【心と体を静めるゆったりヨガ】 目まぐるしく変化する世界に役立つ「スローフローヨガ」とは?

 【心と体を静めるゆったりヨガ】 目まぐるしく変化する世界に役立つ「スローフローヨガ」とは?

ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!穏やかに、ゆっくりと、今ここに意識を向けてみよう。

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私はストレスや不安の苦しさを身をもって知っているし、パニック発作を起こしたこともある。私は正式な資格を有するヨガセラピストで、数々の優れた指導者の下で学んできたが、今指導している手法は、自分自身の経験を踏まえて確立したものだ。この25年間、ヨガと瞑想が、心の健康やけが、病気、悲しみと向き合おうとする私に力を貸してくれた。
私は自分自身が経験したことを教えることによって、多くのことに気づくことができた。たとえば、多くの人はストレスを感じると、それに反応して、圧倒されてしまうことが多いということ。また、私たちは自分に優しくしたり共感する方法を知らないということにも気づいた。それは前に進んでいくのに必要な条件であるのに。
ヨガ、なかでもスローフローヨガは、そのような状況のなかをうまく進んでいき、そこから立ち上がるうえで役立つ。ヨガや瞑想によって呼吸に意識を向けると、脳の構造と神経系に影響が及ぶため、ストレスの捉え方と不安の感じ方が変わってくることが研究によって示されている。ヨガを行うことによって、弛緩反応を引き起こす条件が整うのである。
スローフローヨガはじっと座って瞑想をするのが難しい人や、高度の不安や抑鬱状態が見られる人にぴったりの方法だ。ある研究では、このような人の場合は、最初のうちは座って瞑想をしたりじっとしているよりも適度な速さでポーズを行ったほうが高い効果を期待できるという。ちなみに、私が指導してきた生徒の多くも、速度の速い動的なヨガよりもスローフローヨガのほうが、取り組みやすく心が静まると感じている。深い呼吸と落ち着いた動きによって心が静まり、副交感神経の反応を始める準備が整うからだ。
穏やかに、ゆっくりと、今ここに意識を向けることは、だらけているとか受動的であるということではない。それは力と受容性と流動性のバランスをとりながら、呼吸がのびのびと流れる空間をつくり続けることである。今ここに意識を向けて動くことによって、長期的には心と体がさらに弛緩して、意識が高まり安定するようになる。そしてその結果、厄介な人やストレスの多い状況にも冷静に対応できるようになるのだ。

スローフローヨガを自分のものにしよう 

ヨガを自分で行っている人も指導している人も、以下の手順に従えば独自のスローフローのシークエンスをつくることができる。

体に意識を向けるところから始める。ほとんどのヨガのクラスでは、初めにしばらく座って、目を閉じ、意識を十分集中させて全身(足裏、足首、膝、腰、腹部、胸、腕、首、頭、顔、頭頂部)を観察する。
この観察をすると、多くの人が(たいてい驚きをもって)感覚のない部分や、普段の意識から抜け落ちた部分があることに気がつく。
クラスではよく、「回路がつながっていない」部分があることに気づいたという感想が聞かれる。ある生徒は「目を閉じると、お腹の感覚がわからないです。麻痺しているみたいです」と言った。実際、感覚の経路が十分使われていないと、電気回路の働きは衰える。神経回路は存在しているのだが、それを意図的に使う能力は鍛えなければ十分に機能しない。スローフローヨガによって、感覚と意識を覚醒させやすくなる。

体をしっかり地に下ろす。(次ページのポーズのような)仰向けのポーズをすると、体と呼吸に同調できるようになって、今ここに意識を向けやすくなる。

③ 呼吸とつながる。ヨガを行うときは最初から最後まで、呼吸に従おう。滑らかで静かな呼吸は、神経系を弛緩させる働きをする。

④ 立位のポーズを行う。ターダーサナ(山のポーズ)で立ってしっかり地に足を下ろすところから始めて、丁寧に呼吸と体に調子を合わせながら、適度なペースでポーズをいくつか行う。どのポーズも少なくとも5~10回呼吸するだけの時間をかけてさまざまな可能性を探り、心と体が安らぎを見つけられるようにしよう。最初に全身を観察したときに「回路がつながっていない」と感じた部分に頻繁に意識を向けよう。そうすると、その部分への意識を高められるようになり、神経回路が形成されやすくなる。

⑤ もう一度全身を観察する。ターダーサナに戻って、判断しようとせずに全身の感覚を観察しよう。つながっていないと感じた部分を意識できるようになっただろうか。

⑥ 体を解放して、リストラティブポーズに入る。動きと呼吸に意識を集中させると、くつろいだ状態に入りやすくなる。床に座るか横たわって、呼吸と体をできるだけ活性化させないようにしよう。体を床に預けて、自分自身に思いやりの気持ちを向けよう。ポーズが落ち着かない場合は、プロップスで体を支えてもよい。

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by Jillian Pransky
photos by Renee Choi
hair&make-up by Karla Hirkaler
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.76掲載

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