コーヒーは鉄分吸収を阻害する?鉄分不足な人のNGなコーヒーの飲み方|管理栄養士が解説
「コーヒーを飲むと貧血になりやすい」という話を聞いたことはありませんか。実は、コーヒーに含まれる成分が鉄分の吸収を妨げることがあります。特に女性は月経による鉄分の損失があるため、注意が必要です。今回は、コーヒーと鉄分の関係を整理し、コーヒー好きな方が鉄分不足を防ぐための上手な飲み方をご紹介します。
なぜコーヒーが鉄分の吸収を妨げるのか
鉄には、動物性食品に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」があります。一般に非ヘム鉄は吸収率が低く、食事内容の影響を受けやすいことが知られています。
コーヒーに含まれるポリフェノール類は、消化管内で非ヘム鉄と結合し、吸収されにくい形になることがあります。そのため、鉄を含む食事やサプリメントと同時にコーヒーを摂ると、鉄の吸収効率が下がる可能性があります。
どんな人が注意すべき?
鉄不足は、月経のある女性を中心に起こりやすいことが指摘されています。以下に当てはまる方は、コーヒーの飲み方を一度見直してみましょう。
- 月経のある女性
- 鉄不足や貧血を指摘されたことがある人
- 植物性食品中心の食生活の人
- 疲れやすさやだるさが続いている人
鉄欠乏が疑われるときにみられる症状
鉄が不足すると、疲れやすさ、動悸、息切れ、めまい、集中力の低下などが起こることがあります。こうした症状が続く場合は、自己判断をせず医療機関で相談しましょう。
コーヒー好きのための鉄分対策
食事と時間をあける
もっとも取り入れやすい対策は、コーヒーを鉄を含む食事やサプリメントと同時に摂らないことです。目安として、食事や鉄サプリの前後で少なくとも一時間ほど間隔をあけると、鉄吸収への影響を抑えやすくなります。
飲む量と濃さを意識する
コーヒーは量が多いほど、また濃いほど、鉄吸収への影響が大きくなりやすいとされています。鉄が気になる時期は、飲む杯数を一日二から三杯程度に抑え、濃さも控えめにすると安心です。
ヘム鉄を意識して摂る
肉や魚に含まれるヘム鉄は、非ヘム鉄に比べて吸収されやすく、食事の影響を受けにくい特徴があります。鉄不足が気になる方は、ヘム鉄を含む食品も意識して取り入れましょう。
ビタミンCと組み合わせる
ビタミンCには、非ヘム鉄の吸収を助ける働きがあります。野菜や果物など、ビタミンCを含む食品と一緒に鉄を摂ることで、吸収効率を高めることが期待されます。
カフェインレスでも注意
カフェインレスコーヒーであっても、ポリフェノール類は残る場合があります。鉄を優先したい場合は、通常のコーヒーと同様に、食事との時間をあけることが大切です。
まとめ
コーヒーに含まれるポリフェノール類は、非ヘム鉄の吸収を妨げる可能性がありますが、飲み方を工夫すれば過度に心配する必要はありません。食事と時間をあける、飲む量を調整する、ヘム鉄やビタミンCを意識することで、コーヒーを楽しみながら鉄分不足対策を行うことができます。体調に不安がある場合は、医療機関で相談しましょう。
参考文献
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「鉄」(健康食品の安全性・有効性情報)
- 米国国立医学図書館(National Library of Medicine)Dietary Iron
- Hallberg L, Hulthén L. Prediction of dietary iron absorption. American Journal of Clinical Nutrition.
記事監修/亘美玲
管理栄養士。病院栄養士を七年経験後、食品会社で約十五年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。二児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信している。
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