ストレス買い物から卒業した私が見つけた「要・不要」で分ける家計管理術と片付けの意外な関係性

『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)より
『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)より

「家計簿をつけているのに」「ポイ活しているのに」……自分なりに努力はしているのになかなかお金が貯まらないという悩みを抱えている方は少なくないと思います。漫画家のなぎまゆさんは『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)にて、ジャンル別ではなく「要・不要別」に分ける家計簿を提案しています。なぎまゆさん自身も貯められなかった時期があったとのこと。ご経験について伺いました。

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物が欲しいのではなく「買い物」で得られる快感にハマっていった

——今回はお金が貯められなくて悩んでいるご友人が変化していくという過程を描いた作品でしたが、なぎまゆさんご自身もストレスで買い物をしてしまい、貯められなかった時期があったと描かれていました。浪費してた頃はどんな気持ちだったのでしょうか?

当時は仕事が忙しかったものの、待機時間が長くて、仕事の合間に考える暇ができてしまって。そのときに考えやすかったのが買い物のことでした。

例えば一つブレスレットを買ったときに、嬉しかったり、「買ってよかった」という気持ちになる成功体験をして、そこから「ネックレスもあった方がいいのでは」「アクセサリーに見合う良い服を買った方がいいんじゃないか」というコンプリートを目指す思考になっていました。

——ファッションには明確なコンプリートの定義はないですよね。

そうですね。当たり前ですが、推し活グッズのコンプリートと違って、たどり着かないゴールをずっと目指している状態でした。高い服を一着買えば、それだけを着るわけにもいかないので「もう一着……」とキリがなくなっていく。少し考えればわかることですが、精神的に余裕がないと、そういうことにも気づけないんです。

今振り返ると、買い物をすること自体で得られる快感を欲するようになっていたのだと思います。それで、自分でもどこで止まっていいかわからなくなっていて。

他に使う場所もないのでブランド品を身につけて出勤することもあったのですが、週1ペースで何かしら新しい物を更新していたので会社の人に引くような反応をされたことで「自分はいつもと違う精神状態なんだ」と気づいて、そこで止まることができました。

——買い物をしてる瞬間は、日常の中で感じてる不安や焦りを忘れられるような感覚があったのでしょうか。

はい、加えて、目的意識を持って行動して達成することの疑似体験ができるので、ハマっていったのだと思います。

そういう自分に一度気づくことができたので、その後、似たような状態になりかけても「今ハマってるな」と気づけて、自分で止まることができました。

「私は今これを必要だから買っているのではなくて、疲れているから、買うことにこだわりを持っているんだな」と自分を客観視できる視点を持てるようになりました。

『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)より
『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)より

ジャンル別よりも要・不要で考える

——メンタル的な要素以外で、その頃はなぜ貯められなかったと思いますか?

家計管理を全くしていなかったことは大前提で、加えて当時は片付けも全くできていなかったんです。自分にとって何がいくつ必要かを具体的に把握していなくて、買いたいものを買えそうな値段なら買うといった感じだったからだと思います。

——会社の人に引かれてからは、衝動買いをすることはなくなったのでしょうか?

その出来事をきっかけに一気に変わったというよりは、年を取る中で、老後の不安なども強くなっていく過程で、改善していきました。

最初はコンビニになるべく行かないようにするといった目先のことから始めて、続くものは続く、続かないものは続かないという感じでした。家計管理としてできるようになったのは片付けができるようになった後です。

食費・日用品・娯楽費のようにジャンル別に家計簿をつけることが一般的だと思うのですが、私は要・不要別の家計簿をつけていました。支出を要・不要別にあぶり出して、自分にとって何が不要なのかを明らかにできると、次回の買い物からどう気をつければいいのかがわかりやすくなるんです。

——本書では、貯められない人にはクレジットカードを勧めていないことを描いています。なぎまゆさんは過去にクレジットカードを使っていて失敗した経験はありますか?

典型的ですが、クレジットカードは「お金を払った」という感覚が現金よりかなり薄いので、高額なものを軽々と買ってしまったり、ポイントを貯めることを意識していらないものを買ってしまったりしたことがありました。

本で出てきた友人は家計管理が全くできなかったので、一度クレカを封印した方がいいという話をしたのですが、今の私自身は要・不要の自分の基準は把握していますし、カツカツな状態ではないので、クレカは活用しています。

ただ、ポイントありきで買い物をしないことは注意しています。「あと〇円買ったらポイントが2倍になる」というときに、余計なものを買ってしまいがちですが、それは不要な支出の原因となるからです。

片付けと貯金の関係性

——片付けと貯金の関連性は高いと思いますか?

そうですね。片付けができていないと要・不要がわからないんです。要・不要がわからないので、店頭で見かけた素敵なものをなんとなく買ってしまったり、着るかどうかわからないけれども「お得だから買う」といったことをやりがちなんですよね。

そうすると余計なものが溜まって部屋が散らかってしまいます。あまり使わないものを積み重ねていけば、それだけお金も減ってしまうので、蓄財という観点では関連性が高いと思います。

——片付けができてない人は、お金が貯められない傾向にあると感じますか?

ものすごく稼いでいるなど、イレギュラーな方もいるのではっきりとは言いがたいのですが、片付けができてなくて、物をたくさん買う傾向がある方だと、お金を貯めるのは難しいんじゃないかなと思います。

物が多くても、管理ができている、つまり散らかっていないのであれば、自分の中で要・不要も把握できていると思うのですが、片付けられていないということは、自分が何を持っているかもわかっていないので、「買ったものの帰宅したら2個目が出てきた」という話は珍しくないように思います。

——なぎまゆさんの推し活グッズの厳選方法は、「推しのものでかつ顔が気に入ったもの」と独自の視点をお持ちだと思いました。

以前はコンプ買いや、使う用・見る用・保存用といった複数買いをしていたのですが、推しが変わったときに物を整理する中で、綺麗な状態のままで手放すときに「もったいないことをしたな」という気持ちになって。

さらに最近はランダムで購入する必要があったり、同じキャラでもグッズの種類が膨大だったりして、「このキャラが好きだから」と全部集めようとしていると、無尽蔵になっていくんです。

自分の推しだからといって、全部が気に入った顔やポーズをしているかというと、そうではなかったり、グッズは違っても絵が重複していたりすることもあります。本当に気に入った素敵だと思うものが目の前に並んでいると、意外と揃ってなくてもストレスが溜まらないこともわかったんです。

——推し活でコンプリートすることを続けていると、「コンプリートしなければ」という感覚が染みついていて、最初はやめるのが大変ではなかったですか?

以前ハマっていた作品の中の推しキャラが大人気で、グッズが大量に展開されていて、追いつけないくらいの種類だったので、逆に諦めることができました。数があまりにも多すぎてコンプの心を折ってくれたというのでしょうか。

一番気持ちが高まっている時期に「尊い…!」となったイラストのグッズを2個3個と欲しくなることは今でもあるのですが、過去に買ったのに開けもせずに押し入れに放り込んで、気持ちが落ち着いた頃に「自分は何をやっているんだろう」という気持ちになったことを思い出して、抑えるようにしています。

※後編に続きます。

『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)
『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』(KADOKAWA)

【プロフィール】

なぎまゆ

東京都在住。漫画家。お部屋を整理整頓ができない理由やキレイな状態を続ける方法を紹介した実録コミックエッセイ『「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら 二度と散らからない部屋になりました』が人気シリーズに。『痩せるより大切なことに気づいたら、人生で一番楽に17kgのダイエットに成功しました』も好評発売中。

X:@naggy2018
ブログURL:https://ameblo.jp/naggy2018/

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