たった一度注意されただけなのに、一日中引きずるのはなぜ?「叱られた後」に心が戻らない人の特徴|臨床心理士が解説

たった一度注意されただけなのに、一日中引きずるのはなぜ?「叱られた後」に心が戻らない人の特徴|臨床心理士が解説
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佐藤セイ
佐藤セイ
2026-10-21

仕事中、上司や先輩から注意を受けた。決して強い口調ではなかったし、「今度から気をつければいいから」とも言ってもらえたのに、注意されたことが頭から離れない。気づけば一日中そのことばかり考えている。こんな風にたった一度注意されただけなのに、なかなか気持ちを切り替えられないことはありませんか?なぜ「注意された」という出来事が終わったあとも、心だけがそこから戻ってこられなくなるのでしょうか?今回はたった一度の注意を心が引きずるメカニズムについてお話しします。

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たった一度の注意を一日中引きずるのはなぜ?

「非言語情報」をネガティブに受け止めすぎる

私たちは与えられた注意から、2つの情報を受け取ります。1つは言葉そのものが持つ意味や内容による「言語情報」です。もう1つは「非言語情報」で、視線・表情・声の大きさやトーンなど、言語以外から受け取る情報になります。

例えば、「次からは早めに報告してくださいね」と注意を受けた場合、言語情報だけを受け止めれば「よし、次は3日前に報告しよう」などと思うはずです。

しかし、私たちは同時に非言語情報を受け取ります。このとき、過剰にネガティブに受け止めてしまう人がいます。

■上司が無表情だった:うんざりさせてしまった←【事実】上司は少し疲れていただけ

■上司の声が大きかった:怒らせてしまった←【事実】大事な話なので普段よりはっきり喋っていただけ

■上司に注意されたとき同僚がこっちを見ていた:同僚は私をバカにしている←【事実】「きつく言われていたけど大丈夫かな」と気遣っていただけ

など、非言語情報を実際よりも否定的・被害的に受け止め、必要以上に傷つき、一度の注意がもたらす苦痛が長引いてしまうことがあります。

「人間関係」の危機を感じてしまう

「人間関係」を重視する人は、

・他者に迷惑をかけてはいけない

・他者を怒らせてはいけない

・他者から嫌われてはいけない

など、他者を不快にさせないことを「信念」として生活しています。

そのため、ひとたび他者から注意されると「他者を不快にさせて関係を壊してしまった」「自分の信念が崩れてしまった」と自分を強く否定し、落ち込んでしまいます。

そして、良好な人間関係を取り戻したい思いから、

「あんなミスしなければ」

「もっと早めに謝罪すべきだった」

など、「どうすれば良かったか」についての脳内シミュレーションを何度も何度も繰り返します。

不安
イラスト/Adobe Stock

叱られた後に生じる思考や気持ちとの上手な付き合い方

「考えれば考えるほど安心できる」とは限らない

注意に対して過剰にネガティブな受け止め方をしがちな方は、「事実」と「想像」を整理した上で、「想像」以外に考えられる「可能性」を分けてみるのがおすすめです。

【事実】上司から「次からは早めに報告してくださいね」と注意を受けた

【想像】「上司をうんざりさせてしまった」「上司に『仕事が出来ないヤツ』と思われてしまった」「今回の失敗のせいで評価が下がったらどうしよう」

【可能性】「私の成長のために言ってくれている」「注意した後も普通に話しかけてくれた。あまりうんざりはされていないのかも」「1回の注意が評価に与える影響は少なそう」

「上司をうんざりさせてしまった」などネガティブな想像だけに捉われると、苦痛が大きくなり、気持ちを切り替えられません。

まずは色々な可能性を探ってみましょう。多少「こんなのバカバカしいかも」「楽観的すぎるかも」「非現実的かも」と思っても、様々な考え方ができることが大事。クスッと笑えるような突拍子のない可能性も大歓迎。

どんどん思い浮かべて、ネガティブな想像の影響を紛らわしてみましょう。

ネガティブな気持ちと上手に付き合おう

注意されて落ち込むのは、ごく自然な心の動きです。

「一日中引きずるなんて、私は弱い人間だ」と自分を責めたり、「早く忘れなければ!」と無理に切り替えたりする必要もありません。

むしろ、

「私は今、傷ついているんだな」
「失敗したことが恥ずかしかったんだな」
「嫌われたくなくて不安になっているんだな」

と、自分の気持ちを認めてみましょう。私たちは原因不明の苦痛に耐えるのは苦手です。同じ苦痛であっても「この気持ちが苦痛の原因だ」とはっきりわかる方が落ち着きます。

その上で、

・その気持ちを紙に書き出す(書きなぐる、カラフルに書く、色々なフォントで書くなど)

・その気持ちが雲に乗って流れていく様子をイメージする

・その気持ちがラジオ番組で流れている様子をイメージする

などの手段で、自分の中からそっと取り出し、少し離れたところに置くように意識すると、ネガティブな気持ちに占められていた心に少しずつ余裕が生まれます。

もし「小さな注意でも何日も引きずる」「失敗を何度も思い返して仕事が手につかない」「人からどう思われているかが気になり続ける」といった状態が続いているなら、単なる「気にしすぎ」ではなく、心が疲れている可能性もあります。その場合は、病院の受診も検討してみましょう。

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