繰り返すネガティブ思考の正体は「スキーマ」かも。心理士が教える、思い込みを書き換える方法

繰り返すネガティブ思考の正体は「スキーマ」かも。心理士が教える、思い込みを書き換える方法
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些細なミスで「自分は何をやってもダメな人間だ」と落ち込んでしまったり、友達から「嫌われたのかも」と不安になってしまったり。こうしたネガティブな思考で苦しいと感じることはありませんか? 実は、こうした思考パターンの背景には「スキーマ」と呼ばれる心の仕組みが関係しているかもしれません。そこで今回は「スキーマ」の正体やネガティブなスキーマから抜け出すための対処法をご紹介します。

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そもそもスキーマってなに?

「スキーマ」の定義と具体例をみていきましょう。

スキーマの定義

スキーマとは、「世界を理解するための枠組み」のことです。積み重ねてきた経験をもとに作り上げられた、物事を認識するためのテンプレートのようなものと言えます。

スキーマの具体例

スキーマには主に以下のような4つのパターンがあります。

①人物スキーマ

周囲にいる人たちの性格や行動の傾向についてのスキーマです。

例)「あの人は時間にうるさいタイプだから、約束の時間より前に到着しているはず」

②事象スキーマ

決まった場面における行動の流れや、予想される出来事の順序についての知識です。

例)「電車に乗るときは、駅で切符を買って、改札を通って、ホームに降りる」

③役割スキーマ

年代や性別、職種、民族といった社会的なグループに所属する人たちについての知識や固定的なイメージです。行き過ぎた役割スキーマは差別や偏見につながる危険性があります。

例)「警察官には使命感がある」

④自己スキーマ

自分自身の見た目や性格、行動の特徴を示すスキーマです。

例)「自分は人前で話すのが苦手だ」

スキーマがもたらすメリットとデメリット

スキーマは私たちの生活に欠かせない大切な機能ですが、偏ったスキーマは生きづらさにつながることもあります。それではメリットとデメリットをひとつずつ見ていきましょう。

メリット:未知のことも過去の経験から推測できる

私たちは毎日、膨大な量の情報に触れています。もしすべての情報を一から判断しなければならないとしたら脳に大きな負担がかかりますが、スキーマがあることでバラバラの情報をひとまとまりに理解できます。そのため、過去の経験からはじめてのことも推測できるのです。

デメリット:先入観や決めつけの原因になる

スキーマにはメリットがある一方で、先入観や決めつけの原因になるというデメリットも。たとえば「自分は何をやってもダメだ」というような自己スキーマを持っていると、成功体験があっても自己評価が上がりにくくなります。現実を歪めて認識してしまいかねず、場合によっては差別や偏見につながる恐れもあるのです。

デメリット:ネガティブ思考に偏る危険性がある

過去のつらい体験によっては、作り上げられたスキーマが生きづらさにつながってしまうことがあります。

たとえば、子どもの頃にいじめを受けてきた人が「人は信用できない」というスキーマを持つことは、当時の自分の身を守るためには必要だったと言えます。しかし大人になってからもこのスキーマを持ち続けていると、親密な人間関係を築きにくくなってしまいます。

このように、かつては適応的だったスキーマが、状況が変わった今では不適応的になっているケースは少なくありません。

ネガティブなスキーマを和らげる認知行動療法の手法

ネガティブなスキーマを和らげるには、認知行動療法のアプローチが効果的です。認知行動療法とは、考え方や行動に働きかけることで、気持ちを楽にする心理療法のこと。考え方の傾向に気づいて、自分が陥りがちな思考パターン以外の考えを探すことで、物事を柔軟に捉えられるようになります。

おすすめ改善法①下向き矢印法で、隠れた思い込みを見つける

ネガティブなスキーマから抜け出すには、まず自分がどんなスキーマを持っているのかを明らかにすることが大切です。そこで役立つのが「下向き矢印法」という方法。

下向き矢印法は、何か出来事があったときに瞬間的に浮かんだ考えに対して「それは何を意味するのか?」と疑問を投げかけ、掘り下げていくことで、奥底に潜むスキーマを明らかにしていくワークです。

具体的なやり方

  • 最近気になった出来事を思い浮かべる
    • 例)「会議で発言したら、上司の反応が微妙だった」→「自分の意見は価値がないんだ」
  • それは何を意味するのか?」と問いかける
    • 例)「自分の意見は価値がない」→「それは何を意味する?」→「周りから評価されていない」
  • さらに深く掘り下げる
    • 「周りから評価されていない」→「それは何を意味する?」→「自分は必要とされていない」

このように繰り返していくと、最終的に「自分は必要とされていない」という根本的なスキーマにたどり着きました。これが、日常の様々な場面でネガティブな解釈を生み出している可能性があるのです。

おすすめ改善法②ポジティブなスキーマを探す

認知行動療法では、より適応的で自分の役に立つポジティブなスキーマを探すワークも行います。

具体的なやり方

  •  「元気なときの自分だったらどう考える?」と問いかける
    • 同じ出来事でも、心に余裕があるときとないときでは捉え方が変わりますよね。調子が良いときの自分だったら、どんな風に考えるか想像してみましょう。
  • 過去の嬉しかった出来事を思い出す
    • 小さなことでもOKなので「友達に感謝された」「仕事を期限内に終わらせた」など、うまくいった経験を書き出してみましょう。

まとめ

ネガティブな思考が繰り返されるとき、その背景には「スキーマ」という思考の枠組みが隠れているかもしれません。今回ご紹介した対処法は、認知行動療法に基づいたアプローチです。下向き矢印法によって無意識の思い込みを明らかにし、ポジティブなスキーマを発見して伸ばしていくことで、徐々に思考のバランスが整っていきます。 認知行動療法に基づくメンタルケアアプリ「Awarefy(アウェアファイ)」では、ネガティブ思考を和らげるためのさまざまなワークを実践可能なので、ぜひ活用してみてくださいね。

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