不足しがちな食物繊維。無理なく賢く食物繊維をプラスする秘訣とは?管理栄養士のアドバイス

 不足しがちな食物繊維。無理なく賢く食物繊維をプラスする秘訣とは?管理栄養士のアドバイス
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不足しがちな栄養素である食物繊維[1]。今回は、食物繊維を賢くプラスする秘訣を解説します。

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食物繊維ってなに?

食物繊維の定義は十分に定まっていませんが、『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では、難消化性炭水化物、つまり人の消化酵素で消化されにくい炭水化物を食物繊維と呼んでいます[1]。野菜類や芋類、果実類、海藻類、きのこ類、穀物類、種実類など主に植物性食品に含まれています[2]。

ここがすごい!食物繊維のはたらき3選

食物繊維にはさまざまな働きがありますが、今回は、その中でも食物繊維のはたらきを3つ紹介します。

生活習慣病の発症予防が期待できる

食物繊維の多い食事は、メタボリックシンドロームの発症率を下げることが示唆されています。また、心筋梗塞や脳卒中、循環器疾患、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの生活習慣病の発症率を下げることも報告されているのです[1]。

腸内環境を良好に整えることが期待できる

腸内には、細菌がおよそ1000種類、100兆個も生息していることが知られています。細菌の中でもビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが、腸内環境を良好に整える上で大切です。食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内にもともと存在する善玉菌を増やすといわれています[3]。

便秘の予防や改善が期待できる

大腸通過時間が正常にもかかわらず、排便回数や排便量が少ない「大腸通過正常型便秘症」は、食物繊維の摂取不足が原因であることが多いといわれています。こうした場合には、食物繊維の摂取量を適正化することで症状が改善する場合が多いといわれているのです。しかし、大腸通過遅延型便秘症や便排出障害では、食物繊維摂取量増加では症状が改善しないどころか、かえって増悪する場合も多いので、注意する必要があります[4]。

賢く食物繊維をプラスする秘訣とは

日本人の通常の食生活では、食物繊維を摂りすぎることはほとんどありません。むしろ、食物繊維は不足しがちな栄養素です[1]。今回は、少しの工夫で食物繊維をプラスできる秘訣を解説します[2,5]。

主食の穀類は精製されていないものを選ぶ

主食を精製された穀類のかわりに、玄米ごはんや麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなど、精製されていない穀類に置きかえるとよいでしょう。手軽に食物繊維をプラスすることができます。

野菜類、海藻類、きのこ類、果物類をプラスする

野菜類や海藻類、きのこ類、果物類には、食物繊維が含まれています。野菜類や海藻類、きのこ類を炒め物や汁物などにプラスすると手軽に食物繊維を摂取することができるのでおすすめです。また、食後のデザートに果物類をプラスするとよいでしょう。

できることから始めよう

ぜひ、ご自身の嗜好やライフスタイルに合った工夫を取りいれてみてください。また、食物繊維の摂取だけでなく、バランスのよい食事、適度な運動、適度な休養、睡眠を心がけて、健康状態を良好に保ちましょう。

 

【参考文献】(すべて2024年10月28日閲覧)

[1] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)

[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[3] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 腸内細菌と健康

[4] 味村俊樹 ほか, 慢性便秘症の診断と治療, 日本大腸肛門病学会雑誌

[5] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 食物繊維の必要性と健康

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AUTHOR

なかでかおる

なかでかおる

一人でも多くの方の心身の調子を整えるため、食と心の領域で活動中。学術修士では、食行動と動機づけに関する研究を実施。栄養疫学と健康心理学を軸に、食の領域では、特定保健指導やジムでの栄養指導、コラム執筆、研究補助等、心の領域では、コーチングセッションやコラム執筆、研究補助等を行う。



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