加齢による動きづらさを改善|ヨガ療法士に聞くシニアを輝かせるヨガ

Christopher Dougherty

加齢による動きづらさを改善|ヨガ療法士に聞くシニアを輝かせるヨガ

再出発をするのに遅すぎることはない。ヨガに導かれて職業を変えた体験をお話ししよう。高齢者にヨガを教える人へのアドバイスと、年齢を重ねてもなお健康で生き生きしているのを可能にするシークエンスも紹介する。

シニアヨガインストラクター、ジャナ・ロングの経歴

ジャナ・ロングは、ヨガ療法士、健康に関する講師、瞑想の指導者、相談にのるメンターであるほか、パワー・オブ・ワン・ヨガ・スクール(Power of One Yoga School of Ayurveda & Meditation Arts)の専務取締役と、自らが共同創設者である黒人ヨガ講師連盟の常任理事を務めている。

さらに、暴力被害にあった個人や地域社会に瞑想を取り入れる社会運動「平和の実践としてのヨガ」では、執筆と編集の役割を担当している。ロングは高齢者向けに考案したポーズを指導して、60歳以上の人が心身共に元気になるように励ましている。

ヨガインストラクターへの転身

2008年のことです。私は58歳で『ワシントン・ポスト』紙の編集室でニュース技術サービスを統括していました。その頃、早期退職勧告が一部の従業員に出されるという噂が流れ始めます。今回は大規模な解雇になるだろうと囁かれていました。実際、そのような張り紙も目にして、自分の将来について真剣に考えざるをえませんでした。

2008年の第1四半期が終わる頃には、早期退職勧告の噂は現実に変わっていました。私は勤続年数19年で選ばれる条件を満たしていました。そして、その時が訪れたのですが、心の準備はできていましたね。私はこれを夢を叶えるチャンスに変えようと心に誓いました。夢のひとつがヨガを教えることだったのです。

実はそのための準備はそれ以前に始めていて、2005年に200時間のヨガ指導者養成講座を修了し、アーユルヴェーダ施術者の資格も取得しています。ある日、退職に関する書類や印刷物の中に、デューク大学医療センター統合診療部の資格認定講座のちらしを見つけました。高齢者にヨガを指導する資格です。私は当時、ヨガ講師として説得力のある言葉と独自性が欲しいと思っていたので、直感に従って講座に申し込みました。

この講座は三部構成になっていて、まず講義を受け、次にワークショップを行い、最後に6週間の実習または事例研究を自ら設計して実施することになっていました。実習では本態性振戦(ほんたいせいしんせん)のある患者にヨガを教えることにしました。これは70代の後半だった私の母が発症していた神経疾患で、手と声と頭部に不随意の震えが見られるのが特徴です。

本態性振戦は体を動かしているときに震えが生じる点でパーキンソン病と異なります。パーキンソン病では安静時のほうが震えが起きやすくなります。母は当時78歳で、自分が暮らす高齢者居住区で住民のまとめ役をしており、私がその地区で実習を進めるのを手伝ってくれました。66歳から88歳の女性14名が、75分のヨガの講座に週1回参加することになりました。

テーマは「安定性を高めるヨガ」です。ポーズの練習では、①ターダーサナ山のポーズ)を立って行うときと座って行うときの脊柱の配列、②骨盤底を強化するムーラバンダ根の締め付け)を中心としたバンダによる締め付け、③全身の関節を開く動き、④椅子を用いたポーズの4点に焦点を合わせました。さらに、完全呼吸法やウジャイ呼吸のような基本的な呼吸法、声で誘導するヨガニードラ(眠りのヨガ)、緊張と弛緩を繰り返してリラックスする練習も取り入れました。

ヨガのポーズが母の本態性振戦に及ぼした影響はないに等しいものでしたが、声で誘導する瞑想とリラックスする練習を行うと、母が自分の震えを以前より制御できるようになったと感じることがわかりました。母はいったん動きを止めて呼吸し、その瞬間に十分に意識を向けてから次の行動をとれるようになったのです。この実習が縁で、私は今でも年間を通じてこの地区の高齢者にヨガを教えています。

この実習はほかの地域の高齢者にもヨガを教えるうえで拠りどころになりました。私は自分に合った場所を見つけたのです。2009年には、ボルティモア郡のコミュニティカレッジの一環として運営されている一種の高齢者向け学校(School of Continuing Education Senior Institute)とつながることができ、そこで高齢者向けヨガ療法というクラスを始めました。

年を追うごとにクラスが増えていき、今ではどのクラスも定員いっぱいになっています。今年は高齢者に教え始めてちょうど10年目に当たります。私は今、第二の仕事として自分の大好きなことをして、スケジュールも自分で決めて自分で管理しています。

そして、年齢を重ねても元気でいるのに役立つヨガの練習を仲間と一緒にできることを何よりうれしく思っています。

シニアを輝かせるヨガ
photo by Christopher Dougherty

by Jana Long
photos by Christopher Dougherty
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.68掲載

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