産休に入ったのに、気持ちが落ち着かない理由|心理師が考える

産休に入ったのに、気持ちが落ち着かない理由|心理師が考える
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石上友梨
石上友梨
2026-10-27

仕事を離れてほっとするはずだったのに、なぜか落ち着かない。やることがないのに焦る、なんとなく不安が続く。そういう経験をしている人は少なくありません。

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「休み」が安心につながらない理由

産休に入ると、それまでの生活リズムが一気に変わります。毎日こなしていたタスクがなくなり、職場とのつながりも薄くなる。「休める」と思っていたのに、気持ちが落ち着かないのは、仕事が自己評価や存在感の拠り所になっていた場合、その場が突然なくなることで、自分の居場所がどこにあるのか分からなくなる感覚が生じるからです。「役に立っている」「必要とされている」という感覚が、仕事を通して得られていた人ほど、この空白感を強く感じやすくなります。必ずしも仕事への依存ということではなく、仕事が自分のアイデンティティの一部になっていた可能性があります。それがなくなると、自分が何者なのかという感覚が揺らぎやすくなります。仕事中心だった生活から切り離されることで、自分の輪郭が一時的にぼやける感覚は、多くの人が経験しています。

パートナーや周囲との時間感覚のズレ

産休に入ることで、パートナーや友人との時間の感覚がずれていくことがあります。パートナーは仕事のリズムで動いており、自分だけが日常から切り離された時間の中にいる。友人も同じように働いていて、気軽に連絡しにくいと感じることもあります。「みんなは普通に生活しているのに、自分だけ取り残されているような感覚」は、産休中によく聞かれる経験です。孤立感は、生活のリズムがずれることでも生まれます。SNS 等も活用しながら、意識的に誰かとつながる時間を作ることが、この時期の気分の安定につながることがあります。

未来への不確かさ

産休中に感じる不安のもうひとつの背景は、先の見えない変化への不確かさです。出産がどうなるか、育児がうまくいくか、復職後どうなるか。こうした「まだ起きていないこと」への心配が重なることで、慢性的な不安感が続きやすくなります。何かを解決しようとしても、まだ答えが出せない問いばかりが頭をめぐる。それが落ち着かなさの正体であることがあります。答えが出ない問いを持ち続けることは、それだけで消耗します。「今は分からなくていい」と意識的に手放すことが、この時期には必要になります。

身体と心のギャップ

身体は休んでいるのに、頭だけが動き続けるという状態も起きやすい時期です。妊娠中はホルモンバランスの変化によって気分が不安定になりやすく、些細なことが気になったり、感情の波が大きくなったりします。「休んでいるのになぜこんなに疲れているのか」という感覚は、こうした身体的な変化と関係していることがあります。頭と身体のリズムがずれているとき、無理に合わせようとするより、身体の感覚に従って休むことが大切です。疲れたら横になる、眠れるときに眠る。それが今できる最善のことである日もあります。

この時期の過ごし方

この時期の落ち着かなさは、変化の過渡期に入ったことへの自然な反応です。これまでの自分と、これからの自分のあいだにいる時期は、どちらの軸も定まっておらず、宙に浮いたような感覚になりやすいです。その感覚を無理に消そうとするより、今自分がそういう時期にいると知っておくことが、少し楽にしてくれることがあります。先のことを考えすぎず、今日できることや、今心地よいことに意識を向ける。産休という時間を、準備の期間としてだけでなく、自分を整える時間として使うことができます。焦らなくていい時期があります。それが今かもしれません。

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