右腕と左腕で血圧が違う…放置して大丈夫?「血圧の左右差」と血管の病気の関係|医師が解説
右腕と左腕で血圧が違うのは珍しいことではありません。ただし、何度測っても左右の差が大きい場合には注意が必要です。医師が解説します。
右腕と左腕で血圧が違うのは珍しいことではありません
家庭で血圧を測っていて、「右腕は145なのに、左腕は130だった」と気づいたことはありませんか。
左右で血圧が違うと、「どちらが本当の血圧なのだろう」「血管がおかしいのではないか」と心配になるかもしれません。
実際、左右の血圧には多少の差が出ることがあります。
測定するタイミング、腕の位置、カフの巻き方、体の緊張などによっても数値は変わります。そのため、一度測って左右差があったからといって、すぐに病気を疑う必要はありません。
ただし、何度測っても左右の差が大きい場合には注意が必要です。
「血圧の左右差」が大きいと何が問題なのでしょうか?
特に注目したいのは、左右の「上の血圧」、つまり収縮期血圧の差です。
例えば、
右腕 150/80mmHg
左腕 130/80mmHg
であれば、上の血圧に20mmHgの差があります。
こうした左右差が繰り返し認められる場合、血圧が低い側の腕に血液を送る動脈が狭くなっている可能性があります。
代表的なのが、鎖骨の下を走る「鎖骨下動脈」などの血管の狭窄(きょうさく)です。
動脈硬化によって血管が狭くなると、その先にある腕へ十分な圧力が伝わりにくくなり、片方の腕だけ血圧が低く測定されることがあります。
そのため、血圧の左右差は、単なる測定上の誤差だけではなく、血管の状態を知る手がかりになることがあります。
何mmHgくらいの差があれば注意したほうがよい?
ここは気になるところだと思います。
一般的には、左右の収縮期血圧に10mmHg以上の差が繰り返し認められる場合には、左右差があると考えて評価することがあります。
さらに、15mmHg以上の差が繰り返し認められる場合には、末梢動脈疾患などの血管病変との関連が指摘されており、より注意が必要です。
ただし、「10mmHgなら病気」「15mmHgなら必ず動脈硬化」という意味ではありません。
血圧は測定するたびにある程度変動しますし、左右差も一回の測定だけでは再現しないことがあります。
大切なのは、一度の数字ではなく、適切な条件で測っても左右差が繰り返し存在するかです。
まずは「正しく測る」ことが大切です
左右差が気になったら、いきなり病気を心配するのではなく、まず血圧の測り方を確認しましょう。
血圧の測り方
- 椅子に座って数分間安静にし、背中を支え、足を組まず、腕を心臓の高さに置きます。
- 血圧計のカフも、上腕に適切に装着することが重要です。
- そして、左右を同じ条件で測定してみます。
できれば一度だけで判断せず、時間を置いて複数回確認してみるとよいでしょう。
左右差が小さくなったのであれば、姿勢や測定条件による影響だった可能性があります。
一方、何度測っても同じ側が明らかに低いという場合には、一度医師に相談することをおすすめします。
左右差があると、脳や心臓の血管にも関係するのでしょうか?
血圧の左右差が大きい人では、末梢の血管だけでなく、全身の動脈硬化が存在する可能性も考えます。
研究では、左右の収縮期血圧の差が大きい人ほど、脳卒中や末梢動脈疾患などの血管イベントが起こるリスクが高いことが報告されています。
つまり、血圧の左右差そのものが病気を起こすというより、左右差が「血管に問題がないかを調べるきっかけ」になると考えると分かりやすいでしょう。
特に、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙習慣などがある人では、動脈硬化のリスクも高くなります。
「血圧が低い左腕」で測り続けて大丈夫?
例えば、
右腕 150mmHg
左腕 130mmHg」
という状態が続いているとします。
この場合、「左腕のほうが血圧が低いから、こちらで測ったほうが安心」と考えてしまうのはよくありません。
左右差が確認された場合、通常は高いほうの腕を、その後の血圧管理に使うことが推奨されています。
なぜなら、低い側の血圧が「全身の血圧を正確に反映していない」可能性があるからです。
ただし、左右差の原因となっている血管の病変がないかについては、別途評価する必要があります。
こんな場合は一度、医療機関で相談を
左右差が何度測っても続いていて、特に15mmHg以上の差がある場合には、一度医師に相談してみるとよいでしょう。
さらに、
- 片方の腕だけ冷たく感じる
- 片方の手がしびれる、痛む
- 片側の腕が疲れやすい
- 歩くと足が痛くなり、休むと改善する
- 首や胸、背中などに違和感がある
- 血圧が急に大きく変化した
といった症状があれば、血管の状態を確認することが重要です。
特に、突然の激しい胸痛や背部痛、片側の麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある場合には、左右の血圧差だけの問題と考えず、緊急の病気を疑って救急受診が必要です。
40代、50代から「左右の血圧」を一度確認してみる
普段、自宅で血圧を測っている人は、いつも同じ腕だけで測っていることが多いと思います。
もちろん、毎回左右を測る必要があるわけではありません。
ただ、一度くらいは左右両方の腕で測ってみると、自分の血圧の特徴を知ることができます。
特に40代、50代以降では、高血圧や糖尿病、脂質異常症などをきっかけに動脈硬化が少しずつ進んでいることがあります。
「右と左で血圧が違う」という小さな気づきが、血管の状態を確認するきっかけになることもあります。
血圧は「数字」だけでなく「左右差」も見てみる
血圧というと、「上が何mmHgだったか」「下が何mmHgだったか」に目が向きます。
しかし、もう一つ知っておきたいのが「左右でどのくらい違うか」という視点です。
一度の測定で少し差があったからといって、心配しすぎる必要はありません。
一方で、何度測っても左右差が大きい場合には、血管の狭窄などが隠れていないか確認する価値があります。
血圧は、単に「高いか低いか」だけを見るものではありません。
「以前より上がってきていないか」「上と下の差はどうか」「左右で差がないか」。
こうした変化を知っておくことも、自分の血管を守るための大切な手がかりになります。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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