更年期には睡眠と運動が効く?「病院に行く前に試したい」更年期を乗り切る東洋医学の知恵

 更年期には睡眠と運動が効く?「病院に行く前に試したい」更年期を乗り切る東洋医学の知恵
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「気・血・水」のうち更年期に影響を及ぼす要素とは

更年期の不快な症状は、気・血・水のなかの「気と血のバランスの乱れ」が原因。月経、妊娠、出産、産後、更年期など、女性のホルモンバランスの乱れに伴う不調を“血の道症(ちのみちしょう)”と呼ぶことからもわかるように更年期障害は特に血と関係が深く、血の働きの暴走が深く関係しています。

「陰陽の考え方にあてはめると気は陽性、血は陰性にあたり、本来であれば拮抗しながらバランスを保つことで健康な状態を維持しています。しかし片方の量や働きがくるってしまうと、もう片方の要素が暴走を起こして体に不調が現れることに。更年期の場合、女性ホルモンが足りなくなって血が薄くなり、そうすると気が上にあがってしまい、抑えようとして血の働きが暴走するのです。更年期の前段階で起こる月経不順、更年期中ののぼせなどもすべて血と気のバランスの乱れからきています」(若林理砂先生)

更年期に見直したい、気・血を整える生活習慣

東洋医学のルーツと言われる中国最古の医学書、「黄帝内経(こうていだいけい)」には、女性は7の倍数の年齢で節目を迎え、体に変化が現れると書いてあります。この文献によると閉経を迎えるのは49歳。気や血が減少し、生殖活動を司る天癸(てんき)という物質が尽きて月経が止まり、子どもを産めない体へと変化します。つまり閉経や閉経に伴う諸症状は体の自然なサイクルであり、病気ではないというのが東洋医学の考え方。ではどう対処するかというと、「養生しなさい!」と書いてあります。養生して回復力を養い軟着陸を目指すのです。そのために実践したいのは……。

「まず、暴走する血の働きを抑えるのが『睡眠』です。睡眠時間も大切ですが、東洋医学では入眠時刻を重視します。夜の11時~12時は陰気を養うとされ、この時間帯にぐっすり眠ると陰気が整い足りなくなった血を増やせるのです。睡眠時間は7~8時間が理想的ですが、深夜2時にベッドに入って7時間寝ても健康への効果は期待できません。たかが睡眠と侮るなかれ、入眠時刻を改善すると不調の多くは改善するのでぜひ見直してみましょう。

一方、上がっている陽気を発散させるには『運動』が効果的。運動の強度はじんわりと汗をかく程度を目安にして。ラジオ体操であれば全力で、もちろんヨガもいいでしょう。5分、10分でも構わないのでポーズの練習を継続的に行ってください。続けることがポイントです!睡眠で陰の血を整え、相対的に上がっている陽の気を運動で発散させていくと気と血が本来あるべき拮抗状態に戻り、更年期の辛い症状が和らいでいきます」(若林理砂先生)

教えてくれたのは…若林理砂先生

臨床家。鍼灸師。2004年に東京目黒区にアシル治療室を開院。2019年には「養生が一ヵ所で全部賄える場所」を目指して東洋医学や武術を学ぶStudio Libraを治療室に併設し、東京都品川区に移転オープン。心と体の自由を獲得する養生を主旨とし、古武術をもとに編み出した身体技法も好評。東洋医学に関する著書を多数出版。
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Edit & Text by Ai Kitabayashi

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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