【心地よいヨガポーズのヒント】体の仕組みを学ぼう「ウッターナーサナ(立位前屈)」を深めよう」

 【心地よいヨガポーズのヒント】体の仕組みを学ぼう「ウッターナーサナ(立位前屈)」を深めよう」
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けがをしないように全身に気を配りながら前屈に入ろう 

ウッターナーサナ(立位前屈)はヨガでよく行われるポーズで、腹部の臓器をやさしくマッサージし、神経系を静め、(ハムストリング、臀筋、背筋群など)体の背面を伸ばす働きをする。太陽礼拝の一部になっていて、フローヨガのクラスには欠かせないポーズであり、バランスを改善し、血行を刺激するほか、横隔膜を強化することにより呼吸機能を高める。上体が逆転している姿勢では、息を吸うときに横隔膜に普段より大きな負荷がかかるからだ。

このポーズの解剖学的特徴

●体重が前方に移るため、足首の背屈筋が働く。それによって足が安定し、足首がさらに背屈する。

●上体を重力に任せて解放すると、脊柱伸筋群(脊柱の背面に付着している筋肉で、体を立たせたり物を持ち上げたりすることを可能にする)と広背筋(背面で最も大きな筋肉で、脊柱を保護して安定させ、背面と肩の力を生み出している)が伸びる。

●股関節屈筋が働き、大腿四頭筋が膝を伸ばして前屈を安定させる。

●上体を脚にそっと引き寄せることによって、腕の筋肉が肘を屈曲させるのと同時に、胸郭周辺の筋群が働いて、肩甲骨を安定させながら動かす。

けがをしないために

前屈は心身をゆるめ、内観にも適したポーズで、背面の調子を改善するが、けがの原因になることもある。特に、脚の裏側が硬い場合は注意が必要だ。体を危険にさらさずにこのポーズの素晴らしい効果を実感できる方法を紹介しよう。

体の仕組みを学ぼう ウッターナーサナ(立位前屈)を深めよう
ウッターナーサナは全身の背面を伸ばす古典的な前屈だ。

脊柱を保護する

前屈によって脊柱が十分に伸びるため、背面の全体的な状態が改善して、背面の痛みが和らぐことがある。ただ、このポーズに入るときと出るときには、上体の重みが腰にかかるため腰を損傷しやすい。腰痛や関節炎、椎間板の問題、骨減少症、骨粗鬆症がある場合は、脊柱を真っすぐ保つ努力をしよう(つまり脊柱を伸ばして床に平行に伸ばそう)。そして、ポーズに入るときと出るときには膝を曲げたまま、体幹を働かせて、すねかブロックに手をのせよう。

伸ばすべき場所を伸ばす

背面を伸ばすときには、筋肉の接合部や付着部ではなく、筋肉中央部が伸びていることを感じられなければならない。筋組織は接合部分の結合組織よりも伸展性が高く、修復を促す血流も多い。膝を軽く曲げれば、ストレッチの中心をハムストリングの筋肉に合わせることができて、周辺の腱や靭帯を損傷することを防げる。

過度に伸ばさない

可動域が大きい人は膝関節を過度に伸ばすか、膝関節の動きを遮ってしまう傾向がある。心当たりのある人は、膝を少し曲げることを忘れないようにしよう。少なくとも軽く曲げてみよう。こうすると、膝関節軟骨やさまざまな脚の骨につながっている腱と靭帯が引っ張られなくなるため、半月板に不均等な圧力がかかったり微小断裂が生じたりすることを防げる。半月板と微小断裂の問題は、時間とともに悪化する。

体を水平にする

脊柱を伸ばすウッターナーサナなどの立位のポーズでは、脊椎と椎間板に下向きに重力がかかるため、仰向けや膝をついたポーズよりも痛める危険性が高い。仰向けのアパナーサナ(ガス抜きのポーズ、ニートゥーチェスト)、四つん這いのマルジャリャーサナ(猫のポーズ)、バーラーサナ(チャイルドポーズ)のほうが、脊柱を安全に伸ばすことができる。

筋肉が引っ張られていることを感じよう
膝を少し曲げると、ハムストリングの筋腹が伸びるのを感じられる。

体の仕組みを学ぼう ウッターナーサナ(立位前屈)を深めよう
ハムストリングの筋腹/付着部

膝の靭帯
半月板、腱、靭帯が引っ張られて断裂するのを防ぐために、膝を固定しないこと。

体の仕組みを学ぼう ウッターナーサナ(立位前屈)を深めよう
大腿四頭筋腱/後十字靭帯(PCL)/内側側副靭帯(MCL)/
前十字靭帯(ACL)/外側側副靭帯(LCL)/半月板

指導●ナターシャ・リゾポウロス
ボストンにある Down Under School Of Yogaのシニアティーチャーで、指導者養成講座を担当している。アシュタンガヨガアイアンガーヨガの伝統を踏まえて、解剖学に基づく力強いヴィンヤサAlign Your Flowを考案した。 natasharizopoulos.com

モデル●ティファニー・ブッシュ
デンバーを拠点にヨガを教え、心と体と魂を癒す活動を行っている。gaia.comのコミュニティマネジャーでもある。tiffanybushyoga.com

モデル●キャディ・ラファティ
Big Booty Yogaの創設者で、Yoga and Body Image Coalition(ヨガと体イメージ連合)の会員。キャディの指導日程やオンラインスタジオについては bigbootyyoga.com で確認できる。

モデル●ロブ・ラウド
さまざまな流派の英知を取り入れて、エンボディド・パワー・ヴィンヤサを指導している。出身地のコロラド州ボルダーとデンバーのほか、robloudyoga.comでも指導を行っている。

モデル●ユキ・ツジ
セルフケアを提唱しており、コロラド州ボルダーでヨガとアクロヨガを教えるほか、タイマッサージセラピストとして活躍している。クラスとワークショップの日程は yogayuki.comで確認できる。

指導●アン・スワンソン 
ヨガ療法で理学修士号を取得。ベストセラーとなっている『Science of Yoga(邦訳:サイエンス・オブ・ヨガ)』の著者である。ヨガの練習を安全に容易にできるように修正することによって世界中の人の痛みを和げることに貢献している。特に、ヨガができないと思っている人にとって救いとなっている。無料動画と「サイエンス・オブ・ヨガ」オンライン講座で練習したい人は、annswansonwellness.comにアクセスしよう。

『サイエンス・オブ・ヨガ』の表紙。DK, Penguin Random House LLC.の許可を得て掲載。 Copyright © 2019 Ann Swanson & Dorling Kindersley Limited.

体の仕組みを学ぼう ウッターナーサナ(立位前屈)を深めよう
『サイエンス・オブ・ヨガ』の表紙
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photos by Christopher Dougherty
illustrations by Doris Kindersley : Arran Lewis(SCIENCE3)/ Zygote/Daz 3D
model by Tiffany Bush, Kady Lafferty, Rob Loud and Yuki Tsuji
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.72掲載

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ヨガジャーナル日本版編集部

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