「私を傷つけるものであると同時に大きな恥でもあった」米コメディ俳優が抜毛症との戦いを明かした理由
アカデミー賞授賞式の司会という大役を見事にこなしたコメディ女優のエイミー・シューマー。授賞式の直前、病と闘ってきたことを明かした。
エイミーを苦しめていたのは抜毛症(トリコチロマニア)と呼ばれる症状。美容以外の目的で自分の毛髪を引っ張ったり引き抜いたりすることを繰り返す状態。心理的な問題やストレスが原因になることが多いと言われているが、様々な要因が関わっていると考えられている。イライラしたり不安になったりしたときに髪を抜いたことで気持ちが軽くなる、そんな経験がきっかけになり同じ心理状態に陥るとそれを繰り返してしまうという。女性や子どもに多いと言われている。
エイミーは雑誌『ハリウッドリポーター』のインタビューで「誰でも大きな秘密を持っていると思う。私の秘密は抜毛症であること」と明かした。「この大きな秘密は私を傷つけるものであると同時に大きな恥でもあった。でも今はそれを誇りに思っている」とも。この症状が始まったのは小学生の時。ストレスの原因は1つではないけれど、少女時代のエイミーは父が破産し病気になったり、両親が離婚した上に母が父の親友と再婚したりという子どもにとってはつらい事件を多く経験していた。抜毛症のせいで円形脱毛症のようにハゲた部分ができてしまい、ウィッグをかぶって学校に通っていたという。それが他の子どもたちにバレて恥ずかしい思いをしたこともある。
抜毛症は今も続いている。また抜毛症には遺伝的な要因が関係しているという説もある。エイミーには2歳の息子がいるが「彼が頭を触っているのを見るたびに、心臓麻痺を起こしそうになる」と胸のうちを語っている。エイミーがここまで率直に語ることを決断したのは、症状を克服するために前進したかったからだという。「もう大きな秘密を抱えていたくない。これを打ち明けるのは私にとっていいことだった。恥ずかしいと思う気持ちが軽くなった。そしてできれば同じように思っている人の気持ちも和らげたい」。恥ずべきことだと思うこともストレスになり、それが症状を進めてしまう。この負の循環は抜毛症だけでなく他の多くのメンタルヘルスの問題に共通すること。抜毛症、そしてメンタルヘルスとの闘いは恥ずかしいことではないと訴え、その循環を断ち切ろうとするエイミーの勇気に賞賛の声が上がっている。
AUTHOR
長坂陽子
ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。
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